最近の親子の会話
親)
この家もだいぶ傷んできたなあ。もう築30年になるものなあ,,長男もこの家に住むということだし,リフォームでも考えようかな。そうだ,最近よくリフォームのチラシが入ってるから,来週にでも見に行ってこよう。「な,長男○○,ちょっと家をリフォームしようと思ってるんだ。ナントカリフォーム行ってくるよ」
子供)
え!やめてくれよ,,この家はもう古いんだからそんなにお金入れなくていいよ。っていうか,リフォームは俺がするからさ。まあこの家にずっと住むつもりだけど,リフォームするなら自分でやりたいんだよ。だからいらんことしないでくれるかな。分かった?「そうそう,リフォーム屋さんいかなくていいから!」
もしあなたの家の親子がこんな会話をしていたら,もしかすると大変もったいないことになるかもしれません。というのも,親にいま住宅のリフォームをしてもらえば,相続税の節税対策に大変有効に働く可能性が高いからです。もし親が相続税の基礎控除額を超える財産を持っていて,相続税の節税対策をしたほうがよい財産状態にあるなら,リフォームはいま親にやってもらうことをおすすめします。以下,それはなぜかを説明します。
親がリフォームをしないで亡くなった場合
比較的古い家ですから,リフォームは結構大がかりなものになるでしょう。間取りを変えたり,水回りに奮発してよいものを入れたら,工事費用は1000万円以上になることもあるはずです。
さて,もし親がリフォーム工事をせず,この1000万円をそのまま持って死亡したら,1000万円が丸ごと相続税の課税財産になります。これはいかがなものでしょうか。何かしらの相続税の節税対策をしたほうがよさそうです。
親がリフォーム工事をして亡くなった場合
一方親が思い切ってリフォーム工事をしてから死んだらもう現金はありません。工事代金として1000万円支払ってしまっていますから,その分相続税の課税財産を圧縮することができます。
節税対策に適したリフォーム工事とは何か
子供の趣味に沿ったリフォーム工事にすること(重要)
「いやいや,相続税の節税対策のことは分かったけど,税金だけ考えて生きてるわけじゃないよ。こういう話はあれだけど,私は結構建築とかインテリアにこだわりがあって,親の家も悪くないけど,親が死んだらああしたいこうしたいという考えがあるんだよね」
なるほどそれはそのとおりです。子供が,親がいまリフォームをしてしまうことを嫌がる理由はこのへんにもあるでしょう。衣食住の住はライフスタイルに対する影響度が大きいし,趣味こだわりを持っている人も多い分野ですから,親の古臭い(ごめんなさいw)趣味でリフォームされたら嫌だ,なんて思う人がいても理解できる話です。
ならば,,,子供さんの趣味でリフォームすればいいんです。というか,子供がリフォーム屋さんと相談し,子供の趣味を可能な限り入れてリフォームをすればいいんです。それならどうでしょう?インテリアや住宅設備の趣味を理由に子供が親のリフォームに反対することはなくなります。
リフォームは子供の趣味でするすこと。親が譲れるところは全部譲って,子供がリフォームすると当然の内容にてリフォームをすること。これが大事なポイントです(まあしかし,子供も譲れるところは譲ってください。相続税が節税できるわけだし,家についても親の言うことが正しいこともありますから)。
必ず施主は親名義で工事をすること
子供が主導する。
1点注意すべきは,だからといって,思い余って子供の名義でリフォーム工事の契約をしてはいけません。子供が請負契約の当事者になって,工事代金を親に払ってもらうのはアウトです。
これだと子供に対して贈与税が課税されてしまうからです。
なので,施主は必ず親名義にすることです。
リフォーム工事は他の節税対策より有利???
さて,以上のように相続税の節税対策にとても効果的な親名義でのリフォーム工事なのですが,この方法は,被相続人(親)の財産を圧縮するために行う他の節税方法よりも有利なことが多いです。
必要だからする。節税のためだけにするわけじゃない。
まず,リフォーム工事は,節税のためだけに行うわけじゃなく,じっさいに必要だから行うリフォームですから,何より有益ですし精神衛生上もよいです。どうせ必要となる出費を親において行うだけです。
節税のためのコストが低い(安い)
あと,節税対策としてのコストがかからない,又は非常に低コストで済みます。例えば節税対策のために不動産を購入して資産圧縮を狙う場合,不動産取引にともなうコストがかかります。不動産業者に支払う仲介手数料や登記費用,各種の税金も大きなコストです。相続後にうまく売却してキャッシュに還元できるかどうかというリスクもあるにはあります。時間コストもかかるでしょう。しかしリフォームならそういった取引コストはかかりません。
もっとも住宅のリフォームに相当お金をかけたら建物が立派になって固定資産価値があります。つまり工事の翌年から建物の固定資産税評価額が少し上がるでしょう。しかし固定資産税評価額の上昇は,マックスでも工事費用の50%程度でしょう。最悪でも,1000万円の工事で500万円分の節税効果があがります。必要な工事をして,ノーリスクで,課税財産ベースで500万円もの節税効果があれば,相当に割がいい節税対策ではないでしょうか。
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