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信教の自由と政教分離について

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投稿者:中尾 哲也
政教分離の靖国神社

Wikipediaより

奈良県北葛城郡王寺町の司法書士中尾哲也

今年の8月15日は70回目の終戦記念日でした。もう70年,でもたった70年前の出来事だったんですね,あれは。

さて,悲しいことにwお盆休みも終了。今週からまた仕事です。

お墓参りしました?していない人は手を挙げてください。まさかそんな人はいないと思いますが,,,いるんですか?いいんですかそんなことで!!恐ろしい,,,ことになりますよ。ちゃんとお墓の草むしりもしましたか。「こんなもんでいいだろ」とかダメですよ。ほら,親戚の目はごまかせても,あなたの心の目はごまかせません。ましてやご先祖の魂の慧眼は決してごまかすことができないんです。何ですか?お前はどうなんだ?お前は墓参りに行ったのかって?聞いているのはこっちです。私のことはいいんです。

さて気を取り直して,,

お盆明けだからこそ問う。あなたは宗教周りの常識をちゃんと押さえているのか,と。

葬儀・葬式,お墓などなど,宗教関係って,なにやらルールが分かりにくいと思いませんか?このへんの法律はどうなってんだと。

そうでしょうそうでしょうwそうでないと困ります(なんでやねん)。ではその声に応えて(無理強いw),何だか分かりにくい宗教周りの法律知識をざざっとまとめておきます。いっぱしの日本人たるもの,この程度は知っておかないと世間話もできやしねぇという話です。

これ,お盆に1本にまとめてアップしようと思ったんですが,さすがに長すぎたwまったりかき氷を食べている人にこんなの読んでもらえるとは想像できなかったので,今週分割してアップすることにしました。

盆休みのかき氷

この連載wに目を通していただければ,宗教周りの常識がひととおり押さえられます。( ー`дー´)キリッ

ただし法的なことだけです。宗教周りの法的な基礎知識だけ。だから,これを読んだからといっていっぱしの日本人になれるわけじゃなし,また宗教家やキリストになれるわけでもありません。なので,読後に急に偉そうにするのは止めてくださいね(そんな奴いるかよ)。お盆明けなのでくれぐれも慎み深くお願いしますね(なんやよーわからんな)。

ついてはこういう構成で行きます。
前半はちょっと抽象的だけど大事なこと。後半だんだん具体的になります。

項目 記事のタイトル
宗教と憲法 信教の自由と政教分離について
宗教法人 宗教法人の課税について(坊主丸儲け)
人の死と法律 死亡時間や出生時間はどのように決まるか
埋葬 日本では火葬しかできない(土葬禁止)って本当?
葬儀 葬儀・葬式はやらなくていい?
祭祀やお墓 仏壇やお墓は誰が後を継ぐのか?
遺骨 遺骨の権利は誰のもの?

 

なぜ宗教周りの法律は分かりにくいか

宗教ってよく分からんな,宗教と法律ってどういう関係になってんのと思ったことないですか?

法律っていうのは,要するに,政治権力が人民をうまく治めていくためにヨーロッパ社会が考えたルールです。遥か昔政治権力は特定の宗教と強く結びついていましたが,ながーい歴史のごたごた(権力争い)を経て,特定の宗教と政治権力が一体化してるのはおかしかろうということになった。

結果,特定宗教と政治権力を完全に分離したり(フランス・アメリカ・日本),一応国の宗教は決めるけどその他の宗教も広く許したり(イギリス),その他政治権力と宗教はまったく違う価値ある存在だとまず認め合い,両者が契約して,役割分担で国を治めたり(イタリア・ドイツ),いろんな形に落ち着いていきました(一応うえの三つくらいに分類できるが,国によってバリエーションはいろいろある)。

つまり政治ルールである法律は,宗教とある程度距離を置いたんです(私達しばらく距離を置いてやっていきましょ)。相手のことには口出ししないと。だから,法律の中には,宗教のことはあまり出てきません。中身については全然出てこない。宗教のことは宗教の方でやってね,ということです。

ところで,日本の法律(法)は,明治維新をきっかけに,ヨーロッパの完成品をほぼ丸ごと輸入(法律の世界では,かっこつけて「継受」などと呼ぶ)して作られました。なので日本の法律にも宗教のことがあまり出てこないのです。あの明治憲法にも宗教は基本自由だよ,何やってもいいよ,と書いてあったくらいです(後に神道は宗教じゃない,だから強制してもいい,と国教化(国家神道)するわけですが,,)。

とにかく法律は宗教にあまり触れない。詳しいことはあえて書かない。だからよくわからんね,と相成るわけです。

 

信教の自由と政教分離について

信教の自由・政教分離って何のルール?

政教分離だ!靖国参拝だ!アベを倒せ!いや俺がアベだ!(ちょっと違うかw)なんて騒がしいですが,信教の自由や政教分離のことをちゃんと理解していますか?ある程度正しく分かってそんなこと言わないと恥ずかしいです。

信教の自由とか,政教分離というのは,要するに,「俺は自由に俺様の神を信仰するぜ」だから「国とか役所は宗教のことに口出しすんなよ」ってことです。ただこれでは分かりやすすぎて逆に使えないので,もう少しだけつっこんで見ていきます。

信教の自由,政教分離は誰が決めたルールか。どこで決まってるルールか。これは,憲法に書いてあるルールです。憲法の基本的人権のところに書いてあるルールなので,このルールを守らないといけないのは,あなたじゃなくて,お国のほうです。

信教の自由や政教分離は,人権のうちでも「自由権」として位置づけられます。簡単にいうと「宗教に関して,国は,俺の自由を邪魔すんな」と,お国がしゃしゃりでてくるのを縛りつけているルールです。

じっさいの条文は次のとおりです。

信教の自由・政教分離のじっさいの条文は?

憲法20条
信教の自由は,何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も,国から特権を受け,又は政治上の権力を行使してはならない。
2 何人も,宗教上の行為,祝典,儀式又は行事に参加することを強制されない。
3 国及びその機関は,宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

同89条
公金その他の公の財産は,宗教上の組織若しくは団体の使用,便益若しくは維持のため,又は公の支配に属しない慈善,教育若しくは博愛の事業に対し,これを支出し,又はその利用に供してはならない。

20条1項前段保障するまでと,2項が信教の自由。あとは全部政教分離が書いてある。

「俺の神を信じるぜ」といっても,「国が宗教に口出し」するとそれができなくなる。ということは,信教の自由を守るために,政教分離が必要ってこと。信教の自由が目的で,政教分離は手段。こういう関係を,「制度的保障」といいます。政教分離という制度が,信教の自由を保障してるってこと。

信教の自由(目的)
↑制度的保障
政教分離(手段)

で,政教分離という手段はこういうふうに仕組まれています。つまり政教分離という制度をちゃんと維持できる(守らざるをえない)ように,89条によって,国が宗教にお金を出せないようにしている。お金って大事ですからね,お金がないと何も出来ない。

20条1項後段と,3項(国は,何しちゃいけないか)
↑財政面からバックアップ
89条(お金を出すな)

法の仕組みはだいたいこんなんですが,この際もう少しだけ我慢してくださいw

信教の自由についてあと一歩つっこんでみる

信教の自由の内容

俺の神を信仰したり,しなかったりすること

こういうのを信仰の自由といいます。信仰の自由には次のようなことが含まれています。

  • 宗教告白の自由
  • 信仰によって利益不利益を受けない自由
  • 親が子供に宗教教育をする自由

※俺は尻フェチ教だぜ!ヒャッホーと公言しても国に迫害されないってこと。さすがに子供にそれを教えるのはどうかと思うが,まったくダメとは言えないw(ふざけてすみません)(職場で嫌われたり,セクハラで訴えられるのは別)

その信仰にもとづいて行動すること

こういうのを宗教的行為の自由といいます。信仰にとって必要なら,祝典,儀式,行事その他布教活動を自由に行うことができます(もちろん人に迷惑かけない範囲でね)。

※尻フェチ教だからといって,尻を拝もうと痴漢行為をするのはダメ!合意してないとダメですw

その信仰をさらに宣伝するために団体で行動すること

こういうのを宗教的結社の自由といいます。信仰を広めたければ,人を集めて組織化し,でっかく宣伝しないといけないでしょう。そういうのも許されています(でっかくなっても武将に寺を焼き払われたりしない)。

※尻は二つに割れているので,2人で,,やめましょうw

じゃあ,完ぺきに信教の自由でいいのかい?(信教の自由の限界)

「信仰」(信教じゃなくて信仰)は自分だけの問題なので完ぺき自由でいいでしょう。ただ,行為とか結社になるとそうはいきません。自分だけの問題じゃないからです。

公共の安全,公の秩序,公衆の健康や道徳,他人の基本的権利を守るという目的のために,最小限度の手段で,国は信教の自由に規制をかけることができます。尻の例でわかりますよね?

例えば,教会に行くために,日曜参観を欠席した場合,学校が指導要録に欠席処分の記載するのは許されるとする裁判例があります。公教育の特別の必要性から,宗教的行為の自由が制約された事例です。欠席は欠席だろうと。

一方,エホバの証人の信者が,学校の必須科目である剣道実技を拒否したため,学校が生徒を留年・退学処分にした事案に関し,判例は,学校のやりすぎで違法と判断しています。「別に剣道じゃなくても代替手段で単位認めていいでしょ」「剣道できないっていうのは教義の本質と関わるので尊重すべきでしょ,最初から分かって入学したとはいえないでしょ」「特別扱いしたからといってエホバ優遇とかエホバ弾圧とかならないでしょ」「もうちょっと生徒と話し合ったほうがよかったんじゃねえ」というような理由です。

いろいろ難しいんですが,信教の自由を国が制約していいかどうかの判断基準はだいたいこんな感じです。

その制約が,国などが「必要不可欠な目的」を達成するための,「最小限度の手段」(やり方)におさまっているかどうか

つまり,規制をかけることよって達成しようとする目的が必要不可欠とまで言えないねと判断されたり,目的が必要不可欠だったとしても手段がやりすぎだよねと判断される場合は,国などの行為は憲法違反になるってことです。

政教分離(国がしちゃいけないこと)についてもついでにつっこんでみる

政教分離の内容

手段のほう行きます。こういうことはダメです。

  • 国などが特定の宗教団体に特権を与えること ※1
  • 特定の宗教団体が政治権力(立法権や課税権などの統治権のこと。政治活動はしてもいい)を行使すること ※2
  • 国などが特定の宗教団体に金を出すこと

※1 尻フェチ教を援助するため,公立学校の性教育で,尻フェチ教団の協力のもと,尻のことばかり教育するのはダメ。また,尻フェチ教を弾圧するために,ブラジャー教に特権を与えるのもダメ
※2 尻フェチ教団が国会の多数になって,お尻関係の立法ばかりすると大変なことになる(いくら何でもお尻のことだけでは国が回らない)

じゃあ,完ぺきに政教分離できるのかい?(政教分離の限界)

国は宗教に口出し(金出し)するなといっても,まったく口出ししない(1円たりとも金出ししない)という意味ではないです(ここ重要)。そんなことは不可能だし,またするべきでも無い。だって,社会の仕組みというのはその国の歴史的な宗教と切っても切れないもので,宗教から生まれた行事だってたくさんある。国がこれにまったく関与しないというのもおかしな話です。また,宗教団体も国民の1人に違いないので,宗教団体にだけ無関心でほうっておいたり,宗教にだけ冷たくすれば,これは逆差別になります。

なので,どこまで国が宗教にかかわれるのか。何をしたら憲法違反になってしまうのか。これを考えるのが1番大事になるんです。どういう基準で判断するのかってことですね。

この点日本では,実は,日本と同じような政教分離の考え方を採用しているアメリカの憲法判例を参考にして判断しています(そう解釈されている)。

さわりだけ言うと,こういう基準のことを,「目的効果基準」と呼びます。判断基準はこんな感じです。

  • 国などの行った行為の「目的」が,宗教的意義を持つかどうか(それとも世俗的か)
  • 国などの行った行為の「効果」が,宗教を援助,助長,促進したり,又は圧迫,干渉するものかどうか

どちらか一つでも積極(宗教的に影響する)と考えられると,政教分離原則違反として,違憲になるという考え方です。

もっとも,二つの要件をどの程度厳しく認定するかなどいろんな説があって,判断は簡単ではありません。

神社への玉串料(たまぐしりょう)の支出や靖国神社参拝問題など,いろんな判例や裁判例があります。合憲,違憲様々です。それだけ難しい問題なのだ。

 

今日はここまでにします。

 

◎蛇足
もう終わりましたけど,お盆って,ご先祖様と現役世代が精神的(霊的)に交流するれっきとして宗教行事のことなんですね。お盆の由緒にはいろんな説がありますが,1年に2回くらいはご先祖や神様を想って感謝しなさいと。いや,お前はいつも鼻息荒いから,節目節目で頭を冷やせと。そんなところだと思います。

さて2回のうち,1回が正月になった。1回がお盆になった。

日本は昔から神道(※1)と仏教(※2)を両方大事にしてきたお国柄。儒教(※3)っていうのもありますが,神道仏教が二大巨頭(神様仏様なんていうでしょ)。

正月は神事。お盆は仏事。大御所で上手いこと分け合ったんですね。

※1 神道
世の中のすべての物事に神様の存在を見て感謝する宗教。汎神論(神様いっぱい)のほか,古事記とか日本書紀といった日本神話に書いてある国の正史も神道の一つ(明治大正昭和と政治利用されたおかげで悪者になっている)。

政教分離の神道

Wikipedia

※2 仏教
永遠に変わり行く世界のつながりをそのまま受け入れる宗教。仏教に神様はいないよ。

政教分離の仏教

Wikipedia

※3 儒教
論語などに出てくる価値観の体系。人間いかに生きるのが正しいのかを追求する思想。

政教分離の儒教孔子

Wikipedia

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