相続大全集

住宅や家業の土地にも相続税がかかるのかかからないのかお教えします

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住んでる住宅(自宅)にも相続税がかかる?小規模宅地等の特例

こういうケースを想定してみてください。あなたはこういうケースにおける相続人ではありませんか?

ケース1)

父親は大手企業のサラリーマンをしていました。長年一所懸命に勤めて,子供にも教育をつけてくれ,最終的には転勤先の大阪府内に一戸建てを購入し,家族で一緒に暮らしています。私も運よく大阪市内に本店のある企業で就職し,両親と一緒に,この家で暮らしています。妻も同居に同意してくれ,子供もできました(父親にとっては孫)。父親は頑張って働いて結構な収入があり,貯蓄もしていたようですが,閑静な住宅地のこの市内に,私達家族が同居できるほどのそこそこ大きな家を建てたので,財産はこの家だけだといつも言っています。しかし家の評価は結構高いらしい。もし相続税がかかるようなことがあれば,それをどうやって払うか心配しています。もし預貯金で足りなかったらどうしたらいいのでしょう。家を売るか,私が借入れでもして払うしかないのでしょうか。

 

ケース2)

父親は祖父の代から続く町工場の二代目です。私は父親と一緒にその工場で働いており,現在は役員で,そのうち家業を継いで三代目になるんでしょうか,,いまのところその予定をしています。精密機械の部品を製造しているのですが,取引先が高付加価値の最終製品を売っていることもあり,幸いに,我が社にも安定して利益の出る発注をしていもらっています。そして今後も当面は安定した経営環境にあると思います。しかしリーマンショックの際は大変でした。しばらく赤字が続いたのでキャッシュをすべて吐き出してしまいました。といっても借入れのない健全な財務体質を維持しておりますが,,,さて,父親がそろそろ弱ってきたので,事業承継遺産相続の問題を考え始めたのですが,少し心配が出てきました。工場の土地が,父親の個人名義になっているのです。工場は比較的好立地にあり,評価額は相当なものだと思います。このまま父親が死んだら,ほとんど土地が唯一の遺産になりますが,相続税はどうやって支払ったらいいんでしょうか。土地は決して売却したくありません。何かいい方法はないんでしょうか。

以上のケースには共通点があります。そうです。父親には一定の資産があって,相続税が課税されるかもしれないが,その資産はほとんど不動産だけ。不動産に偏っている。その状況で,相続税が課税されたら,キャッシュが準備できない。相続税を払うために不動産を売らないといけないのか?それはおかしくないか?何かいい方法はないのか?というようなお困りごとです。

結論から言うと,国はそこまで鬼ではありません。こういったケースが往々にしてあることを国は十分に想定しています。不動産は重要かつ一般に高額の財産で,資産構成が不動産に偏っていることは不思議ではないからです。また,不動産は国民生活の基盤であり,住宅や事業用としていままさに活用されていることが多いので,その不動産に相続税を丸ごと課税してしまうと,相続税を支払うために不動産を処分しなければならない,などという本末転倒な事例が続出するからです。

今日は,このようなケースに国はどう対処しているかを説明します。

小規模宅地等の特例とは?

このようなケースに国はどのように対処して,あなたを救済してくれているか。それは,このような土地の相続税評価に特例を設けて,相続税法における財産評価を低く,安く,考えてくれています。つまりは,一定の要件の土地を,一定の人が相続する場合は,その土地の財産評価を低く計算することができる。その結果として相続税の課税価格を大幅に圧縮できる。もって,多くの人が相続税を支払わないで済んだり,相続税の負担を大幅に圧縮して相続税をキャッシュで支払える額まで軽減することができる。と,いうわけです。

住宅地や事業用の宅地を,相続人が,そのまま生活の本拠として,また事業用の重要財産として,継続して使う場合に限っては,その土地の評価を低く計算していいよ,ということです。

小規模宅地等の特例の種類と適用要件のポイント

このような特例の制度を,通称,「小規模宅地等の特例」と呼んでいます。大きく分けると二つ。住宅地と事業用宅地です。事業用宅地のほうは,さらに三つに分類できるので,宅地分と合わせると,四つの特例が用意されています。それぞれ簡単に説明します。

特定居住用宅地

まさしくケース1の事例が対象になる居住用宅地についての特例です。亡くなった被相続人又は被相続人と生計を同じくする親族の居住用だった宅地の相続について,配偶者や同居の親族が相続し,引き続き住み続ける場合等に適用になります。自分も住んでいる住宅を相続し,住宅のほかには大きな資産がない人が,家を売るようなことにならないために設けられている制度です。

特定事業用宅地

ケース2の事例が直接関係するケースです。亡くなった被相続人又は被相続人と生計を同じくする人が事業用として使用していた宅地の相続について,事業を引き継いだ親族が引き続き宅地を所有していく場合に適用になります。事業を継いだ経営者がそのまま事業用にその土地を使っていく場合が想定されています。この土地を取られてしまっては経営への影響が大きすぎるからです。

なお,この事業とは,工場やお店を経営したりしている一般の事業を指し,不動産そのものを商材にするような事業を含みません。そういう事業を「貸付事業」と呼び,貸付事業用の宅地はこの特例の対象になりません(後の述べる貸付事業用宅地の特例の適用は受けられる)。

特定同族会社事業用宅地

一定の法人の事業用だった宅地について,以下のような要件に該当する相続があった場合に適用になる特例です。

  • 取得者が相続税の申告期限においてその法人の役員である
  • 相続税の申告期限までその宅地を所有し,引き続きその法人の事業に使用している

※一定の法人とは,,

  • 相続開始直前に被相続人やその親族,その他の被相続人と特別の関係がある者が,発行済株式総数又は出資総額の50%を超える株式を所有している法人であって
  • 不動産貸付業,駐車と場業,自転車駐輪場業など特定の事業であって,貸付事業以外の事業を行う法人のこと

貸付事業用宅地

上記の特定事業用宅地の特例における事業が貸付事業であった場合に適用を受けることができる制度です。居住用や一般の事業用宅地に比べて軽減幅が小さく設定されています。

小規模宅地等の特例を適用した場合の土地の評価額の減額の割合

これら特例には,適用を受けられる宅地の面積に制限があります。そしてそれぞれに減額幅が決まっています。適用対象の面積を超える部分については通常どおり財産評価をしないといけません。

それぞれに受けることができます(平成29年3月19日現在の法律による)。

なお,以上の小規模宅地等の特例については,国税庁のWEBサイトに詳しく説明がありますので紹介しておきます。

相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

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