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司法書士が解説!ペットに遺産を相続させる最新の方法

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投稿者:中尾 哲也
ペットの遺産相続

 

厚労省

厚生労働省WEBサイトより

奈良県北葛城郡王寺町の司法書士中尾哲也

お国に正式登録しているお犬様の数は,674万。ただしまだ登録していないとか,あえて登録していないお犬様も相当数いらっしゃると思われる。

 

ペットフード協会

ペットフード協会WEBサイトより

そこでペットフード協会がネット調査した資料を見ると,なんと1000万から1200万!!こっちのほうが実数に近いんじゃないかと巷ではいわれております。

ところで,総務省統計局のお調べによると,ここ数年の年少人口(0歳から14歳)の総計は,1638万から9万となっています。

お犬様は,人間の年少人口に迫らんとする勢いです。おそらくニャー様も同数程度いると推測されるので,これを合わせると,もはや人間の年少人口をはるか超えております。

ということで,今後,日本の政治はまずもって高齢者に向けて行われ,そして次にお犬様とミー様の生活が優先されると確実視されています。なんだ!「国民の生活が第一」じゃないのか!と,現役世代の人間として暗澹たる思いがする次第です。

冗談はさておきw,犬と猫(嫉妬したので呼び捨て)の数が大変多いのは事実で,人間の子供の数が大変少なくなっているのもまた事実です。

そうなってくると,あなたがもし身寄りがなく高齢になって,可愛がっているペットがいる場合,まず自分が死んだ後のペットのことが心配だし,なんとか自分の財産もペットに継いでもらいたいと考えるはずです。

いや,仮に親族がいたとしてもそうです。親族がいても,場合によっては,自分の財産はペットのほうに継いでもらいたいと考えて不思議ではありません。

そこで今日は,あなたが一所懸命に築いてきた大切な財産を,これまた大切なペットに遺産相続させる方法をお教えします。

 

ペットは直接遺産を相続できない!

司法書士 大変申し上げにくいことなんですが,,ペットに直接に遺産相続させることはできないんですよ。

あなた ガーーーン!!何!ペットに遺産相続できるって言ったじゃない!この詐欺師!!ろくでなし!!犬畜生!

いや最後の言葉おかしいと思うんですが(ワンちゃん大切なんですよね?),,すみませんが,法律はそういう仕組みになっているんです。言いにくいことだからこそ,最初に言っておきますね。言いにくいことは最初に言えというのが松下幸之助さんの遺言ですので(嘘)。

犬は民法上は「物(ぶつ)」

言いにくいことなんですけど,犬は法律上は「物(ぶつ)」として扱われるんです。犬であろうが,樹木であろうが,魚であろうと同じなんですが,法律の世界では,人間以外は全部物として扱われるんですよ。

法律って,人間の,人間による,人間のための仕組みなんです。法律とは人間が作った大劇場のステージだと思ってください。その人間劇場で主役になれるのは人間だけなんです。人間以外の物は,ぜんぶ物なんです。少し難しい話をすると,憲法では,人権を持つことができるのは人間だけで(人権享有主体性),いま話している民法では人間だけが権利や義務を持つことができ(権利能力),また刑法の世界では,犯罪を犯すのは人間だけで,殺人罪などによって守られる対象も人間だけなんですね。

遺産相続は財産の話なので,民法の話に戻します。民法は「人」が「物とか権利」をやりとりするルールが書いてある法律です。「物」とか「権利」を持つことができるのは人間だけです。権利や義務の持ち主になることを「権利義務の主体」になると表現しますが,権利義務の主体になることができるのは人間だけなんです。権利義務の主体になれる能力を「権利能力」といい,人間だけが権利能力を持っているのです。考えてみれば当たり前の話ですよね,「物」が「物」を持つってありえないですので。テーブルがコーヒーカップを所有しているって考えられないでしょ?そんな権利をテーブルに認めたところで,テーブルが自分でコーヒーカップをやりとりすることなんてできないんですから。

ペットと遺産相続の話もこれと同じことです。ペットである犬は法律上あくまで物なので,これまた物や権利である遺産(不動産とか,預貯金とか)を所有することはできないんです。仮にペットが不動産を所有しても,じっさいこれを管理したり,契約して売ったりできません。

つまりペットは直接に遺産相続ができません。

じゃあどうやってペットに遺産相続させるか

ペットは直接に遺産相続ができません。いま直接といいました。そうです,「直接」にできないのなら,「間接」にできるようにすればいいのです。

繰り返します。ペットに遺産相続をさせるということの意味は,直接ペットに遺産相続させるんじゃなくて,「間接的」にペットに遺産相続をさせること。

わかりやすくいうと,「あたかもペットに遺産相続させたのと同じ効果がでるようにあなた自身の遺産相続の手続をする」ということなんです。

あなたの望みは,ペットが直接不動産の所有者になったり,預貯金の管理者になることではありませんよね?そうじゃなくて,ペットの生活がこれまでと同じように保証されること。おなかがすいたり,虐待されることなく,楽しく快適に生きていってもらうこと。そのことのはずです。

これならば,うまくやればきっと実現できます。法律は,そこまでペットを苦しめるものではありません。ただし,うまくやらないといけません。上手くやらなければ,あなたの望みは実現できないのです。だからその方法を,ここで説明しようと思います。

 

ペットに遺産相続させたのと同じになる方法

ペットに相続させる新しい方法?

ペットに相続させる方法をインターネットで調べているといろんな方法が出てきます。なにやら会社を作って財産を移したり,複雑な信託契約をしたり,,良くわからなくなってきた,,

それもそのはずです。いまペットに実質的に遺産相続をさせる方法がいろいろ考えられています。法律の専門家ではないあなたがそんな情報に触れても,なんのことかわからないし,あんまりややこしいことをしたくないと考えるでしょう。それに,あなたがペットを大事に思う気持ちとちょっとずれているような,,そんなふうに感じるのではないですか?

あなたはその直感を信じるべきです。新しいことが常にベストやベターではありません。「古いもんを大事にせい,温故知新や,親を大事にせんとあきまへんがな」と松下幸之助が,,これは本当に言っていたかなwともかく,最新の方法があなたにとって常に良い方法とは限らないんです。そして,あんまり複雑なものはおすすめできません。いい方法は多くの場合大変シンプルなものです。

今日紹介するのは,実は新しい技法ではありません。むしろ本日現在でも通用する古典的な方法です。法律関係が複雑ではなく,誰でも理解できて,今後も通用する方法です。その意味で,本日現在でもやはり最新のやり方だということができます。

ペットに遺産相続をするのに一番大事な考え方

技法をあれこれしても私はあまり意味がないと考えています。それは,どんなやり方を採用したとしても,担当者が信頼できなければ,結局ダメになってしまうと思うからです。どんなやり方をしてもです。

上場会社には立派な監査役がいて,さらに大手の監査法人が最新の理論でチェックしています。これらの人々には,法的な義務もたくさん課されています。それでも不正は起こります。

このことからも分かるように,仕組みよりも大事なのは,「信頼できる人」を見つけることです。ペットに相続させる問題も同じこと。信頼できる人を担当者としてつけることが一番重要で,それ以外はおまけといっていいでしょう。

そして,この信頼できる人を見つけるのは誰の仕事か?法律家の仕事か?違います,それはあなたの仕事です。あなたの仕事なんです。ずっと一緒に生活していたペットを誰に任せたらいいか,そのことについて,一番目利きができるのは間違いなくあなたです。法律的なことはこれから説明しますが,それだけでは何も解決しない。信頼できる人を見つけてくるのは,あなたの仕事だということを覚えておいてください。

それでは,私のほうで,法律的な仕組みを二つほど説明していきます。

 

遺言書を作って「負担付遺贈」をする

負担付遺贈の意味とやり方

じっさいにペットのお世話を親身にしてくれる信頼できる人を見つけます。そしてこの人に財産を相続させる遺言をします。ただの遺言ではありません。「最後までペットのお世話をする」という負担付の遺言です。負担というのは,条件のようなものと考えてください。この人(人間ですが)があなたの遺産を相続します。ただし,ペットのお世話をしている限り遺産をもらえるのです。ペットのお世話をしなくなったら,遺産を返さないといけません。

じっさいに継続的に,また親身に,お世話をしているかどうかチェックする仕組みも作ります。そのためには,「遺言執行者」という人をあなたが指定しておきます。遺言執行者は,財産をもらった受遺者が,ちゃんとペットのお世話をしているかどうかを定期的にチェックします。もし頼んでおいた受遺者がちゃんとペットのお世話をしていなかったら,遺言執行者から「ちゃんとやってね」と催告してもらいます。催告してもダメなら,遺言執行者から裁判所に請求して,遺言を取り消してもらいます。

遺言が取り消されると,遺産は元に戻って法定相続になってしまうので,そうならないように予備的な仕組みも整えておきます。次の人に頼む仕組みです。

負担付遺贈のメリット

この仕組みのメリットというか,ポイントになっているのは次の点です。

  • 財産をもらうと大変嬉しいので,ペットのお世話にやる気が出ること
  • お世話を止めると財産を返さないといけないので,お世話を続けるモチベーションになること
  • 遺言執行者がチェックするので,ちゃんとお世話してもらえる可能性が高いこと

負担付遺贈のデメリット

  • 遺贈は放棄できるので,受遺者が財産いらないと思えば投げ出されてしまうこと
  • お世話をする前に,先に,いっぺんに,財産が受遺者に移ってしまう
  • 受遺者の個人財産と見分けがつかないので,受遺者が破産したり差押えされたりすると,財産がなくなってしまう危険がある

 

「遺言信託」や「生前信託(遺言代用信託)」をする

遺言信託・生前信託(遺言代用信託)の意味とやり方

1の方法のデメリットをなくす方法として考えられるのがこの方法です。
信託というのは少し分かりにくいですか?ごく簡単にいうと,「AさんがBさんに頼んで,財産をあんた名義にするから,こういうふうに使ってね」ということです。Aさんのことを「委託者」,Bさんのことを「受託者」,財産のことを「信託財産」,こういうふうにという内容のことを「信託目的」といいます。AさんがBさんに頼む頼み方のことを,「信託行為」といって,契約とか遺言とかですることができます。

信託の仕組みについてはここを参考にしてください。

今回の場合であれば,信頼できる人に財産を信託して,ペットの世話のためにだけ使ってもらいます。具体的には,じっさいにお世話をしてくれる飼い主に毎月必要な分だけ飼育費を渡してもらうのです。

財産を託された受託者は,信託財産を,自分の財産とは切り離して管理処分します。
そして,財産を託す受託者や世話をする飼い主がいなくなっても,代わりの人が担当できるように,最初に仕組みを作っておきます。

受託者がちゃんと適切な額を飼い主に渡しているかチェックするために,もう1人「信託監督人」という人を用意しておくこともできます。

信託のメリット

1番のメリットは,何と言っても,財産を信託できることです。

どういうことかというと,あなたの財産は,受託者の財産と法律上切り離された信託財産として管理されるので,万一受託者が破産したりしても関係ありません。あなたの財産は常に独立しており,完全に守られるのです。

あと,生前信託(遺言代用信託)の場合,契約でするので,受託者が勝手に放棄できないのもメリットです。

信託のデメリット

  • まずあなた自身,ちゃんと仕組みを理解するのが難しいことです
  • 内容が複雑になるので,仕組みを作ったり,契約を締結するのに費用がかかることです。司法書士などの援助が必要になるでしょう。

 

まとめ

いろいろ説明しましたが,仕組みは司法書士に聞けば教えてくれます。あなたは,相談して理解するだけでいいのです。

何より大事なのは,あなたの大切なペットを,親身になってお世話にしてくれる人を見つけることです。「信頼できる人」を見つけることです。

これは人間の相続だって同じです。「誰に相続させたらいいですか?」という質問に,あなたならどう答えますか?。それは,あなたが好いていて,信頼している人にしたらどう?と答えるはずです。

ペットは「直接」相続できない。だから,「お世話してくれる人」が「相続人」なんだというつもりで「誰に頼むか」を考えてみてください。

奈良県北葛城郡王寺町の司法書中尾哲也の写真楕円形

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つづきにどうぞ

ペットに財産を相続させる遺言書の書き方について説明します

 

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