遺言者に死期が迫っているために,普通方式による遺言ができないときにすることができる特別方式の遺言の一種です。危急時遺言は「口頭」ですることができ,証人がこれを書き写して,署名押印します。危急時遺言には,一般危急時遺言(死亡危急者遺言)と,難船危急時遺言(船舶遭難者遺言)とがあります。危急時遺言は,遺言書作成後20日以内に家庭裁判所の「確認」手続が必要です。危急時遺言や隔絶地遺言といった特別方式の遺言は,遺言者が,普通方式による遺言ができるようになってから6か月生存するときは無効になります。つまり,普通方式の遺言によってやり直すことが想定されている臨時の遺言です。
なお,遺言の方式は以下のように分類できます。
普通方式
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
特別方式
危急時遺言
- 死亡危急者遺言(一般危急時遺言)
- 船舶遭難者遺言(難船危急時遺言)
隔絶地遺言
- 伝染病隔離者遺言(一般隔絶地遺言)
- 在船者遺言(船舶隔絶地遺言)