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2011年1月14日 13:29

絵本(黒田浩子)

昨日の事。私が家事をしていると娘が絵本を読み始めました。
娘はまだ文字が読めないのですが,家にある絵本はほとんど覚えているのでよく暗唱しています。昨日も絵本を沢山ひっぱり出して暗唱し始めたのでそっと聞いていると,時々おもしろい事を言っていました。
「オオカミと三匹のコヤギと七匹のコヤギ,はじまりはじまり~!!」(三匹のコブタの話と,オオカミと七匹のコヤギの話が混ざってる)
「次のとこ嫌いだから飛ばしま~す!!」(白雪姫が毒リンゴで倒れるシーンなど,怖いページは嫌い)
「ええと,なんか茶色いやつが~屋根から落ちてきてサルはペチャンコになりましたとさ」(さるかに合戦の「臼」が出てこなかった模様)
あまりにおかしいので笑ってしまうと,走ってきて「ママとはもう遊んであげへん!ブッブ~だ!バツ!」ととても怒っていました。
次から録音か録画しておいて大切に置いておこうと思います(^^)

週末は雪が降るみたいですね。皆様お風邪を引かれぬ様お過ごし下さい♪

垣根涼介著「君たちに明日はない」と,続編の「借金取りの王子」(新潮文庫)を読みました。この2冊を原作としたテレビドラマがNHKで放送されていたのを見たことがきっかけです。

村上真介は30代前半のサラリーマン。しかし彼が勤めるのは普通の会社ではなく,企業からリストラを請け負うのが専門の会社で,真介の仕事はリストラ対象者の面接官なのです。実際,日本には現在このような会社は存在しないそうです。でも,本当にあるのでは?と思わせるほど,その描き方がリアルです。希望退職者を募るという名目で人員削減の対象となっている部課の全員に面接を行うのですが,企業からは,削減したい人数だけでなく,必ず辞めさせて欲しい人,できれば残して欲しい人,などという希望が告げられており,それに応じた面接テクニックが要求されます。手に汗を握る緊迫した面接シーンの描写は,この小説の見所の一つです。業務終了後も油断は禁物。辞めることとなった人たちからはしばしば恨みを買い,後日,路上で鉢合わせた際にいきなり暴力を振るわれたり,事務所のドアに落書きをされたりすることも。本当にあったら,ストレスに押し潰されてしまいそうな職業です。

そんな環境でも,納得して常にクールに仕事をこなしていく真介。ある日,建材メーカーからの依頼で面接を行った真介は,自分の担当者のなかで,芹沢陽子という女性に好意を持ちます。陽子は40代でバツイチ。その建材メーカーでは課長を務めるキャリアウーマンで,絶対に辞めさせてほしくないリストの一人でした。とあるきっかけで陽子と再会することとなった真介は,面接をした人物とは個人的な付き合いをしてはいけないという社内規定に違反して,なんと,知り合ったばかりの陽子にいきなり自分の想い告げるという大胆な行為に出ます。陽子は最初,「なんて軽い人なの!」と怒って激しく拒否しますが,真介のアタックによって次第に惹かれてゆき,やがて二人は付き合うようになります。

小説の一貫した主人公は真介と陽子で,二人の恋と成長の話がベースとなっているのですが,依頼のある企業ごとに読みきりの短編集となっており,さらにその短編ごとに,真介が面接を行ったリストラ対象者のうちの一人がクローズアップされて,サブの主人公として物語が展開されるという構成になっています。

メーカー,銀行,デパート…さまざまな企業で,リストラという危機に直面した各話の主人公たちは,辞めたら「転職が苦労」「夢を諦めることになる」,続けても「減給」「昇進が望めない」など,どちらを選んでも最悪の袋小路だと絶望に打ちひしがれて悩みます。しかしこれをきっかけに,自分の過去,現在,そしてこれからについて否応でも考えざるを得なくなり,そうしていくうちに,自分が納得する幸せな人生とは条件や環境のみで決まるものではないと気が付いて,その人らしさを取り戻し,前向きな,晴れ晴れとした気持ちになってそれぞれの人生の選択をしていくのです。次々と展開される,リアリティあふれる人間ドラマに,ついつい,深く感情移入してしまい,私も自分自身について色々と考えるきっかけになりました。また,圧迫的な小説のタイトルや,リストラの話という設定を最初に強調することであえて読者に暗いイメージを想像させておき,全く逆の,明るく爽やかな読後感をもたらすというのは,各話の主人公たちが絶望から希望へと変化していく過程とりンクさせているようで,なかなか粋な演出だなと思いました。

全体のナビゲーター役でもある真介と陽子は,ブレない自分の「軸」をしっかり持っており,かといって自分本位に偏ってしまわず,人のこともちゃんとよく見ていて,とても柔軟な生き方をしています。恋愛についても,結局,真介は陽子との付き合いが社長に知れて冬のボーナスが10%減となってしまうのですが,「この人だ」と思う女性を逃さない行動力は男らしくて,魅力的です。陽子も,若い彼氏ができたからといって有頂天にはなりません。真介のことは好きだけれども,二人の関係について冷静で客観的な視点も持っています。しかし,こんな素敵な二人も,かつては挫折を経験しており,それを乗り越えて今に至っているのです(二人の過去についてもちゃんと書かれています)。真介と陽子は,各話の主人公たちがこれから到達していくと思われる人物像の良き例であり,そして読者から見ても理想だと思う一例として描かれているのではと感じました。

本を読むことで,不安が和らいだり,ちょっとした気付きがあったりするものです。今,何かに落ち込んでいたり,迷ったりしている人,焦っている人などに,是非読んでほしいと思います。読み終えたときに,何だか霧が晴れたような,ホッとした気持ちになること間違いナシです。

4月に愛犬ムクが死んでから,しばらくは1人になると思い出して涙が出てくるほど悲しみにくれていました。何よりも,今まではいつもワンワンと元気に吠えるのが聞こえてきたのに,それがもう聞こえない,家がシーンとしているのが辛かったです。そんな時,インターネットで見つけて購入したのがこの「天国にいった愛犬モモ」という本です。

著者の吉野奏美さんは,本業はミュージシャンでありピアニストでもあるのですが,霊感の強い方で,人の前世やオーラが見えるという能力を持っておられるそうです。そんな吉野さんの前に,ある日,2年前に死んだ近所の飼い犬モモちゃんの霊が現れ,「私のママ(飼い主)に,私は天国で元気にやっているから心配しないで,悲しまないでほしいと伝えて!」とメッセージを託してきました。この本は,その吉野さんの実際の体験を元にして書かれたものです。

物語の主人公はモモちゃん自身で,モモちゃんの目線で書かれたファンタジー風のお話になっています。モモちゃんは雑種のメスで,14歳でこの世を去りました。あるとき天国から飼い主の様子を伺いにきたところ,死んでからもう2年も経っているというのに,未だに自分の写真を眺めては泣いている飼い主の姿を見て悲しく思い,どうにかメッセージを伝えたいと思って,必死で吉野さんにコンタクトをとろうとするのです。そして晴れて気持ちを伝えられたモモちゃんは,今度は吉野さんに頼まれて,天国での生活の様子などをレポートするようになります。

読んでいると,物語全体から,モモちゃんが飼い主を思う気持ち,飼い主を気遣い,幸せであってほしいと願う気持ちがひしひしと伝わってきます。そして,モモちゃんは,飼い主に会えなくなったことはもちろん寂しいと思っていますが,その寂しい思いにばかりにとらわれているわけではありませんでした。飼い主のために一所懸命行動する一方で,天国ではどんどん積極的に友達を作り,あちらこちらへ出かけ,心から楽しんで暮らしているのです。いつまでも悲しんで落ち込んでいる飼い主とは対照的に,なんと素直で前向きで明るいのでしょうか。

このお話はモモちゃんの天国での姿を描いていますが,モモちゃんの生前の考え方や行動も同じであったでしょう。ペットは,自分が思っているのと同じくらい(またはそれ以上に)飼い主のことを思ってくれていて,お互いに愛情を与え合い幸せだったということ,また,会えなくなっても,ペットと過ごしたかけがえのない時間,築いた素晴らしい関係はずっと消えることはない(むしろずっと継続している)のだ,そう思うと,悲しみが少しずつ癒され,気持ちが明るくなってきました。まるでムクに励まされているような感じがしました。私もムクの気持ちを思いやればこそ,前向きに毎日を過ごそうと思って元気が出てきました。

本当にあった話が元になっている(モモちゃんの写真も載っていますし,最後に飼い主さんのモモちゃんに対する思いも綴られています)とは言っても,決してあの世や天国,霊の存在を信じさせようとするようなオカルトっぽいものではありませんので,どなたにも勧められますし,可愛いイラストが満載で絵本のようなつくりなので,小さな子供にも受け入れられる本ではないかと思います。

先日、本を読むためのブックスタンドをインターネットで購入しました。本を立てかけて手を離しても読めるやつです。もっともシンプルで、あまり余計な機能のついていない、使い勝手のよさそうなものを購入しました。

朝は限られた時間しかないので、朝ご飯を取りながら勉強の本を読みます。晩ご飯のときもそうです。また、重要な箇所をメモを取りながら読むこともできます。僕の場合、働きながら勉強しており専業ではないので、ちょっとした時間すらも積み重ねて時間を確保するしかありません。

最近は勉強時間を確保することにさらに欲が出てきて、お風呂にもブックスタンドを置くことを考えています。直接置くことはできないと思うので、電気スタンドのように首が動くものを壁に固定して設置しようかと考案中です。

朝ご飯、晩ご飯、お風呂の時間だけで合計1時間くらいは確保できます。あまり密度の高い勉強はできないので主に復習しています。やらないよりはやったほうがよいという感じでやっています。

他にもどこかで勉強時間を捻出することができないか考えていますが、なかなか難しいところであります。

今,ドラマでたいへん話題になっている山崎豊子著「華麗なる一族」(新潮文庫)を読んでいます。上・中・下巻のうち,やっと上巻を読み終えました。

ドラマでは,木村拓哉さん演じる長男の鉄平が主人公ですが,原作の主人公は父の大介です。この小説は登場人物が多く,深く入り組んだストーリーが展開されており,誰の目線で読むかによって,かなり感じ方が変わると思います。私は,どちらかというと万俵一族のどろどろとした家族関係よりも,大介と鉄平という,親子でありながら全く違うスタイルの,経営者としての二人の生き様に注目し,対比させながら楽しんで読んでいます。

金融再編の波が押し寄せる中,必死で我が銀行を守りぬくために戦う大介は,自らの家族をも犠牲にする非情さを持つものの,頭取としてとても高い能力を備えた人物です。その反面,鉄平の出生の疑惑にいつまでも取り付かれ悩み,さらに自分には到底叶わない人間的なスケールの大きさと実力を備えている,阪神銀行創始者の先代(大介の父)や,鉄平を心底恐れるなど,心の弱さや,器の小ささがあります。しかし私は,そんな欠けた大介の人格にリアリティがあって共感できるので,嫌な悪い奴だと思いつつも,それだけでは終わらない魅力も感じています。

一方,鉄を造ることに熱心で,会社の従業員や家族を愛し,情が深い鉄平は,文句無く素晴らしい,尊敬できる人物です。鉄平もさまざまな試練に苦しみながら,高炉を建設し阪神特殊鋼という会社を大きくするため奔走するのですが,大介のように人を裏切るやり方ではなく,人間同士の信頼,絆によって実にあざやかに困難を切り抜けていくのです。ほとんど全くといっていいほど,鉄平の欠点が見つかりません。このような完璧に近い人は実際にはいないのではないかとさえ思います。作者は鉄平に,実現不可能な夢といいますか,私たちの求める究極のリーダー像を投影することで,理想と現実の落差を強調しているのかもしれないと思いました。

ところで,今ちょうど上巻を読み終えたところだと書きましたが,実は本を買ったときにどうしても気になって我慢できず,下巻の最後,つまり,物語の結末を先に読んでしまったのです。そして想像を超えた驚くべき最後に,ショックを受けました。やっぱり読まなければ良かったと,少し後悔しています。どうしてこのような結末に導かれていくのかを私なりに考えながら,これから中,下巻も読み進めたいと思います。

漫画家,吾妻ひでお先生の「失踪日記」を読みました。

1989年の冬,1992年の春と2回も仕事を放り出して失踪し,ホームレス生活を送った著者。2回目の失踪のときには,ひょんなきっかけでしばらくガスの配管工事の仕事をするようになるのですが,いずれも警察官に補導されて家に戻ることになります。そして,漫画家としての生活を再開するも,今度は1998年春にアルコール依存症になってしまいます。入院を余儀なくされ,3ケ月の治療プログラムを受けたのち,無事に退院することができました。この作品は,これらの2回のホームレス生活と配管工事の仕事のこと,そしてアルコール依存症で入院したときの生活について綴られた漫画です。

・・・と,そのように説明すると誰もがちょっと引いてしまいそうですね。でも,ホームレス生活の毎日や,入院する直前の酒浸りの生活など,一歩間違ったら死んでいたかもしれないような悲惨な内容にもかかわらず,完全に自分自身を客観的に捉えて淡々と面白く描かれているので,全然悲壮感はなく,楽しく読めてしまうのです。ひとつの「作品」として完成していてすごいです。私は,読み終えて「さすがプロだなあ」と感心すると同時に,安心感が沸いてきました。なぜなら,このように描けるのは著者が現在は完全に精神的に回復しておられる証拠でもあるからです。

どんな仕事でも楽しい面,辛い面があると思いますが,この漫画のカバー裏に書かれているおまけのインタビューで著者がおっしゃっていた言葉が印象的でした。それは,要約すると「新しいものを考え出せなくなってくると,落ち込んでどんどん精神的に病んでくる。だから配管工事のような仕事は気持ち的にはずっと楽なのだけど,今度は人間関係が難しい。じゃあ漫画はひとりでできるからいいかというと,内にこもってしまうのでだんだん追い詰められる」という内容の言葉です。

このような,仕事の精神的な過酷さは,普段,作品を通じて受け手側の私たちに伝わってくるものではないですし,むしろ漫画家のようなクリエイティブな仕事で成功している人々に対しては,華やかでかっこいいイメージが先行してしまいがちではありませんか?私は,漫画家に限らず,あらゆる職業,そしてその職業に従事している人たちのことについて,想像で何となく捉えている部分が多く,想像の及ばない知られざることや,思い込みによって誤解していることが,実はすごくたくさんあるのだろうなと思いました。

ところで,配管工事の仕事をしていたある日のこと。勤め先の大元のガス会社の社内報で原稿を募集しているのを知った著者は,何と漫画を描いて投稿し,何度か掲載された,というエピソードがあります(そのとき作者インタビューを受けて,写真も載ってしまったそうですが,幸い(?)誰にも漫画家ということはバレなかったそうです)。「ホームレスをやっていたら働きたくなり,肉体労働をしていたら芸術がしたくなる」のだそうです。紆余曲折の末に,現在は漫画家に復帰しておられるのを見ても,漫画を描くことは,著者にとって本当に「天職」だったのですね。

お身体をくれぐれもお大事に,そしてこれからもずっと漫画家としてご活躍されることを願ってやみません。

すっかり更新が遅くなってしまいました。今回も自宅から投稿します。

このところ,私は読書が習慣となってきています。とは言え,毎月5冊ほどなので,多いとは言えないですね。社会人としては,ごく平均的な量かなと思います。本当はもっとたくさん読みたいのですが,私は読む速度が遅いので,今のところ月に5冊が限界です。

いろいろな本を読みますが,本屋で手にとって何となく面白そうと思ったものや,好きな映画の原作,友人のオススメ本,ブログで話題になっているものなどの中から選ぶことが多いです。気に入った本に出会うと,その著者の他の作品や,関連する本についてネットで検索し,売れ行きやレビューを読んで,良さそうだなと思ったものをまた購入して読みます。そんな風に読書の幅を少しずつ広げるようにしています。

最近は,ミステリーを立て続けに読んだので,今回はその中から面白かったものを2つ紹介しようと思います。

まずは岡嶋二人著「99%の誘拐」(講談社文庫)。昭和40年代と60年代に起きた,2件の関連する誘拐事件が出てくるのですが,前者は静かで重苦しい感じなのに対して,後者は躍動感があって軽快であり,その対比が面白いのと,話が進むほどにスピード感が増してくる構成が素晴らしいと思いました。人物の描写が押さえ気味な分,誘拐方法や身代金要求の仕方の描き方に旨みを盛り込んでおり,実現不可能だと思われる部分も多いものの,実に巧妙な手口で,読者を惹きつける魅力があります。飽きさせるところが無くて,一気に読める作品でした。欲を言えば,犯人の思い通りにどんどん話が進みすぎるので,もう少し犯人にピンチが訪れてハラハラさせられるところがあってもよかったかなと思います。この作者の著書を読んだのはこれが初めてでしたが,他の作品にも興味がわいてきました。

2つめは,宮部みゆき著の「クロスファイア」(光文社文庫)です。念力放火能力を持つ主人公の淳子は,悪質な殺人を繰り返す若者たちを,この能力を使って次々と焼殺していきます。これが正義だと淳子は思っているのですが,もちろん良いわけ無いですよね。しかし,おそらく実際には存在しない(はず)であろう,念力放火能力についての表現が巧みなため,淳子の苦悩がリアルに伝わってきます。あふれる力を制御するのも大変なほどのこんなすごい能力を持っていると, 普通に生活するのは困難で,どんな生き方をしても孤独でしょうから,そう思うと胸が苦しくなりました。そんな淳子に接触を図る謎の男性,木戸浩一。彼と出会ったことで淳子は少しずつ変わっていくと思われたのですが・・。詳細を何も知らないままならば,淳子もかすかな幸せを手にしたと言えるかもしれませんけれども,これでは切なすぎるなあというラストでした。正義とは何か?という問いよりも,同じ女性として,淳子の生き方について考えさせられました。この作品は6年前に映画化されていますが,私はまだ観ていません。確かにこれは映画化するとすごい映像だろうなと思います。でもストーリーはかなり違っているようですので,レンタルして観るかどうかは迷うところです。

そして,今はどんな本を?と言いますと,ミステリーとは違う趣を求めて,志賀直哉の短編集を読んでいます。これからも幅広く,さまざまな作品を読み続けていきたいと思っています。

松本清張著「けものみち」(新潮文庫)を読みました。米倉涼子さん主演のテレビドラマを観て,原作に興味を持ったからです。

小説が執筆されたのは昭和30年代後半。脳梗塞で寝たきりの夫を養うため,料理旅館『芳仙閣』で仲居として働く民子。ところがある日,客としてやってきた魅力的な小滝という男にそそのかされて,民子は自宅に放火して夫を焼き殺し,政財界の黒幕的存在である老人,鬼頭洪太の愛人となります。嫉妬深い夫と貧しい生活から開放された民子。しかし民子が踏み込んだ道は,闇の権力に支配された,人間の恐ろしい欲望が渦巻く先の見えない世界へと続くものでした。そして,民子を放火殺人犯として追いかける刑事,久恒も,民子と同じように,一度入ったら抜け出すことのできない「けものみち」へと迷い込んでいくのです。

テレビドラマでは,民子は鬼頭の権力を利用して,ジュエリーデザインオフィスを立ち上げ活躍し,最終話でも燃え盛る炎の中から逃げ出して奇跡的に助かるというストーリーで,原作よりもさらに強い意志と運を持った女性として描かれています。また,原作にはないオリジナルのキャラクターたちが,人間の持つあらゆる欲望や嫉妬,憎悪などをうまく演じ分けていて,人間の心の恐ろしさをリアルに表現していると思いました。

これに対して原作は,権力の持つ恐怖がより強く指摘されていると思います。特にそれを感じるのが,久恒刑事の描き方です。鬼頭を憎み,鬼頭の悪を暴こうと奔走しつつ,自分も刑事という立場(権力)を利用して小さい悪行を重ねており,久恒はそれを悪いことだとは思っていないのです。やがて,執拗に鬼頭の素行を追い続けた結果,久恒は鬼頭の手下にあっさりと殺されてしまいます。まるでうるさいハエをポンと叩き落すように・・・。

久恒は下っ端の刑事であり,民子と並んで一庶民の代表格的な登場人物で,彼らの目線でしたためられていることによって,この小説の世界が決して私たち一般人と無縁ではないことを示しているのですが,原作で筆者の言わんとしていることは,民子の人生よりも,久恒刑事の心理や行動,行く末を通じてより効果的に発せられていると思いました。

小説の文章は分かりやすくて,上下巻とも一気に読み終えました。現代版のテレビドラマと原作との,ストーリーの違いだけでなく,時代背景が異なることによる細かな設定の違いを対比しながら読むのも面白かったです。

立ち寄った本屋さん。
 皆さんは,読書をなさるほうでしょうか?ズバリ僕はあまりしないほうです。昔は,小説の三毛猫ホームズなどをよく読んでいた記憶があるのですが,最近はさっぱりです。
 
 先日,法務局に出張する機会がありました。そこは,どちらというと遠いほうで,電車の本数も少なく行きにくいところでした。法務局に向かうときは,比較的タイミングがよく効率よく法務局に到着することができました。
 
 ところが,帰りはタイミングがとても悪く,約20分ほど待たされることになりました。ちょうど電車が出てしまったところだったのです。また,運の悪いことに,1時間に4本あるはずなのに,その時間帯は3本しかありませんでした。

 ホームに入ってしまった以上,駅周辺をウロウロするわけにも行かず,ホームをウロウロすることにしました。すると,駅の丁度真ん中くらいに,なんと本屋さんがあったのです。最近,よく駅の構内でコンビニなどはよく見かけるのですが,まさか本屋さんがあるとは思いませんでした。

 ちょうど暇つぶしによいと思い,本屋に入ることにしました。駅構内ということもあって,雑誌系の本がやはり多かったです。
 「週間ジャンプ」という少年漫画雑誌を久しぶりに見ました。昔はドラゴンボールなどが連載されていたあまりに有名な雑誌です。

 雑誌を見終わり,さらに本屋の奥に進むと,単行本などが置いてあるコーナーに行き着きました。その場所でパッと目に入った本は「犬ばか」という本でした。なんじゃこりゃと思い,手にとって中身をつまみ読みしてみると,どうやら,自分が飼っている犬が可愛くて仕方なく,ばかになっている人を書いた本のようでした。僕も犬を2匹飼っているのですが,多少,本の内容に関してあてはまるところもあり,思わず,本屋でニタニタしてしまいました。

 もう少し,本屋にいて本を見たかったのですが,電車の時間が迫っていました。これに乗らなければ,また数十分待たなくては行けません。
 今度,休みの日にでも,ユックリと近所の本屋に行ってみようかなと思います。もちろん勉強を終わらしてからの話ですが。

2005年8月31日 00:00

読書の秋(阪野友重)。

最近読んだ本&読んでいる本。
 昨日は雨でしたね。このところ朝晩は暑さも和らいできましたし,だんだん日も短くなってきました。秋の気配を感じます。

 さて,私はお盆休みの頃から,読書にはまっています。だいぶ前に読もうと思って買ったのに,ずっとそのままになっていた本がたまってきたので,今それを順番に読んでいるところなのです。

 まず読んだのは,エーリッヒ・フロム著の「愛するということ」(紀伊国屋書店)です。フロムはドイツ生まれの社会心理学者で,この本は約45年前に日本で出版されてベストセラーとなりました。「愛」とは・・考えるとたいへん深く難しいテーマですが,フロムは,生きることと同じように,愛することも「技術」であると定義して,愛するということはどういうことかについて論じています。「愛」にもいろいろあります。「兄弟愛」「母性愛」「異性愛」・・いずれにせよ,人を愛するためには,まず自分のことを好きで(決して利己主義ではなく)自信を持っていなくてはいけないし,人間として成熟することが必要であると,フロムは説きます。「愛」についてまじめに論じられている本で,なるほどと思うところが多く,オススメです。

 次に読んだのは,アン・モロウ・リンドバーグ著「海からの贈物」(新潮文庫)です。著者は,初めて飛行機で太平洋横断に成功したリンドバーグ大佐の奥さんで,彼女自身も飛行機を運転する,いわゆる女流飛行家です。これは,そんな彼女が休暇を取り,出かけた海辺の家で,一家の主婦として,また一人の女性として,生き方について考えたことを綴ったエッセイです。女性の生き方とは・・これも大きなテーマです。女性は,特に現代社会では様々な生き方の選択肢があると思いますが,長い人生の中では,たとえば結婚して家庭を築いたとしても,夫婦の関係や,母親と子供との関係も時間とともに形を変えていきますし,生活形態も変化してゆきます。そのような中で常に自分を見失わずに,家族との関係,人と人との関係を大事にして,「現在」を充実させて生きることが大切だと,リンドバーグ夫人は教えてくれます。この本で述べられていることは,フロムの「愛するということ」の中で書かれていることと,テーマや表現は違っても根本的な考え方が似ている部分が多いと思いました。とても考えさせられました。この2冊の本を続けて読んだのは全くの偶然ですが,良かったと思います。

 そして今,読んでいる途中の本は,宮部みゆき著の「火車」(新潮文庫)です。93年に,山本周五郎賞を受賞したこの小説は,人気の高い作品だそうですので,ご存知の方も多いかもしれませんね。ストーリーは,主人公である休職中の刑事が,親戚の男性から,失踪した婚約者の捜索を頼まれるのですが,調べていくとその女性は本人と違う名前を名乗っており,戸籍まですり替えて別人を装っていたことが明らかになります。そして,彼女に名前や戸籍をすり替えられた女性は,自己破産経験のある元多重債務者だったのです。まだ半分しか読み進めていないのですが,ここまででも自己破産手続とはどんなものかということや,現代の日本において多重債務者が増えた経緯などが,詳しくわかる内容となっています。著者は,弁護士の宇都宮健児先生に取材を行い,また,多くの文献を読んでこの作品を書いたということですが,文章の説得力が素晴らしく,そうとう勉強をされたのだということがうかがえます。続きを読むのが楽しみです。

 明日から9月。私にとって今年の秋は「読書の秋」になりそうです。みなさんはどんな秋を過ごされますか?

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