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その賃貸借契約書って無効じゃない?借地借家の法律編

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カテゴリ 
投稿者:中尾 哲也
市販の賃貸借契約書

奈良県北葛城郡王寺町の司法書士中尾哲也

こんにちは,司法書士の中尾です。

みなさん「契約」って聞いてなにを思い浮かべますか?まっさきにくるのが,売買契約とか,賃貸借契約とか,お金を貸し借りする消費貸借契約とかじゃないでしょうか。あと贈与契約とか。今日は,それらのうち,案外勘違いされていることの多い「賃貸借契約」について書いてみます。

唐突ですが,私はいま心の中で,

  • 世間に出回っている「その賃貸契約書って無効じゃないの?」
  • もしかして根本的に「賃貸借契約のこと勘違いしてんじゃないの?」

と思っているんです。

  • っていうかそもそも「賃貸契約を見くびってないかい?」
  • だいたいが「賃貸契約を甘くみてないかい?」

とも考えているのです。なので,

「その賃貸契約書って無効じゃないの?賃貸借契約の法律ちゃんと押さえてる?」

というあたりが今日のテーマになります。

「何が無効だ!勘違いはテメーのほうだろ,むかつく言い方しやがって。賃貸契約くらい何回もしたことあるよ(アパート借りてるし)。舐めんじゃねー」

と思ったそこのあなた。

とりあえず本稿を最後までお読みください。あなたは,本当に,賃貸借契約のことを知っていますか?賃貸借契約のこと,知らないんじゃないですか?もしこれを最後まで読んで,なお「俺は詳しいんだ!」との考えに揺らぎがなければ,いさぎよくいま挑発したことを謝りましょうwwそのときはお時間を頂戴したお詫びにいつでも使える30分無料相談チケットを差し上げますので(いらんか)。

前置きはいいとして,,

今日のテーマの不動産の賃貸借は論点を詰めていくと実のところ相当難しいんです。本当ですよ。しかし今日はそこまで突っ込みません。俺はもっと難しいことが聞きたい,そんな話じゃ物足りない,歯ごたえがほしいというプロの方は,事務所までその旨リクエストください。

さてと,,(前置き長すぎるよ)本テーマはブログ2本に分割してやります。以下のとおり。今日は1本目です。

  1. その賃貸借契約書って無効じゃない?借地借家の法律編
  2. 市販の賃貸借契約書をチェックして気をつけることを書いてみた

 

目次

  • 勘違い1 賃貸借契約をするのに民法だけ考えればいいと思っている
  • 勘違い2 「土地」の賃貸借も「建物」の賃貸借も同じだと思っている
  • 勘違い3 土地建物の賃貸借契約で何を決めても自由(有効)だと思っている

 

本文

 

勘違い1 賃貸借契約をするのに「民法」だけ考えればいいと思っている

借地借家の勘違い

違います,,

「っていうか,そもそも民法とかなんとか知らんよ。契約すりゃいいんだろ,お互いが納得して書面作ればそれでいいじゃないか」

あっ,それは,それも違うんですが,,ちょっと話していいでしょうか。

契約っていうのはそもそも民法のルールです。というか,民間人と民間人が何かして,やってることの意味が分かるようなことはwおよそすべて民法の土俵に乗ってます。「民法とかなんとか知らんよ」とおっしゃいますが,契約をするんですよね?契約書をつくるんでしょ?契約をして契約書を作るってことは,トラブルになったらその内容を世間に認められたいってことだ。場合によって裁判所にも認めてもらいたいってことだ。つまりお国の力を借りて自分の権利が守られるようにしたいってことだ。それなら「知らんよ」ではいけません。ちゃんと法律のルールにしたがってやらないとお国は助けてくれないからです。

「うるせえ!契約すりゃいいんだろ,お互いが納得して,,それでいいじゃないか」

いやだから,それでいかどうかは,法律に書いてあるんです。契約のルールは法律が決めている以上,「それでいいかどうか」も法律にもとづいて判断します。なので,法律なんて「知らんよ」では済まないのです。

ここにいう「法律」って民法のこと?民法だけ調べればいいのか?っという問いに対する答えはNO!民法は根本の根本の法律で,契約でいえば,そもそも契約とはなんだってことが書いてある。契約の成立から終了まで時系列で押さえているし,守られなかった場合の処理も書いてある。で,モデルケースしてよく使われる契約の基本類型も示されている。もちろん賃貸契約だってメジャーだから民法が一応押さえているが,やっぱりそれだけでは足りない。なぜか。

民法はガチンコすぎるから

えー,その意味ですが,,民法っていわゆる近代法といいまして,ヨーロッパの市民革命なんかに由来する法律なんです。民法だけじゃなくて日本の法律っていうのはそもそもそう。法律を作るときに大前提がありますよね,どういうモデルを想定するかっていう。民法が想定しているのは,ごく簡単にいうとこういう人間社会像。

  • 世の中の人はみんな同程度の能力があって対等。
  • それぞれ合理的に判断できる。
  • ルールさえ決めてやればあとは放っておけばいい。損得ちゃんと判断して取引するだろう。
  • 結果いい社会になる。ハッピハッピー。

でも現実は違います。じっさい世の中には賢い奴もいればバカもいる。騙すやつもいれば騙される人もいる。ABEさんやASOさんのような金持ちもいれば,生活保護に頼らざるをえない貧乏も。そんな人間が対等であるわけがない。対等に契約しろっていっても無理なんです。民法の契約ルールは,互いに対等で理想的な人間同士が,自分の損得をちゃんと判断して契約する前提で作られているので,理想は理想,そのままいくとちょっと厳しいねっていうケースはある。なので,場合によっては,民法よりも優先的に適用される「特別法」を作らないといけないわけです。弱者を守るために。

社会は複雑だから

民法は大元の法律であるために,大元の理屈には強いけど(最後はそこへ帰るけど),細かいことは書いてない。それでいいんだ,書いてないことは「契約自由の原則」でもって当事者が好きに決めていける。なんか問題あるの?というのが民法。自由だからいいとはいうものの,社会が発展し経済取引が複雑になってくると,逐一自由に契約して,トラブルがあるごとに,個別に決め事の解釈をするのが面倒になる。なので,法律に書いてある契約パターンをもうちょと増やしたほうがいいのでは?という需要が生まれる。そこで「特別法」ができてくる(弱者保護を兼ねたりもするよ)。

話が膨らんだので戻します。で,賃貸借契約の場合はどうなのか。民法だけでいいのか。特別法があるのか。

あります。とっても重要な特別法が。賃貸借契約について1番重要な特別法は「借地借家法」でしょう。なんせ借地とか,賃貸マンションの契約とか,日常みんなが使っている法律だから。

不動産賃貸に限った話になるものの,賃貸借契約を考えるなら,民法と借地借家法ははずせないです。つまり民法だけ考えておけばいいのじゃない,借地借家法もちゃんと考えないといけないのです。

小まとめ

  • 賃貸借契約は民法だけじゃだめ
  • 借地借家法も読まないとだめ(不動産限定だが)

なお,特別法特別法いいましたが,賃貸借契約に何らかの関係を持っている特別法はたくさんある。電子政府の総合窓口>法令検索で調べると,,

「賃貸」で検索すると185件ヒット

賃貸の法律法令

「賃貸借」で検索すると112件ヒット

賃貸借の法律法令

 

勘違い2 「土地」の賃貸借も「建物」の賃貸借も同じだと思っている

借地借家の勘違い

不動産の賃貸借には民法と借地借家法が適用されるといいました。借地借家法っていう法律なんだから借地も借家も同じルールでいいんだな?っといわれるとそれは違います。さらには,土地の賃貸借契約のすべてに借地借家法が適用されるわけじゃありません。条文見てみましょう。

借地借家法
(趣旨)
第一条  この法律は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。

「建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の,,」及び
「建物の賃貸借の,,」

に適用があるのが借地借家法です。ということは,「建物の所有を目的としない土地の賃貸借契約」はどうでしょう?駐車場契約とか。条文上入らないですよね。そうです,入らないです,駐車場契約は。なので駐車場は民法のみで契約します。法律の適用を整理してみます。

賃貸借契約に適用される法律

不動産以外の物や権利の賃貸借契約

  • 民法

不動産の賃貸借契約

土地の賃貸借契約

建物の所有を目的とするもの
  • 借地借家法(書いてないことは民法)
建物の所有を目的としないもの
  • 民法

建物の賃貸借契約

  • 借地借家法(書いてないことは民法)

小まとめ

  • 土地の賃貸借と建物の賃貸借はともに借地借家法が適用になるが別ルール。土地と建物はルールが違う。
  • 土地の賃貸借であっても建物所有目的じゃないものは民法で行く。駐車場とか。

 

勘違い3 土地建物の賃貸借契約で何を決めても自由(有効)だと思っている

借地借家の勘違い

また長くなってきたので早々三つ目いくべし。今度はもうちょっと具体的な話。契約の内容の話です。土地や建物の契約をするのに,契約書で何を決めても自由か,貸主と借主が合意さえすれば有効かどうか。これを考えるには,また先に理屈を押さえておくほうがいい。

借地借家法の目的を押さえる

借地借家法(昔は借地法とか借家法とか別々にあった)は,建物の所有目的の土地賃貸と,建物賃貸に適用があると話しました。これ,想定しているのは,ほぼ住宅です。国民の日常生活の基盤である住まい,住宅。

この住宅。みんな自分の家を所有しているわけじゃありません。多くの方が他人から借りている。土地を借地して自分で建物を建てるか,完成している戸建やマンションを借りるかのどちらか。昔は,いまよりずっと,持ち家比率は少なかったらしい。大正半ばまで5%くらい??なので借地借家の法律を整えるのはとっても大事だった(もちろん今でも)。

昭和40年代は今とそんなに変わらない

持ち家比率の推移

総務省統計局

ちなみにここのところの年代別持ち家率

年齢別持ち家比率

同じく総務省統計局より

細かい話はよしますが,とにかく住まいの権利が不安定になると国民が困る。住まいの権利関係が安定せず,いつ地主やオーナーに追い出されるかわからないってことだと安心して生活できません。国民が安心して生活できるようにするのがお国の仕事だから,お国は,借主の住居に関する権利を保護しようと,借地借家法を用意しているんです。民法だけだと地主と借主がガチンコで交渉して契約することになるが,一般に地主のほうが金持ちで強いから(とばかりもいえない今日この頃)勝負にならない。どうしても家を貸してほしい借主は,地主のいうことを聞かされてしまう。そうやって借主(国民多数)が不利な契約を余儀なくされるのを防止しているのです。

もっとも,地主の都合も考えないといけません。金持ち憎い,ABE政治を許さないwだけでは世の中上手くいかない。地主を追い詰めすぎると,「そんなら貸すのやーんぺ」となって,物件が不足します。そうすると,物件はないわ,家賃は高くなるわで,弱者の借主が困ります(世の中はまわりまわっているんですね,南無阿弥陀仏)。なので,基本的には弱者たる借主の保護を考えつつも,地主の気持ちとか自由にも配慮してあげるというのが借地借家法の基本的な考え方です。このバランスを押さえてください。基本は借主保護,地主にも一定の配慮です。

つまり「何を決めても自由」なわけじゃない

そういうことなので,借地借家法の適用になる賃貸借契約は,そんなにフリーな契約ではない。弱者保護と社会の安定のために,契約内容が制限されます。つまり,民法の内容が,借地借家法によって,借主保護の方向に一部変更されるんです。

この先はじっさいに具体例にあたらないと分からないので,借地の場合,借家の場合に分けて比べてみましょう。

  • 民法と借地借家法の違いに注意してください。もし借地借家法がなくって民法だけだったらどうなるか。

また

  • もし自分が貸主の立場だったらどういう契約内容にするか。
  • もし自分が借主の立場だったらどういう契約内容にするか。

という観点からもチェックしてみてください。チェケラ

※法律全部網羅してませんので注意ですよ

借地

契約の有効性

民法

口頭で契約成立,そして有効。

借地借家法

基本的に同じ。ただし,契約更新がない定期借地権(後で出てきます)だけは書面でしないと無効。

これは民法も借地借家法もほとんど同じですね。ただし定期借地権契約はぜったい書面で。それ以外は法律上口頭でいいが,まあ書面化してください。揉めるし後で分かんなくなるので。

契約の対抗力

民法

賃借権の登記をしたら対抗できる。

借地借家法

借地上に,自分名義の建物の表題登記をすれば対抗できる(最判昭和50.2.13)。

民法のだめなところ

対抗とは賃借権を法律上主張できること。つまり借主の地位を守れること。賃借権はそもそも債権(人に対する権利,物件使わせろ)なので本来登記できないが,民法と不動産登記法は,不動産賃借権だけ登記できることにして対抗力を持たせている(不動産賃借権の物権(物に対する権利)化といいます)。

でもこれだけでは弱い。立場が弱い借主が地主に登記を請求しにくい。しても応じてくれないことも多い(賃借権の登記は地主と借主の共同申請だから)。そうすると絵に書いた餅で,結局対抗力を得られない。民法のままではやっぱり駄目だ。

借地借家法のいいところ

なので自分だけでできる手続で対抗力を得られるようにした。それが目的の借地上に自分が立てた建物の表題登記(登記簿を起こす初期段階の登記)をすること。借主が自分で建てて所有する建物の登記だから借主だけでできる。これさえしておけば,地主が土地を売却して知らない人がやってきても,借りている地位を守れる(お前が登記簿調べんかったのが悪いんじゃ,そもそも現場に建物建っとるやろが,現場も見んとこーたんかい!(建物登記は建ってからしかできない)わしはまだまだ住み続けるよ何か??と言える)。

※これより借主に不利な内容を契約で決めても無効!!(借地借家法16条)

契約の期間

民法

  • 20年以内で自由。期間を決めない契約もOK。
  • 超える契約をすると強制短縮。
  • 更新のときも同じ。

借地借家法

  • 基本30年以下の契約は認めない。期間を決めない契約は無理で30年に。
  • 短い契約しても30年になる。
  • 超える契約をすると契約どおり。
  • 最初の更新は20年以上,その次は10年以上。
  • ただし,以上は定期借地契約という特別な契約をすれば例外あり。

民法のだめなところ

20年以内て!!1年でも半年でも3日でも5秒でもええんかい!さらに期間を決めなくてもいい。そんなんで土地は借りれないっ。

借地借家法のいいところ

30年!!借地して建物を建てるんだから長期間保護してやらないと。なので借地借家法では基本30年保護してあげている。

※これより借主に不利な内容を契約で決めても無効!!(借地借家法9条)

契約の更新

民法

  • 契約期間が来たら終了。
  • 期間を決めてなかったら,いつでも,どちらからでも,解約申入れが可能。申入れ後一定時間経過で当然に契約終了。
  • 期間満了後,借主が使用使用し続け,地主が知りつつ異議を言わないと,同一条件で更新される。

借地借家法(ややこしww読まないでいいですからね~)

  • 期間満了時,建物がある状態で借主が更新請求すると,地主にに正当事由がない限り,同一条件(期間は20年,10年)で更新される。正当事由は立退き料の金額などなどで判断される。
  • 期間満了時,建物がある状態で借主が土地を使用し続け,地主ががすぐに異議を言わないと,同一条件で更新される。地主が異議を述べるには同じく正当事由が必要。
  • 期間満了前,地主の承諾をとって建物を建て替えると,承諾の日又は建替えの日の早いほうの日から,20年間契約が伸びる。借主が承諾を求めたのに2か月返事がないときは承諾したことになる。
  • 期間満了して更新後に,建物が滅失したら,借主の意思で契約をやめれる。
  • 期間満了して更新後に,建物が滅失し,借主が貸主の承諾を得ないで,更新後の期間を超えて存続する建物を建てたときは,地主の意思で契約をやめれる。

民法のだめなところ

きっぱりお別れなのね,,期間決めてないといつでも出てけってことになる,,ちょっとね。

借地借家法のいいところ

そもそも30年あれば安心だが,建物寿命がまだあれば,基本更新してくれると。出て行くなら金くれと。安心やね,出て行くとしても引越し代出るし。立替だって,地主の対応次第では結構出来るよ。細かいことはまあええわww

※これより不利な内容を契約で決めても無効!!(借地借家法9条)

賃料の増減

民法

基本的に無理(特別の例外アリ)。

借地借家法

地代相場が変わるなどの事情があれば借主は減額請求できる。ただし貸主も増額請求できる。

民法のだめなところ

相場も見越して契約しないさい,1回契約した以上そのまま行きなさいというのが民法。うーん合理的で割り切ってるね。ただ,,借地契約は期間長いからそれだとね,,何あるかわからんし,,

※一定期間賃料を増減しない契約は有効

借地借家法のいいところ

下げてくれ!と言うと自動的に下がるシステム!(反対に上げてくれもあるけど)借主が地主と交渉するなんて無理なので自動的に下がる権利を認めたのだ(法律上,形成権なんていう)。ただ金額折り合いつくまでは,言い出したほうが示した額を一旦払う。で裁判所で決着をつける。決着つくまでは債務不履行状態にはならないという特別な取扱いをしてる(ややこしいですね)。

「建物」買取請求

民法

元に戻して返す。原状回復義務という。

借地借家法

建物が残ってたら,地主に買い取らせることが出来る。買い取れ!と宣言すると自動的に相場で売買契約が成立する。

民法のだめなところ

建物壊して返すのも結構費用かかるからな,,,最近解体代も高いし,,

借地借家法のいいところ

文字通り買い取ってもらえる。引き取ってもらえるだけじゃなく,買取ってもらえる!すごい素敵。まあ建物古いからほとんど値段はつかないけど,解体費いらんだけで凄すぎ。

※これより借主に不利な内容を契約で決めても無効!!(借地借家法16条)

定期「借地」権

民法

そもそも期間が来たら終わるから定期とか不要。

借地借家法

期間ぽっきりにする契約も作っといた。バリエーションあるほうが地主も借主もいいはず。

  • 一般定期借地権(期間は50年)。
  • 事業用定期借地権(事業用に限る。10年以上30年未満)。
  • 建物譲渡特約付定期借地権(必ず建物を地主が買取ると最初に決めつつ,きっぱり30年で終わる)。

民法のだめなところ

こういうの何もない。

借地借家法のいいところ

借地契約は基本更新とかある契約なってるけど,きっぱり終わるパターンもあっていい。地主も,借主も,そういうの望む人もおるやろ。選択肢はあったほうがええにきまっとる!ほら,次のような商売成立しとるで。

一般定期借地権付マンション(いわゆる定借マンション)
  • 買主は,建物を買うが,土地は賃借権か地上権で地主から借りる。50年後に全員で地主に返す。
  • 買主は,土地を買わないので代金が安い。ただし地代もちょっと払う。一代しか住まないなら最初に払う金が安いほうがいい。
  • 地主は,土地を将来返してもらえる。高齢でこれをやると,貸してる間に自分が死ぬが,上にマンション建てるので土地の相続税評価が下がる。子供らの相続税対策になる。
事業用定期借地権

飲食店とかやるのに地主から土地を借りやすい。20年くらいで利益出して撤退するか,儲かってお金があれば土地買取りの交渉もできる。

建物譲渡特約付定期借地権

デベロッパが貸しビルとかショッピングセンターを建てて30年間で家賃収入を上げ,最後に地主に買取らせるときに使う。こわいこわいw

 

【その他借地契約の注意点】

  • 建物所有目的の借地契約でも,臨時設備の設置など,明確にいっときだけ使用するために借りてることが明らかな場合は,基本民法で行くので注意。選挙事務所や展示場などです(借地借家法25条)。

次は借家

※民法は,土地と建物の区別をしてないの,民法のところは土地の転記です。

契約の有効性

民法

口頭で契約成立,そして有効。

借地借家法

基本的に民法と同じ。ただし定期借家(後から説明のこと)のみ書面必須。

契約の対抗力

民法

賃借権の登記をしたら対抗できる。

借地借家法

建物の「引渡し」で足りる。分かりやすくは,住んでいればいいってこと(占有)。

民法のだめなところ

対抗とは賃借権を法律上主張できること。つまり借主の地位を守れること。賃借権はそもそも債権(人に対する権利,物件使わせろ)なので本来登記できないが,民法と不動産登記法は,不動産賃借権だけ登記できることにして対抗力を持たせている(不動産賃借権の物権(物に対する権利)化といいます)。

でもこれだけでは弱い。立場が弱い借主が地主に登記を請求しにくい。しても応じてくれないことも多い(賃借権の登記は地主と借主の共同申請だから)。そうすると絵に書いた餅で,結局対抗力を得られない。民法のままではやっぱり駄目だ。

借地借家法のいいところ

住むなどして占有すればいい。それだけでいい。普通借りたら占有するしこれで問題ない。占有していないような利用なら,オーナー変わって対抗できずに負けちゃっても,使ってないんだから問題ないっしょ(言い過ぎかな)。

※これより借主に不利な内容を契約で決めても無効!!(借地借家法37条)

契約の期間

民法

  • 20年以内で自由。期間を決めない契約もOK
  • 超える契約をすると強制短縮
  • 更新のときも同じ

借地借家法

  • 自由契約可能。20年以上でもOK
  • 1年未満で契約すると,「期間がない」ことになる。

民法のだめなところ

20年以内て!!1年でも半年でも3日でも5秒でもええんかい!さらに期間を決めなくてもいい。

借地借家法のいいところ

長い契約も可能になってるが,そんなに変わらんねここは。

契約の更新

民法

  • 契約期間が来たら終了
  • 期間を決めてなかったら,いつでも,どちらからでも,解約申入れが可能。申入れ後一定時間経過で当然に契約終了。
  • 期間満了後,借主が使用使用し続け,オーナーが知りつつ異議を言わないと,同一条件で更新される。

借地借家法

期間の定めがある場合

何もなければ自動更新(同一条件かつ期間の定めのないものとして)。終了させるためには,どちらかが,1年前から6か月前までの間に,更新拒絶を通知する必要あり。ただし,オーナーからの更新拒絶には正当事由が必要。つまり立退き料とかいるよ。

期間の定めがない(1年未満の契約もそうみなされる)場合

民法と同じ。つまり,

  • いつでも,どちらからでも,解約申入れが可能。申入れ後一定時間経過で当然に契約終了。ただし,オーナーからの更新拒絶には正当事由が必要。つまり立退き料とか。さらに,オーナーから拒絶した場合は,契約終了まで6か月猶予あり(借主からなら民法と同じで3か月で出て行く)。
  • 期間満了後,借主が使用使用し続け,地主が知りつつ異議を言わないと,同一条件で更新される。

民法のだめなところ

きっぱりお別れなのね,,期間決めてないといつでも出てけってことになる,,ちょっとね。

借地借家法のいいところ

基本的には更新される。賃貸マンションとかの契約を考えてみて!基本更新されるはず。実は,オーナーから出て行ってと言われたら立退き料とかもらえる。賃貸マンションなら普通は借主から出て行くけど,,

※これより借主に不利な内容を契約で決めても無効!!(借地借家法30条)

賃料の増減

民法

基本的に無理(特別の例外アリ)

借地借家法

賃料相場が変わるなどの事情があれば借主は減額請求できる。ただし貸主も増額請求できる。

民法のだめなところ

相場も見越して契約しないさい,1回契約した以上そのまま行きなさいというのが民法。うーん合理的で割り切ってるね。ただ,,借地契約は期間長いからそれだとね,,何あるかわからんし,,

借地借家法のいいところ

借地の場合の地代とまったく同じで,下げてくれ!と言うと自動的に下がるシステム!(反対に上げてくれもあるけど)借主が地主と交渉するなんて無理なので自動的に下がる権利を認めている。借地のときに同じく,金額折り合いつくまでは,言い出したほうが示した額を一旦払う。で裁判所で決着をつける。決着つくまでは債務不履行状態にはならないという特別な取扱いをしてる。

※一定期間賃料を増減しない契約は有効

「造作」買取請求

民法

元に戻して返す。原状回復義務という。

借地借家法

建物につけた造作が残ってたら,オーナーに買い取らせることが出来る。買い取れ!と宣言すると自動的に売買契約が成立する。

民法のだめなところ

造作とは,畳とか建具とかエアコンとか,,建物にひっつけたもので,かつ取り外すことが可能。そして誰が見ても客観的に建物に利益になるようなもののこと。

新居にエアコンこーてんけどな,,これ置いていきたいなまだ使えるけど,,と思っても無理。

借地借家法のいいところ

本来取り外して持ってかないといけない(現状回復だから)が,買い取ってもらうことも出来る(値段は安いだろうが)。買取ってもらいたい場合だけこの権利を使えばいい。

新居で使わないものなら,取り外して処分する費用が削減できるのでタダでも助かるか。

※造作を買取らない契約は有効(VS借地契約における借地の建物買取り請求。あっちは強行規定だから買取らない契約ができない)

定期「借家」権

民法

そもそも期間が来たら終わるから定期とか不要。

借地借家法

定期借家権契約が可能。これをすると期間満了にて更新しないで必ず契約が終了する。

民法のだめなところ

こういうの何もない。

借地借家法のいいところ

いろいろ選択肢があるほうがいい。オーナーも建物が返ってくるので安心して貸せる。建物のことなんで,期間も自由に決めればいい。あってもいいんじゃないか。

 

【その他借家契約の注意点】

  • 建物賃貸借でも,建物取壊しが法令で決まってたり,契約で明確に決めている場合は,建物取壊しの時に賃貸借を終了させることが可能(借地借家法39条)。
  • 一時使用が明らかなときは,借地借家法ではなくて民法を適用(同40条,借地にも同じ規定あり)

奈良県北葛城郡王寺町の司法書中尾哲也の写真楕円形

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つづきにどうぞ

もうちょっと実践的に!市販の契約書をチェックしてみた。

市販の賃貸借契約書をチェックして気をつけることを書いてみた

もし賃貸契約をしていて,大家や賃借人が行方不明になったらどうする?まずもって連絡を取りたいときは戸籍や住民票を調べてみよう!

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