普通方式の遺言(ふつうほうしきのいごん)

普通方式の遺言とは,民法に定められた原則的方式の遺言です。スタンダードに用いられる遺言と言ってよいでしょう。遺言書の作成は要式行為であり,民法に定められた方式にしたがって作られなければ無効です。遺言の方式には,普通方式と特別方式があります。そして,普通方式の遺言には次の種類があります。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

このうち特に一般に用いられれているのは自筆証書遺言と公正証書遺言です。自筆証書遺言とは文字どおり自分で書く遺言書です。全文,日付,氏名を自署し,これに印を押せば自筆証書遺言ができあがります。公正証書遺言は公証人役場の公証人に作成してもらう遺言です。公証人の面前で遺言の趣旨を口頭で伝え,これを公証人が文書化して読み聞かせ,間違いなければ遺言者が改めて署名押印をして作成します(法律ではこうなっていますが,実務では事前に公証人と打ち合わせをして,書面の事前準備をしておきます)。

順守すべき遺言の方式(書き方ややり方)は条文に詳しく書いてありますからここに掲げておきます。もっとも,条文の解釈には判例知識等が必要です。せっかく書いた遺言書が無効になってはいけないので,安易に考えず,司法書士や弁護士に相談して作成してください。

(自筆証書遺言)
民法968条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

(公正証書遺言)
同969条 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人2人以上の立会いがあること。
二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
三 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を附記して、署名に代えることができる。
五 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を附記して、これに署名し、印をおすこと。

(秘密証書遺言)
同970条 秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
二 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
三 遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
四 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
2 第968条第2項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。