不可分債務(ふかぶんさいむ)

不可分債務とは文字どおり分けることが不可能な債務のことです。債務とは,人に対してある行為をしたりしなかったりする義務のことです。不可分債務は,民法の,多数当事者の債権及び債務のところに規定されています。要するに,一つの債務に対して債務者が複数人いる場合に,いったいどういう法律関係になるかということが問題になるので,民法は特別の規定を置いてこの問題を処理しているのです。

不可分債務には,例えば1台の自動車を引き渡す債務だとか,不動産の所有権移転登記に協力する義務だとかいうように,その債務の性質上当然に不可分になるものと,当事者の意思によって不可分化されたものがあります。遺産相続において問題となるのは前者です。つまり,不動産の所有権移転義務を負担している人に共同相続が開始した場合,その債務は多数当事者に相続され,かつ同時に,債務の性質上当然に,不可分債務関係が形成されます。

不可分債務の債権者は,1名の債権者に請求してもいいし,全員に請求してもかまいません。1名に請求すれば全員に請求したことになります。