今度遺言書を自分で書こうと思うんですがどうやって書いたらいいですか?自宅の不動産はどうやって書いたらいいのでしょう。それから銀行預金とかゆうちょ(ゆうびん貯金)とか証券会社にある株や投資信託なんかはどうやって書いたらいいでしょう?皆目分からなくて,,,
はい。まずもって言いますが,遺言書は公正証書にしてもらったたほうがいいですよ。そしてもし両親が自分で書く場合でも,司法書士に文案作成をちゃんと依頼してもらってください。中途半端に自分でやると,後から無効になったら困ります。またせっかく作ってもらったのに「これでいいんだ」って安心できないでしょう。両親が自分で書いて家に置いておくのはおすすめしません。両親が亡くなってからでは遅いですよ。
あ,今日はそういう話じゃないですね。もうちょっと話の焦点を絞っていきましょう。ご質問の,親の預貯金を遺言してもらうのにどういう書き方をすればいいのか?でしたね。
遺言書における預貯金等金融資産の特定の仕方
一番いいのは,預貯金等の財産がきちんと特定できるように次のように書いてください。
- 南都銀行 王寺南支店 普通口座 口座番号○○○○○○○
- 三井住友銀行 大和王寺支店 定期預金口座 口座番号○○○○○○○
- ゆうちょ銀行 通常貯金 記号○○○○○ 番号○○○○○○○
- 野村証券 天王寺支店 株式 口座番号○○○○○○
- 大和証券 阿倍野支店 投資信託 口座番号○○○○○○
こういう風に書いても大丈夫だと思います。
- 南都銀行の預金の全部
- 三井住友銀行の預金の全部
- ゆうちょ銀行の貯金の全部
- 野村証券の株式の全部
- 大和証券の投資信託の全部
さらには,これでも大丈夫かと思います。
- 預貯金の全部
- 野村証券の証券口座の商品の全部
- 大和証券の証券口座の商品の全部
もっというと,以下のとおりでもなんとかなるはずです。
- 金融商品全部
究極的には,これでもいけるんですけどね。もっとも,あなたが仮に全財産を相続する場合の話ですが。
- 遺産全部 とか
- 全財産
注意すべきポイント
以前は,たとえ公正証書で遺言をしたとしても,口座番号まできっちり特定できていないと,遺言の執行ができないという事例があり,このことに関する議論が盛んに行われていました。また,不動産があった場合に法務局で名義変更のをしますが,不動産の特定の仕方についても同じような議論がありました(登記できるのかできないのか)。しかし現在では,関係機関の努力により,財産の特定性をめぐって金融機関や法務局で困ることは少なくなりました。
遺言するのはその財産の全部なのか一部なのか,株式や投資信託など商品を限定するのかしないのか,そのあたりをはっきり書いておけばおよそ問題はないと思います。
とはいえ安易に考えるのは危険です。遺言書で困るのは財産の特定性だけではありません。遺言書を書いてもらうときは,必ず司法書士等の専門家に相談しましょう。「親が死んだら(認知症になったら)やり直しはきかない」のが遺言書というものです。念には念を入れてください。
遺言書の作成は専門の司法書士へ
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