相続大全集

いま「相続」ということの意味について知っておかなければならない理由

«

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

相続とは

奈良県北葛城郡王寺町の司法書士中尾哲也

今これを読んでいるあなたは,今まさに両親などが亡くなって遺産相続の手続をしなけれればならないか,又は将来両親などの遺産を相続することが分かっていて,ちょっと相続について調べておかないといけないなと考えている人のどちらかだと思います。

あなたがどちらの人であっても,相続の問題について考えているのであれば,まずはその「相続」というものについて,根本的な内容を知っておかなければいけません。
孫氏の兵法に,「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という言葉がありますが,相続についても同じことです。そもそも「相続」というのがどういうことが分かっていないのにあれこれ調べても,ちゃんと理解できないし,効率が悪いからです。

そこで,ここでは,「相続」ということの根本的な意味について簡単に説明します。

 

「相続」という言葉の語源

ちょっと話が遠回りしますが,相続という言葉の語源を押さえておきます。
相続という言葉は,元はといえば仏教用語です。簡単にいうと,「因果が連続して絶えないこと」というような意味です。そもそも仏教は,「この世界のあらゆるものごとは,姿かたちを変え変転するが,決して絶えることは無く,永遠に連続する」という考え方をします。
「相」というのは「すがた」。存在そのもののこと。「続」というのは,続いていくことです。

この言葉が法律の世界にも入ってきました。どういうことか。分かりやすい例でいうと,今土地建物が親から子に相続されたとします。この場合,土地建物という物の性質は相続しても変わりませんが,その持ち主が親から子に変わりました。持ち主が誰かということは,土地建物にとってとても重要なことです。つまり,ある性質(持ち主)は大きくかわったけれど,土地建物は相変わらず土地建物として引き継がれたわけです。どうですか,さっきの仏教用語の意味に似ていませんか。そのようなことから,法律上,人が死んで財産が他の人に引き継がれるようなケースを「相続」と呼ぶようになったのです。

 

「財産」はすべて相続する

さて,語源の話はいいとして,法律的な話に移ります。要するに,相続するとはどういうことなんだ,という話です。

結論からいうと,相続するとは,「財産関係のすべてを引き継ぐ」ことです。亡くなった人に成り代わって,その人の立場をすべて引き継ぐのが相続です。
このことについて書いてある法律の条文を見てみます。

民法896条
相続人は,相続開始の時から,被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし,被相続人の一身に専属したものは,この限りではない。

ご覧のとおり,被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する,と書いてあります。どうですか?その覚悟がありますか?

もっとも,例外が二つほどあります(条文を見てください)。

一つ目。まず,「財産に関しないこと」は引き継ぎません。例えば,「親という身分」は引継ぎません。親が死んで子供が相続した場合に,子供が同時に親になるなんていうことはありえませんよね。
二つ目。「一身に専属したもの」は引継ぎません。例えば,有名な画家や作曲家が亡くなって,あなたがその人を相続しても,作品を作る必要はありません。相手方はその芸術家の作品が欲しいのであって,誰に作ってもらってもいいわけではないからです。この点安心してください。

 

「債務」も相続する

ただし一点注意しておかないといけないのは,基本的に,債務も全部引き継ぐことです。債務とは,「借金」だと思ってください。

相続するのは,「財産に関する一切の権利義務」です。「権利」だけではなく「義務」も入っています。その人に成り代わるんですから,当然ですね。いかがでしょうか。相続するのは,楽しいことばかりじゃありません。

 

「地位」も相続する

もう少し細かいお話をすれば,「地位」とか「立場」というようなものも相続します。例えば,人に貸している建物を相続したら,建物の所有権だけじゃなくて,建物の「賃貸人としての地位」も相続するんです。

賃貸人としての地位を相続すると,今後,この地位から生じてくる様々な義務も引き継ぐことになります。賃貸人は,物件を,目的に沿って使用収益させる義務を負います。具体的にいうと,貸しているものが壊れたときは,直さないといけません。つまり,修繕義務を果たさないといけないわけです。

何度も言いますが,相続をするとは,財産に関しては,その人に成り代わってやっていくことです。少なくても財産に関しては,今までの自分にプラスして,亡くなった人の人生をも引き継いでいくことです。

 

まとめ

以上,相続とは何かについて,基本的なことを書きました。おさらいをすると,次のようにまとめることができます。

相続とは?

  • 財産関係の一切を引き継ぐ(資産も負債も地位も)
  • ただし,身分関係や特に人の個性が重要なもの(一身専属権)は引き継がない

奈良県北葛城郡王寺町の司法書中尾哲也の写真楕円形

無料メール相談はこちら。司法書士が2時間以内にお答えします!

 

«

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

関連記事

両親が一緒に遺言書を書くのはやめたほうがいい理由

私の両親は本当に仲が良くて,,「俺ら一緒になってほんまよかったわ」「死ぬまで夫婦第一や」「毎日お風呂も一緒に入る」「一緒になる」おまけに「カルチャークラブも同じ」「年賀状も手紙も色紙もスピーチも全部二人並んで一緒」こんな …続きを読む

夫婦共同遺言の禁止

市役所(市町村役場)への死亡届の出し方などについて詳しく説明します

人が死んだら,まずもって,死亡届を提出しないといけません。   なぜ? 形式的には,そのように戸籍法で決まっているからです。 実質的には,死亡届を提出して役場に死亡の事実を知らして,戸籍に記載してもらわないと, …続きを読む

死亡届の出し方

厳禁!!遺言書を偽造したり隠したりするとどうなるか知っていますか?

あなたは長男。父親とはあまりそりが合わず必要最小限の話しかしなかった。あなたには弟がいて,こちらは案外両親と仲がよかった。あなたも弟も両親とは独立して近所に家を構え生活していた。あなたはあまり家に帰らなかったが,弟はよく …続きを読む

遺言書の偽造変造破棄隠匿 隠す 相続欠格

節税の基本メソッドはやっぱり生前贈与をしてもらうこと

「節税の基本メソッドは生前贈与だ」 今日はこのことについて説明します。節税つまり相続税の節税対策には二つの大きな考え方があります。以下の二つです。 相続税の課税財産を減らす 基礎控除を増やす 相続税は基礎控除額を超える遺 …続きを読む

相続税節税対策のポイントは生前贈与

限定承認(限定相続)を家庭裁判所に申請して相続財産の範囲で債務を支払う

親が死んだ。親は相続財産として住宅を残してくれたが,借金もいっぱい残していった。正直自分たち相続人が支払っていけるような借金の額じゃない。なので相続放棄するしかない。ところで親と同居していた自分には住む家がない。住む家が …続きを読む

相続の限定承認の相談