契約(けいやく)

人から人に対する請求権(債権)を発生させることを目的として,二当事者の,対立する意思表示の合致をもって成立する法律行為です。民法上,人から人に対する請求権は,「契約」「不法行為」「不当利得」「事務管理」という四つの法律関係からしか生まれません。これらの法律関係がないところでは,人に対する請求も,債務もありません。当事者が1人の遺言などは単独行為といって契約ではありません。意思表示が同じ目的に向いているものを「合同行為」などといい,契約とは区別されます。意思表示の合致は,口頭でも,身振り手振りでも大丈夫です。書面にするかどうかは契約の成立とは関係ありません。書面にするのは,争いになったときに備え証拠を準備するためです。契約によって請求権(債権)が発生すると,履行請求権(相手に契約内容の履行を求める権利),給付保持力(契約どおりもらったものをそのまま持っていられる権利),訴求力(裁判に訴える権利),執行力(強制執行の手続に進んでいるける権利)などといった効力が生じます。なお,契約については,契約自由の原則が当てはまります。また,契約をちゃんとしたものにするには,契約のプロセスをクリアしないといけません。この二つは特に重要ですので,トピックを以下に書いておきます。

契約自由の原則)
民法上,契約は,契約自由の原則が適用されます。原則なので例外もあります。
・締結の自由
・相手方選択の自由
・内容の自由
・方式の自由

ちゃんとした契約になるためのプロセス)
契約をしようと考えてから,ちゃんと効力を発生させるには,厳密には,次のようなプロセスをクリアしていないといけません。
・成立要件
申込みと承諾の意思表示が合致しているかどうかの問題です。
・有効要件
当事者に関わる主観的有効要件と,契約内容に関わる客観的有効要件を満たしていることが必要です。主観的有効要件には,本人に判断能力があるかどうかという意思能力や行為能力(未成年者,成年被後見人など)の問題と,本人の意思表示が間違ってされた場合の詐欺・脅迫などの問題があります。客観的有効要件には,契約内容の確定性,実現可能性,適法性,社会的妥当性の問題があります。
・効果帰属要件
ちゃんと本人に効力が及ぶのかどうか,具体的には,代理権の関係の問題です。
・効力発生要件
契約に条件や期限がついている場合の問題です。条件には,停止条件,解除条件,既成条件,不法条件,不能条件,純粋随意条件があり,内容によって契約の効力に影響します。期限には,確定期限,不確定期限,始期,終期の区別があります。