非訟事件(ひしょうじけん)

非訟事件とは「訴訟に非ず」を表現した言葉です。つまり,通常の訴訟手続きに則らないで,裁判所が,簡便迅速に後見的立場で「決定」することにより,物事の処理をする事件類型のことです。

訴訟事件ではない事件類型(のすべて),それが非訟事件です。なので,訴訟事件とは何かを書いておきます。必ずしもこういう厳格な手続きによらないで処理されるのが非訟事件です。

訴訟事件)

訴訟事件とは,典型的には,民事訴訟法によって解決される事件です。民事訴訟法は,近代的な司法権概念にもとづいて運用される紛争解決手続きです。つまり,民事訴訟の開始は当事者の申立てを待って行い,訴訟を提起したり取り下げたりするのは当事者の自由です(処分権主義)。また主張する事実やこれを裏付ける証拠の収集提出は当事者に任されていて裁判所が勝手にすることは許されません(弁論主義)。審理は口頭弁論という形式(直接主義,公開主義,双方審尋主義,口頭主義による)にしたがって公明正大に行われます。訴訟事件で当事者が主張立証するのは請求の要件となる事実(法律要件事実)の存否であり,裁判官が判断するのもこの事実の存否だけです。事実の存否がはっきりすれば,これに法律を適用して自動的に法律効果(請求の可否)が判断でき,判決ができるというシステムです。