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相続?贈与?離婚?不動産のことが気になったらまずすること(後編)

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投稿者:中尾 哲也
不動産が気になる

奈良県北葛城郡王寺町の司法書士中尾哲也

昨日これ↓書きました。今日はそのつづきですっ

相続?贈与?離婚?不動産のことが気になったらまずすること(前編)

【相続の場合】
俺もそろそろいい年やな,,息子にのこせる財産勘定しとかんとあかんな,,
あるいは
親父急に倒れよって難儀やな,ところで家とマンション親父の名義やったはずだが。

【贈与の場合】
そろそろ孫に土地建物を贈与しとこうかな。

【離婚の場合】
わたしたち夫婦ももう来るところまで来たわね。別れるしかない!となると財産分与の話をきっちりつけとかないと,,この家の名義って??たしか2人の名義にしていて,,銀行の借入れもちょっと残ってたような,,

こんなような感じで,不動産のことが何かしら気になっている人は,ちょっと調べておいたほうがいいよね,最低限確認しておいたほうがいいよね,というところまで書きました。何をって,不動産の,①権利関係と,②評価つまり経済的価値をです。

で,①権利関係を調べるために登記簿謄本(登記事項証明書)を取りましょうというところまで行きました。今日は,②のところです。

 

固定資産税の納付書や評価証明書について

不動産の持ち主や権利関係を登記簿謄本で調べたら,次はその評価,財産的価値を調べましょう。まずはざっと固定資産税の評価額を調べるのが便利です。

なぜ固定資産税の評価額を調べるのか

それが手っ取り早いし,固定資産税評価額からおよその不動産の価値を推測することができるからです。

なぜ手っ取り早いのか

毎年所有者に送られてくる固定資産税の納付書を見ればそこに評価額が書いてあるからです。親子,孫子,夫婦のどちらかが所有者なら,自分が所有者じゃなくても,書類を見せてもらえばいいのです(見せてくれないこともあるでしょうが,,)。

なぜ固定資産税評価額を見れば足りるのか

公示地価,基準地価,路線価,,と,公的な不動産の値段は複数あります。○○が,○○するための不動産の値段は○○,△△が,△△するための不動産の値段は△△っていう具合です。全部調べるのはしんどいです。不動産仲介業者がつけた簡易な査定なんていうのもありますし,なっとなく実勢価格っぽい価格だとみんなが思っている価格っていうのもあります。要は,どれをとったらいいかわからんねと迷う。

どうしても一つだけ,これがこの不動産の価値だという信頼性のある評価が必要なら,やっぱり不動産鑑定士に見てもらうことになりますが,税務申告や裁判もしないのに鑑定士を入れることはまずありません。費用がかかりますからね。ざっと分かればいいんです,ざっと。それなら固定資産税評価額で十分。そもそも公示価格,基準地価,路線価,固定資産税評価額はリンクして計算されているので,固定資産評価が分かればほかの価格もだいたい分かります。

固定資産税の評価証明書の請求方法

納付書が手元にない場合は,市町村役場で,固定資産税評価証明書を取ります。固定資産税は市町村民税なので,市町村役場に行かないとダメです。都庁とか府庁,県庁に行ってもダメですからね。本人が市町村役場の税務担当の部署の窓口に行って,固定資産税の評価証明書が欲しいんだがと告げれば,担当者が申請書を手渡してくれるはずです。カウンターでちょこっと記入して出せば,すぐ評価証明書をくれます。土地建物だけなら,多分300円くらい。

我が王寺町なら役場に行ってこんなのを出す。

代理人が行く場合には,委任状(同意書)を持って行きましょう。所有者と,窓口に行く人,両方の住所氏名を書いてください。そして,先に取っておいた登記簿謄本(登記事項証明書)を見て,不動産の表示のところを埋める。委任状は別にこれじゃなくてもいいです。便箋に書いてもいい。委任者(所有者),受任者(窓口に行く人),委任日(窓口に行く日でも書いてください),委任事項(お願いする内容),不動産の表示(できれば以下のように登記簿のとおり特定して書いたほうがベター)があれば受け付けてくれるはずです。


 

評価証明取得委任状


 

固定資産税評価証明書の見方

納付書がある場合は,中を見てください。どっかに??「評価額」とか「価格」と書いてある欄があるはず。ここに書いてあるのが固定資産税評価額です。探してみてくださいね。
固定資産税評価証明書を取った場合も同じです。こんなのです。

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固定資産税評価額が分かったら,これをそのまま不動産の価値だと考えてもいいし(地方なら不動産は下落傾向なので,それもありでしょう),取引の活発な住宅地などなら,2,3割増で考えてみてはいかがでしょう。より実勢価格に近づくと思います。

 

登記簿のチェックポイントなど

登記簿を取ってきて評価額が分かったらいろいろ算段できますね。相続する,譲渡する,財産分与はどうする,,不動産のことをよくよく考えてみてください。ただ財産の譲渡には税金の検討も必要なので,慎重にしてくださいね。

なお,登記簿の見方をお話したついでに,登記簿のチェックポイントを少しだけ書いておきます。手元にある登記簿を良く見て,次のようなことに当てはまらないか今すぐチェックを!

表題部の関係

◎その建物はそもそも登記してあるか

建物を新築したら1か月以内に法務局に登記しないといけません。銀行からお金を借りて建物を建てたら,銀行が担保設定するので,必ず登記することになりますが,現金で大工に頼んだら登記してないこともあります。誰も言ってくれないので。登記しておいたほうがいいですね。

◎建物の床面積が合っているか

登記簿の床面積よりじっさいかなり大きな建物になっていることないですか。増築したのに登記していないケース。建て増しなどしたときは,これまた登記しないといけないことになってます。

◎土地の地積は合っているか

いろんな理由により登記簿の地積とじっさいの土地の面積がかなりずれていることがあります。売却する際などに問題になることがあります。ちゃんとするには測量など必要になり,お金がかかるんですが,余裕があるならやっておいたほうがいいです。いざやろうとすると時間がかかることもありますので。

◎先代の名義や知らない人の名義(共有を含む)になっていないか

相続になっていても,誰かが主導権をもって手続してないと,登記名義がそのままになっていることがあります。2度,3度相続が入っていると,相続人がたくさんいるケースもありますが,全員の判子がないと名義変更できません。相続人が亡くなっていて,代替わりすると,面識がなくて,判子をもらうのも一苦労です。あなたが住んでいる住宅の敷地はそうなってないですか?いざ売却や買い換えをしようとしても,相続登記をやってからでないと売却できません。登記簿を見て,相続登記がまだだとわかったら,すぐにやっておいてください。伸ばせばもっと複雑になります。簡単になることはぜったいありません。

◎土地の地目が「田」又は「畑」になっていないか

これらの土地は農地法の適用があり,普通の宅地などのように自由に譲渡等ができません。農地を譲渡したり,農地以外にしたり(転用),農地以外にするために譲渡したりするには,農地法の決まりにしたがって行政の許可等を受けないといけません。許可等がないと,それらがまったくできないんです。農地を処分しようと考えている場合は,早めに専門家に相談しておいてください。思っているようにできなかったり,時間がかかったりすることがあります。

甲区の関係

◎共有になっていないか

その不動産は所有者が複数いる状態で登記されていますか?そうである場合,所有者の名前の前に,持分○分の○とかいう記載があるはずです。不動産の所有権を複数の人で分け合っている状態を,共有といいます。共有の不動産は注意が必要です。財産が共有になっている場合,共有者ができることが民法に決められています。

保存行為は,共有者それぞれが単独でできます。
管理行為は,共有者の持分価格の過半数で決めてします。他人に賃貸したり,賃貸契約を解除したり,単独で使用したりするには,共有者が協議して,過半数とらないといけないんです。

(共有物の管理)
民法252条
共有物の管理に関する事項は,前条の場合を除き,各共有者の持分の価格に従い,その過半数で決する。ただし,保存行為は,各共有者がすることができる。

処分行為は,共有者の全員でのみすることができます。売りたくても独断では売れず,全員の判子が要ります(自分の持分だけ売るのは自由ですが持分だけ買う人はいないので結局売れません)。

不動産の共有はできるだけ避けるべきです。相続,贈与,財産分与によって誰か1人の名義にできるなら,そうしておくのが無難です。共有者が知らない人なんていうのは最悪なので,この際ちゃんと調べて,将来不動産をどうするか決めておきましょう。

◎差押,仮差押,仮処分の登記が入っていないか

税金を長いこと滞納すると役所から不動産を差押さえられることがあります。それでも放っておくと,そのうち強制的に売却されてしまいます。これを公売と呼びます。支払っていない税金はないか,所有者に確認して直ちに対処しましょう。また,民事の紛争(支払うべきお金を払っていないなど)で差押,仮差押,仮処分をされたり,登記簿の乙区に登記した抵当権や根抵当権の実行(同じく支払うべきお金を払っていないときにされる)によって差押さえをされることもあります。これも放っておくと,競売等によって不動産の所有権を失ってしまいます。こういう登記を見つけたら,一刻も早く関係者に事実を確認してください。よく分からなかったら専門家の法律相談を受けることです。

◎予告登記が入っていないか

登記の目的のところに,「○番所有権抹消予告登記」などとあれば,不動産の権利に関係する重大な民事裁判が起こされています。同じく直ちに所有者に確認しましょう。

乙区の関係

◎抵当権や根抵当権がたくさん付いていないか

たくさんの金融機関から借入れをしている証拠です。抵当権や根抵当権の数は少ないほど健全です。まったく付いていないのが理想。抵当権や根抵当権の,債権額や極度額の合計金額はいくらになっていますか?この合計額が不動産の価値を超えている場合は危険です。そういうときは,じっさいに残っているローン額はいくらなのか確認しましょう。不動産の評価からじっさいに残っているローンの額を引いたものが,正味のその不動産の価値です。残債務の額が不動産の評価を上回っている場合をオーバーローンといいます。オーバーローンになっていると,原則として,追い金をしないと不動産を売却することができません。

◎ノンバンク(銀行以外の金融機関)の抵当権などが付いていないか

これはかなり危険です。オーバーローン状態になっていることも多いはず。金利も高いので,今後支払い能力がなくなれば,不動産を任意売却や競売で取られてしまう可能性があります。

◎代位弁済で抵当権が移転していないか

登記の目的に,「○番抵当権移転」とあり,権利者その他の事項のところに,「年月日代位弁済」とあれば,超危険。不動産が競売される一歩手前です。抵当権を付けた金融機関への支払いが長期間滞ったので,金融機関が保証会社から立替払いをしてもらったサインです。なので,抵当権は保証会社に移り,現在保証会社から支払いの請求を受けているはずです。このまま支払わないと,保証会社が裁判所に担保権実行の申立てをします。すると登記簿の甲区に「差押」の登記が入り,競売の手続が進んでいきます。一刻の猶予も許されない状態です。

◎地役権が設定されていないか

「地役権が設定されている」というのは,あなたの土地ではないほかのある土地のために,あなたの土地に利用制限がかかっていることだと思ってください。地役権は民法に書いてある土地を使うための権利で,契約により設定します。この権利が設定されていると,あなたの土地は,契約して登記されている範囲で利用に制限がかかります。よくあるのが,電力会社があなたの土地の上空に高圧線を引くために,土地の一部分に建物等を立ててはいけない,などという制限をかける地役権です。電線の真下は危険だったり,メンテナンス等のために電力会社が利用する可能性があるので,あらかじめ土地を分譲する前に売主との間で契約し登記しているのです。登記しているので,土地の利用制限は買主に引き継がれます。その他,奥の土地の所有者が,あなたの土地を通って広い道路に出るために,あなたの土地の一定の範囲を通路として利用するための通行地役権を設定していることがあります。広い土地だと思っていたら,目論見どおりに使えない可能性があります。注意してください。

以上。

ちなみにここに書いたのは分かり安すぎるケースですが,司法書士は,登記簿を見ると,結構いろんなことが分かります。

まずもって登記は不動産の権利を他人に対抗するためにするので,それぞれの権利の対抗関係(誰が,誰に対して,何を,法律上主張できるか)がはっきり分かります。

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
民法177条
不動産に関する物権の得喪及び変更は,不動産登記法 (平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ,第三者に対抗することができない。

また受付年月日や登記原因日付のちょっとしたずれや先後関係,登記原因や登記事項などの文言,共有者の顔ぶれなどから,当時関係者が何をしようとしていたのか,どういう人間関係になっていたのか等を推測できるケースもあります(完璧に当たるわけじゃじゃないですけどね)。

そもそも司法書士は,登記簿に書いてある登記をするのに,関係者(当事者,不動産会社,金融機関など)がどういう動きをしたのかかなり詳しいところまで分かるんですね。登記業務をしているので当然です。

なので,上のケースに当てはまる場合はもちろんのこと,登記簿を見て疑義があったら気軽に司法書士に相談してみてください。意外なことが分かるカモ??

何にしろ,とにかく,

登記簿謄本(登記事項証明書)

固定資産評価証明書

です。

奈良県北葛城郡王寺町の司法書中尾哲也の写真楕円形

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