相続大全集

身寄りのない人の財産を相続でもらえる方法をお教えします

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あなたが小さい頃からちょくちょく家に遊びに行って,家族同然に付き合いをし,そのおばちゃんが年を取ってからは,毎日家に行って話しをしたり,日常生活の面倒を見たり,施設や病院に入ったあとも,献身的に療養看護をした。おばあちゃんは,身寄りがなかったから,家族と同じように頼ることができて大変喜んでいた。

あなたの近所や知り合いに,こんなケースがあるのを聞いたことがありますか?もしかしてあなた自身が,まさにこんなふうに他人様のお世話をしている当の本人ということがあるかもしれません。

人間の人生はみんな個性的で,いろんなケースがあり,それぞれに事情は違うでしょうが,「身寄りのない人」のお世話を多かれ少なかれしたことがある人は,少なくないのではないでしょうか。

さて本題に入ります。

あなたは,又はあなたの知り合いは,この身寄りのない人の遺産を相続できる場合があります。このように聞くと,「え?私はその方の親族でもないし,相続できる関係にはないんですけど」と思われるでしょう。しかし,実際に,法律で,このような場合に遺産を相続できる場合があると認められているのです。

このような仕組みのことを,正確には,特別縁故者に対する相続財産の分与」とか,「相続人不存在の場合の特別縁故者の財産分与」などといいます。

そもそも「相続」という法律上の仕組みは何のためにあるのでしょう。こんなふうに言われています。

  • 残された家族親族の生活を助けるため
  • 国がいったん財産を管理して分配するのは面倒だから

いいですか?そうであれば,戸籍上は法定相続人がいないけれども,実際にはそれをほとんど同様の生活をしていた人がいる場合,その人に財産をあげてもいいと思いませんか?そうなんです。まったく問題ないのです。むしろそれが,相続という法律制度の本来の目的に合うものなのです。

それでは,もう少し具体的な話をしましょう。

財産をもらえるかもしれないのはこんな人

この仕組みを利用して,実際に財産をもらえるかもしれないのは次のような人です。

  • 被相続人と生計を同じくしていた人
  • 被相続人の療養看護に努めた人
  • その他,被相続人と特別の縁故があった人

生計を同じくするとは,親子や夫婦とそんなにかわらない程度に,家計をいっしょにしていたような人です。自分のお金で面倒を見てあげたり,買い物をしてあげたりしているような場合です。献身的に療養看護に努めているような人にも権利が認められます。療養看護をするということは,並大抵の労力ではないからです。これに限られません。その他特別な縁故があれば,認められることがあります。例えば,遺言書はないけれど,生前から口で財産をあげると言われていた人とか,逆に被相続人から生活の面倒を見てもらっていた人なども認められる可能性があります。

もらえる財産

遺産の中から,亡くなった人が作った借金などの債務を返して残った財産の「全部又は一部」です。もらえる額は,裁判所が決めます。

手続はこうなる

この手続は,普通の相続と違って,遺言書や戸籍というようなはっきりした書類がないので,一般の人が勝手に進めることはできません。裁判所が管理して,厳格に進められます。簡単に説明すると,だいたい以下のような流れになります。

  • 関係者が,裁判所に,「相続人がいないので財産の管理人を選んでくれ」と言います。・管理人(弁護士・司法書士など)が選ばれて,相続人を探す手続をします。
  • 2か月しても相続人が出てこないと,今度は債権者などを探す手続をします。
  • 2か月しても債権者などが出てこないと,もういちど相続人を探す手続をします。
  • 6か月しても何もなければ(又は財産が余れば),3か月以内に「特別縁故者」に財産を分けることができます。
  • 最後に残った財産は国が受け取ります。

見ていただけると分かるように,手続には時間がかかります。また,ちょうどいいタイミングで裁判所に財産をわけてもらうように請求しないといけません。こちらから請求しないと,財産はもらえません。

あなたはいったい何をすべきか

このように,ちゃんと手続を踏んでいかないと,特別縁故者といえども,財産をもらえないことが分かると思います。そこで,あなたが身寄りのない日とのお世話をしているなど特別縁故者となる可能性があるときに,いったい何をしておけばいいのかを説明します。

身寄りのない人が亡くなる前

とにかく,あなたと,身寄りのない人がどういう関係にあるかを第三者に分かってもらえる資料を残しておいてください。療養看護をしている人は,日記をつけて,いつどこで何をしたのかを記録しておいてください。お金のやり取りをしたり,買い物などをしたときは,領収書などの書類を残しておくこと。また,身寄りのない人が財産をくれると話しているときは,その詳しい内容をメモに記録しておいてください。いつどこで誰が何をしたのか。どういう状況でしたのか。そのようなことを書いておくのです。

そのような書類を,あとで裁判所に提出します。そのことによって,裁判所に,あなたと身寄りのない人の関係やどのような縁故があったのかを分かってもらいやすくなります。

身寄りのない人が亡くなったら

さっき説明したとおり,この手続は裁判所でします。裁判所の手続は,ほうっておいたら始まりません。「手続をはじめてくれ」と裁判所に書類を出さないといけません。書類を出すことができるのは,「利害関係人」だけです。あなたは利害関係人に該当しますので,書類を出す準備をしてください。書類の書き方が分からなかったら,司法書士に相談してください。

手続が始まるのと同時に相続財産管理人が選ばれます。おそらく弁護士とか司法書士が選ばれるでしょう。あなたが最初の書類を出していれば,誰が選ばれたかあなたにお知らせがきます。時々,管理人に対して,手続がどこまでいっているか確認しておきましょう。
タイミングが来たら(相続人捜索の公告期間が終わったら),裁判所に,財産分与の請求をします。書類を提出してしないといけません。ちゃんと裁判所に認めてもらうために,準備していた資料を整理して提出します。これは司法書士に相談して,書類を書いてもらったほうがいいでしょう。あなたが本当に特別縁故者に当てはまるようであれば,裁判所は,あなたに対して,相続財産の全部又は一部を分けてくれるはずです。

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