人事訴訟(じんじそしょう)

婚姻や養子縁組,親子関係といった人の身分関係の紛争を解決する特別の民事訴訟のことです。民事訴訟の一種ですが,民事訴訟法のほかに,特別法である人事訴訟法が優先して適用され,通常の民事訴訟とは手続に違いがあります。通常の民事訴訟の場合,紛争の当事者が主張した事実や証拠のみにもとづいて裁判所が判断をし,裁判所が積極的に口出しすることはありません。紛争解決の資料は当事者が用意するのが公平だからです(弁論主義)。そして結論として出された判決は基本的に当事者だけを拘束します。しかし,身分関係の争いは,金銭の貸し借りなどといった経済取引とはかなり性質が違うので,人事訴訟という特別の仕組みが用意されているのです。具体的には,まず,人事訴訟法が適用になる事件については,話合いで解決するのが何よりであることから,いきなり訴訟を提起することはできず,家事事件手続法にもとづいて,まず家庭裁判所で調停を試みる必要があります。調停ができない場合に訴訟ができます。訴訟資料は一定の範囲で裁判所が積極的に収集します(職権探知主義)。そして結論としての判決は,当事者にだけではなく,第三者に対しても効力があります(対世効)。「離婚が成立した」などという事実は一つでなければならないからです。