相続大全集

いますぐに親の生前贈与の相手を子供から孫に切り替えたほうがいい理由

« »

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly
  • LINEで送る

3年以内の贈与は孫にして節税対策を

いまあなたは親から毎年110万円(111万円?)の生前贈与を受けていますか?もしかするとあなたは親の立場で,息子や娘に,毎年110万円の生前贈与をしていますか?それって何のために?

節税対策のために毎年する定期贈与・暦年贈与

毎年110万円の生前贈与を毎年しているとなると,「それは相続税の節税対策にしているのだ」という方も多そうです。いままでやってこられたその生前贈与は決して間違いではなく,相続税の節税対策の基本中の基本として,それでよかったのです。

  1. 相続税は資産税であり,亡くなった人から相続又は遺贈によって取得する相続財産が課税財産の中心になる
  2. 課税財産が多ければ多いほど相続税負担が重い
  3. 遺産を減らせば相続税負担が軽くなるから,生前贈与は節税対策の基本
  4. とはいえ贈与税負担は大きいので贈与税負担がない又は軽減して生前贈与することが肝要
  5. 110万円なら贈与税の基礎控除額に収まるので贈与税負担なくして相続税の節税対策になる

しかし,いまあなたがこのページを読んでいらっしゃるということは,「親の先が長くない」から。もしそうであるとすると,いままでやってこられた子供への110万円の贈与は考え直す必要がありそうです。

つまり,これから将来に向かっては,子供に対して110万円贈与するのは必ずしも正解ではなく,むしろ相続税の節税対策という意味ではまったくの無効になる可能性が高いです。今日は,引き続いて,その理由について説明していきます。

生前贈与したお金の全額が相続税の課税を免れるわけじゃない!

親が子供にした生前贈与の金額

ある仮定をします。このまま親が子に対して毎年110万円の生前贈与をした場合の仮定です。つまり,親が亡くなるまで,子供に対して生前贈与を継続した場合。そうですね,子供3人に対して,10年間に渡り,毎年110万円の生前贈与を継続したとしましょう。そうすると,生前贈与の累積額は,3300万円になります。

被相続人からの3年以内の贈与財産は?

  • 1年目 330万円(110万円*3(子供の数))
  • 2年目 330万円
  • 3年目 330万円
  • 4年目 330万円
  • 5年目 330万円
  • 6年目 330万円
  • 7年目 330万円
  • 8年目 330万円
  • 9年目 330万円
  • 10年目 330万円
    →ここで親が死亡して相続が開始

さて,このように10年間で3300万円の生前贈与が行われました。ここで考えなければいけないのは,この3300万円が全額相続税の課税対象から外れるかどうかです。

もちろん民法上,つまり権利義務の関係においては,贈与契約は有効であって,現金の所有権が親から子供に問題なく移っていることに疑いはありません。しかしいま申し上げているのは,権利義務という民法の話ではなく,相続税の課税財産かどうかという相続税法の話です。

この点相続税法では,以下のように条文で定めて,親が死ぬ前の3年以内に,被相続人から相続人が贈与によって取得した財産も課税価格に加算しなければいけないことになっているのです。つまり,上記の生前贈与のうち,死ぬ前の3年間でした生前贈与は,相続税の節税対策にはなんら寄与しなかったのです。確かにお金をもらったことは確定しており,それぞれ贈与でもらった相続人の財産になっているのですが,相続税の節税にはならなかったということ。いわば,遺産に戻して計算して,その3年分の贈与財産に対する相続税をも支払わなければならないという事態が生じるのです。

どうでしょう?このままではいけませんよね?

(相続開始前三年以内に贈与があつた場合の相続税額)
相続税法19条  相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続の開始前三年以内に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合においては、その者については、当該贈与により取得した財産(第二十一条の二第一項から第三項まで、第二十一条の三及び第二十一条の四の規定により当該取得の日の属する年分の贈与税の課税価格計算の基礎に算入されるもの(特定贈与財産を除く。)に限る。以下この条及び第五十一条第二項において同じ。)の価額を相続税の課税価格に加算した価額を相続税の課税価格とみなし、第十五条から前条までの規定を適用して算出した金額(当該贈与により取得した財産の取得につき課せられた贈与税があるときは、当該金額から当該財産に係る贈与税の税額(第二十一条の八の規定による控除前の税額とし、延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税に相当する税額を除く。)として政令の定めるところにより計算した金額を控除した金額)をもつて、その納付すべき相続税額とする。
2項略

3年以内の贈与財産を相続税の課税財産にしないために孫に贈与する

以上のようなことを避けるために,親の先がもう長くないな,3年ももなたないな,と思われるのであれば,贈与する相手方,つまり受贈者を子供にするのを止めて,その他親の法定相続人ではない人に変更する必要があります。具体的には子供の子供,親から見ると孫にするのはいかがでしょうか。

相続税の節税になるからといって,無理やり親族ではない者に贈与して,あとあと取り戻せなくなるのでは元も子もありません(いや,その人に贈与したいだけならいいのですが)。なので,子供さんに最も近い,お孫さんに贈与先を変更してもらって,親が亡くなるまで毎年の贈与を継続していきます。

法定相続人以外の者への生前贈与であれば,親が亡くなったときに相続税法による贈与財産の持ち戻しをする必要がありませんから,ストレートに節税対策になります。孫に対する贈与なら,一世代飛ばしに相続税の節税対策をしたことになりますから,お話としては筋がよいでしょう。

  1. 親から子供に対して毎年110万円の節税贈与をしてきた。
  2. しかしどうやら親の先が長くないようだ。
  3. ならば節税対策の効果を維持するために,法定相続人に受贈者を変更すべし。
  4. 孫ならば身内であるし,さらに次世代の節税対策にもなるので相手方として適任であろう。

このようなことを今日はお話しました。

« »

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly
  • LINEで送る

関連記事

子供が増えると節税になる?孫などを養子にして節税する方法について説明します

養子をもらうとと相続税の節税対策になる! 孫などを養子にして子供が1名増えると,相続税がかからない財産の枠が600万円分増えます。 もう1名養子を増やすと,さらに600万円分非課税枠が増えます(ただし実子がいない場合)。 …続きを読む

孫を養子にして相続税を節税(基礎控除額)

市役所(市町村役場)への死亡届の出し方などについて詳しく説明します

人が死んだら,まずもって,死亡届を提出しないといけません。 なぜ? 形式的には,そのように戸籍法で決まっているからです。 実質的には,死亡届を提出して役場に死亡の事実を知らして,戸籍に記載してもらわないと,死亡の事実を関 …続きを読む

死亡届の出し方

親が貸している土地は相続税を減額してもらえるのかどうか説明します

父親も高齢になりました。父親は不動産投資が好きで若いころはいろいろやっていたそうです。バブルの頃は相当儲かったらしいですが,その後結構損もして,いろいろと整理しました。それでも,いくつか不動産を持っているので,わたしも相 …続きを読む

貸している土地の相続税評価額

遺言書の遺留分を請求する具体的な方法についてお教えします

夫が世話になった?愛人に「遺産の全部を遺贈する」と遺言して亡くなりました。そんなこと,私は絶対に認められません。私には遺留分があるはずです。この遺留分だけはぜったいに取り戻したいです。そうじゃないと気持ちが収まらないし, …続きを読む

遺留分減殺請求権を行使する具体的方法

兄弟が行方不明のときは親の遺言書がないと大変だと知っていますか?

最近親の相続について親と話をする機会がありました。親は住宅と預貯金と株式を持っています。遺産については,「全部長男のお前が相続したらいい。お前には自分の家があるから,俺の家はお前において相続した後売却処分したらいい。好き …続きを読む

兄弟が行方不明の相続や遺産分割