相続大全集

普通の人(金持ち・資産家じゃない)には相続税は関係ないと思っていませんか?

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相続税は普通の人(金持ち・資産家じゃない)人に関係ない?

父親が亡くなって先週四十九日が済みました。大変でした。不動産や預貯金がある程度あるんでこれから相続人間で遺産相続の話合い(遺産分割協議)をしようと思うんですが,兄弟から,相続税の申告が必要なんじゃないか?急いで財産の額を全部調べて,遺産分けを決めたほうがいいんじゃないか?誰か代表して税理士のところに相談にいったほうがいいんじゃないか?と言われました。何年か前に友達に聞いたら,相続税なんてお金持ちだけの話で,普通の人には関係ない,普通は相続税なんて支払う必要はない,と教えてもらったことがあり,我が家の相続には縁のない話だと思って気にもかけてなかったんですが,兄弟の言うとおり,ちゃんと調べてもらったほうがいいんでしょうか?

そうですね。ご兄弟もあなたの父親の財産状況を知ってそうおっしゃっているのかもしれませんから,この際ちゃんと調べてもらったほうがいいでしょう。税理士に相談に行くか,司法書士に遺産相続の手続きを依頼する際に,ついでに提携している税理士さんに聞いてもらったらいいですよ。

「普通の人には関係ない」

普通の人というのがどういう人か分かりませんが,,,,,先に相続税法が改正されて,相続税の基礎控除額が大幅に引き下げられています。何年か前であれば問題なかった人でも,その後の相続では相続税が課税されるケースもたくさん出てきているでしょう。

それから,これは後ほど説明しますが,「相続税を支払わないといけない」のかどうかと,「相続税の申告をしないといけない」のかどうかは,全然違う事柄なので注意してください。まったくもって放置していい人と,申告をちゃんとすることを条件に支払わなくてよくなる人がいます。ここが落とし穴ですので十分注意してください。

それではポイントを整理してみます。

遺産・相続財産が基礎控除額以下の人は何もしなくていい

相続税は,税金の分類では,「資産税」とされていて,要は一定額以上の資産を持っている人に課される税金です。資産があるんだから,税金を払ってよ,とそういうことです。つまりお金持ちにかかる税金です。この場合の資産とは,相続等でもらった遺産・相続財産のことです。

ということで,遺産が一定額以下の人にはそもそも相続税がかかりません。これを相続税の基礎控除額といいます。基礎控除というのは,理由をあれこれ問わずに,一定額までの資産は問答無用で課税しないという程度の意味です。その基礎控除額の計算式は以下のとおりです。

3000万円+600万円*法定相続人の数

父親が死んで,母親と兄弟2名が法定相続人になる相続だとすると,,,

3000万円+600万円*3=4800万円

つまり,遺産の総額が4800万円以下だと評価されるのなら,相続税はかかりません。かからないばかりか,相続税法の基礎控除額以下なので,相続税の申告自体不要です。何もしなくていい。放置していいんです。

あなたは,父親の相続に関しては,相続財産の名義変更等の法律手続だけしっかりやればいいのであって,相続税については放置でかまわないってことです(市町村や社会保険事務所への届け出等は必要ですよ)。

相続税の申告だけはしなくちゃいけない

遺産がいま家族が住んでいる中古住宅と預貯金がちょぼちょぼの場合相続税はかからないらしいじゃない?

とか

遺産分けで遺産を夫とか妻とかの配偶者が相続した場合1億6000万円まで相続税がかからないんでしょ?

と聞いたよ。

なので,何もしなくていいんですよね?

おしい!!

けど

間違いです!!その情報は。

小規模宅地等の評価の特例を受ける場合相続税の申告が必要

相続税は資産税であり一定の資産を持っている人に課税される税です。つまり余裕資金に課税される税。この点,ほぼ居住用の住宅しか相続しないようなときに,いくらある程度資産価値のある宅地だからいって相続税の課税があると,税金を支払うために家を売らねばならぬ,などという悲劇が生じます。これでは資産税の仕組みとしておかしい。よって,一定の面積までの広さの,一定の目的に使用される不動産については,小規模宅地等の評価の特例を受けられ,遺産評価額を大幅に軽減できるようになっています。

例えば居住用の宅地に相続人がそのまま住み続けるような場合,330㎡までの宅地の評価は,8割引きできます。つまり20%の価値で評価してかまわないことになります。この制度を指して,よく,「家を相続しても相続税はかからない」などといわれています。通常2000万円と評価される閑静な住宅地の宅地が,たったの400万円と評価されるわけなので,その他の遺産が相当ないと相続税はかからないのです。

もっとも,この小規模宅地等の特例を受けるためには,相続税の申告書を作成して,その中でこの特例を受けることを説明しなければいけません。つまり相続税の申告が必要なんです!税務署に相続税の申告をして特例を受ける意思表示をしなければ,その宅地は通常どおり評価されます。仮に通常どおり評価されたら相続税がかかるのに申告していなかったときは大変です。後から税務署から指摘され余分な支出をすることになるでしょう。この特例を受けるためにはほかにもいろいろと条件がありますがここでは立ち入りません。

小規模宅地等の評価の特例を受けたら相続税がかからない。特例なしでは相続税がかかる。

このような人は,

税金はかからないけれども,相続税の申告が必要です!

配偶者の税額軽減制度の適用を受ける場合相続税の申告が必要

配偶者の税額の軽減とは,被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が,次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。

  • 1億6000万円
  • 配偶者の法定相続分相当額

相続税法では,「配偶者が納めるべき税額」について,一定の税額控除を受けることができます。すなわちこの制度,配偶者の税額軽減制度は,計算上は相続税の支払いが必要であるようなケースにおいて,遺産分割や単独相続などによって配偶者が実際に取得する財産に限って適用される税金の額を減らしてもらえる制度です。

相続税は,遺産分割によって財産を相続すると決まった相続人が,実際に相続する財産の割合に応じて按分して(遺産の取り分に比例して)支払うものです。この制度の適用を受けると,配偶者が実際に相続した財産のうち,上記金額に対応して課税され計算された配偶者が支払うべき相続税額について軽減を受けられるのです。

この制度があるので,配偶者に遺産を集中して相続させれば,相当大きな相続でも相続税を支払わないでおくことができます。夫や妻が相続したら相続税はかからないよね?という話は,この制度のことを言っています。ただ,配偶者に遺産を集中して相続させると,その後その配偶者が亡くなった際にまた相続税の問題が生じます。多くのケースでは,次のその配偶者の相続の際に,子供や孫に相続させるので,今度は配偶者控除は使えないからです。

さて,この制度を適用を受けるためには,税額軽減の明細を記載した相続税の申告書に戸籍謄本と遺言書の写しや遺産分割協議書の写しなど,配偶者の取得した財産が分かる書類を添えて,申告期限までに税務署に提出しないといけません。つまり配偶者が全部相続して相続税を支払わないでいいケースでも,その申告をすることが,制度適用の条件になります。何もしなくていい訳じゃありません。

やはり,

税金はかからないけれども,相続税の申告は必要です!

まとめ

相続が開始して,相続人であるあなたが何もしなくていいのは,遺産が基礎控除に収まる場合だけです。

あなたの相続が,小規模宅地の遺産評価の特例や配偶者の税額控除を利用すれば相続税がかからない「普通の相続」だったとしても,相続税の申告は必要です。

つまり

「普通の人」でも,相続税は,無関係ではありません。

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