相続大全集

なぜ親に家・住宅を建ててもらうと相続分が減るのかご説明します

« »

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

奈良県北葛城郡王寺町の司法書士中尾哲也

相続の取り分,つまり相続分の話合いや,具体的な遺産分けの途中で,「だれだれは家を建ててもらってるからもらい過ぎよ」とか,「だれだれは土地をもらったから相続はしなくていいだろう」とかいうことを聞いたことがありませんか。よく出てくる話ではないでしょうか。

では,どうしてこういう話がよく出てくるんでしょうか。法律の話を横においておくと,これはやっぱり,何か「不平等」な感じがする,「公平」にしてほしい,ということじゃないでしょうか。

結論から言うと,法律の世界でもやはり,こういうことは不平等なもの考えられています。もう少し掘り下げて,詳しく説明します。

 

生前贈与を受けると相続分が減る理由

そもそも,相続とは,いったい何のためにある制度なのでしょうか。いろんな考え方がありますが,だいたい次のように考えることができます。

  • 遺族の生活を金銭的に助けるため,遺族の生活保障
  • 国が一度財産を預かって,また国民に分配するのは面倒だから

このうち,特に大事なのは,「遺族の生活を金銭的に助けるため」という理由です。遺産というのは,亡くなった人が築いたものですが,共同生活をしていた配偶者や子供,また両親などの様々な援助によっていっしょに築いたという面があります。だから,人が亡くなったときは,身内の人に財産を移して,その生活の糧にしてもらおうというわけです。

ところで,大きな生前贈与をすると,亡くなってから相続人に公平に引き継がれるはずの財産が減ってしまいます。相続人に公平に引き継がれて,みんなの生活を支えるはずだった遺産が減ってしまうわけです。これは,贈与を受けた人に対する遺産の前渡しと考えることができます。

生前贈与が遺産の前渡しに当たるのならば,後から,つまり相続の時にそれを差し引きして,公平に遺産を分けるのが当たり前です。そこで,法律は,こういうときに遺産の差し引き計算ができるように,相続分の修正に関する条文を用意しているのです。後から差し引きしないといけないような大事な贈与を「特別受益」と呼んでいます。贈与を受けた人を「特別受益者」と呼びます。そして,その人の修正される相続分のことを,「特別受益者の相続分」といいます。

 

相続分が減る生前贈与と減らない生前贈与

さて,もう少し話を続けます。ちょっとだけややこしくなりますが,大事なところなのでお付き合いください。

相続財産というのは,遺族の生活を助けるものだから,もし前渡しがあったときは,後から清算するんだという話をしました。そういうことならば,もし生前贈与の内容が,贈与を受けた人の生活を助けるような性質のものではない場合は,相続の時に清算する必要がないという理屈になります。

法律は,この生活を助けるための贈与のことをこう表現しています。
「婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本としての贈与」

つまり「生計の資本としての贈与」です。生計の資本としての贈与に当たれば,相続の時に差し引き計算するし,生計の資本としての贈与に当たらなければ,相続の時に差し引き計算しなくてもいいわけです。当たるものと当たらないものを簡単にあげておきます。

生計の資本としての贈与に当たるもの

生計の資本としての贈与に当たるもの

  • 結婚の持参金や支度金
  • 大学以上の学費
  • 不動産
  • 高額の金銭・有価証券・動産など
  • 生命保険金(原則として特別受益にならないが,判例上,相続人間の不公平が到底是認できないほどに著しいと評価すべき特段の事情がある場合に限り認められる場合がある)

生計の資本としての贈与に当たらないもの

  • 挙式費用(生活費じゃないから)
  • 高校までの学費(現代では扶養の範囲だから)
  • 生命保険金(遺産ではないから)
  • 小額の贈与(扶養,小遣い,慰労金,礼金の範囲と考えられ,遺産の前渡しではないから)

長くなってきたのでそろそろまとめます。「なぜ生前に家を建ててもらったら相続分が減るのか」についての答えは次のとおりです。

  • そもそも相続とは何のためにある?遺族の生活を経済的に助け保障するため
  • それならば,生前に「生計の資本としての贈与」を受けるのは,遺産の前渡しに当たる
  • 遺産の前渡しがあったのならば,相続の時に差し引きして「公平」にする

相続人間で公平に財産を分けるために相続分が減るということです。法律的にも,まさにそれが理由です。「不平等」な感じがする,「公平」にしてほしいというあなたの直感は,法律的にも正しかったわけです。

奈良県北葛城郡王寺町の司法書中尾哲也の写真楕円形

無料メール相談はこちら。司法書士が2時間以内にお答えします!

 

« »

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

関連記事

親名義の青空駐車場にアスファルトを敷いて綺麗にし節税する方法

あなたや,あなたの親が,所有している土地を「青空駐車場」にしているなら,少し投資をして「アスファルトのちゃんとした駐車場」にすると相続税の節税対策になります(アスファルトだけがちゃんとした駐車場ではないですが,,,)。 …続きを読む

青空駐車場にアスファルトを敷いて節税

遺産分け(遺産分割)マニュアル!「いつ」「どこで」「誰が」「どうやって」

相続人が誰で,それぞれの相続分の割合は分かったけど,そっからどうしたらいいの?誰がどの財産を相続するのかどうやって決めたらいいのか分からない?という場合があります。 相続人の相続分の割合が分かっただけでは相続の手続は前に …続きを読む

なぜ親と一緒に遺言書の相談に行ったほうがいいのか説明します

祖父母は死ぬ間際ボケてしまって,亡くなったときに遺言書もなかったので,おかげで両親は相続問題で苦労したと話していました。で,そんな両親も隠居してもう長いです。元気だと思っていたけど,最近何やら忘れっぽい様子です。体も小さ …続きを読む

遺言書の相談は親と一緒に

遺言書で財産をもらった人が遺言書(遺贈)を放棄する方法を説明します

日本の相続制度は遺言相続が優先することになっています。つまり被相続人が遺言書で遺した遺志が一番大事で,遺言がない場合にはじめて法定相続の法律の規定によって遺産相続が処理されます。また,遺留分など,遺言書によっても奪うこと …続きを読む

包括遺贈の放棄 特定遺贈の放棄

法律で決まっている相続分を自分たちで変更してもいいことを知っていますか?

法律(民法)では相続があった場合に誰が相続人になるか決まっていてこれを法定相続人と呼ぶと。それから,各相続人の取り分も決まっていてこれを相続分と言うらしい,,,正確なことはよく分からないがなんとなくそんなことらしい,,と …続きを読む

法定相続分と異なる遺産分割