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相続?贈与?離婚?不動産のことが気になったらまずすること(前編)

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投稿者:中尾 哲也
不動産のことが気になる

こんにちは,司法書士の中尾です。今日からブログを再開しますので宜しくお願いします。さて何から始めましょうか,,久しぶりなので,本業のど真ん中から行きましょうか,,

【相続の場合】
俺もそろそろいい年やな,,息子にのこせる財産勘定しとかんとあかんな,,
あるいは
親父急に倒れよって難儀やな,ところで家とマンション親父の名義やったはずだが。

【贈与の場合】
そろそろ孫に土地建物を贈与しとこうかな。

【離婚の場合】
わたしたち夫婦ももう来るところまで来たわね。別れるしかない!となると財産分与の話をきっちりつけとかないと,,この家の名義って??たしか2人の名義にしていて,,銀行の借入れもちょっと残ってたような,,

などなど

こういうことってありますよね。相続にしても,贈与にしても,また不幸にも離婚話をするにしても,何か人と人の間で財産が動くようなことがあれば,必ず不動産が出てくる。不動産は多くの人にとって生活の基盤であって,とても大きな財産なので,まあいろいろと問題になってくる。

今こそ問う(??)。不動産をどうしてくれようぞ。

これはおよそ人類を数千年来,いや生きとし生けるものを太古の昔から悩ませてきた大問題です(ちょっと大げさwでも嘘じゃない)。およそ地面や住まいといった不動産をどうしたらいいのか,このことは,お金持ちにとっても貧乏人にとっても,いろんな観点から検討を要する大変難しい問題に相違ありません。さてこの問題をどう解いていこうか!

そうです。勘の良いあなたならもうお分かりでしょう。あらゆる問題を解決するときと同じく,まずは正しく現状認識をすることだ。いま,僕は私はどうなっているのか(人の問題なってるし)。これがわからないと,今後どうしていったらいいのか対策を立てることができませんからね。

ということで,不動産をどうするかを考えるために,まずは不動産の現状を知ろう!
っと,,とやる気を出してはみたものの,,,

不動産の現状って何のことやねん?現場の様子のことかい?「そろそろ草むしりせんといかんなあ」とかそういうことかい?

まあそれもありますね。確かにそれもあります。ただ,それだけじゃないです。不動産は財産のひとつなので,財産の現状を知るには,だいたい以下のようなポイントを考えればいいです。

①権利関係
②評価
③物理的な状況

①権利関係というのは,簡単にいえば,誰の持ち物かってことです。所有者が誰かということのほか,その財産に何か権利を持っている人がいないかというのも重要。
②評価というのは,価値,要するに,なんぼになんねん!なんぼのもんやねん!(ちょっと違うか)ということですね。
③物理的な状況というのは,さっきあなたが言った現場の様子のことです。

このうち,③については一目瞭然,見れば分かりますので今日は省略しますね。今度暇なときに,あなたが見に行ってきてくださいw(決して③がどーでもいいってわけじゃないので注意です)

以上,不動産のことをいろいろ考えるには,とにかく権利関係と評価(価値)を押さえましょう。ではそろそろ本文いきますっ(前置き長い)

 

不動産の現状を認識する

①の権利関係を調べるのに丁度いいものがこの国にはあります。不動産の登記簿謄本というやつです。ちょっと前に法律が変わったので,正確には,登記事項証明書と呼びます。登記簿のほうが慣れているのでついつい登記簿謄本と呼んでしまいますが。
②の評価を調べるには,固定資産評価証明書という書類を見ればいいです。市町村が発行してくれます。手元に固定資産税の納付書があれば,それでもOK。

それぞれについて,もう少し詳しいことや,調べ方などを,これから書きます。

 

登記簿謄本(登記事項証明書)について

登記簿や登記簿謄本(登記事項証明書)とは何か

土地とか建物のことを日本の法律では不動産といいますが,土地は必ず,そして建物も基本的には,不動産登記法という法律に書いてあるとおりに,一定の情報が,国の不動産登記簿という帳簿に登録してあります。この帳簿のことを登記簿といって,各地の法務局という役所が管理してます。法務局というのは,法務省の民事局の下にある国の組織です。

登記簿謄本(登記事項証明書)とうのは,その帳簿に書いてある登記の内容を,紙に印刷したものです。住民票って住んでる市町村が管理してますよね?あれは,住民基本台帳法という法律にもとづいて,市町村が,住民基本台帳というのを管理していて,そこに書いてあるデータを紙に印刷したものです。もとの帳簿の内容をすり出したのが住民票。不動産のデータは市町村じゃなく法務局にあって,すり出したデータは住民票じゃなくて登記簿謄本(登記事項証明書)だと考えてください。

※ちなみに会社などの法人のデータは商業登記法という法律にもとづいて法務局が,戸籍なんかは戸籍法という法律にもとづいて本籍地の市町村が管理してます。お国の情報は,全部根拠となる法律と,管理している役所が決まってるので,それを知っておくと,どこに何を請求できるか分かりますよ。

とにかく,不動産の登記簿も登記簿謄本(登記事項証明書)も,管轄の法務局にあるってことです。

法務局>管轄のご案内

登記簿謄本(登記事項証明書)までとらなくても登記内容を確認できる制度
登記簿謄本(登記事項証明書)とうのは,ちゃんとした公文書です。公文書というのは,誰が発行したというのが書いてあって,最後に印鑑が押してあるもののことです。そこまでいらんわ,登記簿の内容だけ確認できればええわ,という人は,登記情報提供サービスというのを利用できます。これは,ネットで,登記簿の記載された情報を見るだけ(もちろん印刷とかもできる)のサービスです。登記簿謄本(登記事項証明書)とちがって印鑑が押してないので公文書じゃないですが,一般財団法人民亊法務協会という法務省の天下り組織(ひぃいいい)が登記簿のデータを使ってやっているサービスなので,多分内容に間違いはないはずです。

登記情報提供サービス

登記簿謄本(登記事項証明書)の請求方法

「ええか,この電話で今から俺が言うから用意しといてくれや!何やったら今日送ってくれてもええでっ」

これでは登記簿謄本(登記事項証明書)などは取れません。ピザや中華丼ならいけるかもしれませんが,一応国のサービスなので,口だけでは無理です。つぎのとおり,書面などで手続してください。

登記情報提供サービス

データだけ確認できればいい人は,さっきもいったとおり,ネットで登記情報提供サービスを利用して登記内容を確認してください。クレジットカードさえあれば,すぐに利用できますので便利ですよ。1通337円でございます。

登記情報提供サービス

登記簿謄本(登記事項証明書)

ちゃんとした証明書が欲しい人は法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取ってください。方法は次のとおりです。

①法務局にのこのこ行って?窓口に手数料分の収入印紙を貼った申請書を出し,椅子に腰掛けて少し待って,呼ばれたらまた窓口で書類を受け取る方法(長いw)

法務局

タイトルでほぼ尽きてますが,これがオーソドックスな方法で,一番簡単です。まず不動産の場所から管轄の法務局を調べて,のこのこ(まだいうか)出向き,法務局に置いてある以下の申請書に書き込んで,印紙を貼って請求してください。1通600円なので,お金も忘れないように。土地と建物だと1200円ですよ。念のために2000円か3000円は持っていきましょうw

なお,住所と土地の地番が違うときがあるので,出来れば権利書を持っていくといいですね。登記簿謄本(登記事項証明書)をとるには,「地番」が必要です。住居表示ではダメです。住所の最後に「号」と付いている場合住居表示なので,気をつけてください。分からなければそのまま行って,法務局に置いてある「住居表示と地番の対照表」(名前はいろいろ。全部の法務局にあるかどうか不明なので事前に電話確認するとベター)で調べてから請求することもできます。

法務局の管轄を調べる

申請書

登記事項証明書等交付申請書

②法務局に手数料分の収入印紙を貼った申請書を返信用封筒とともに郵送し,数日のんびりお返事が来るのを待つ方法
郵便でも請求できます。申請書を印刷して印紙を貼って,送るだけです。返信用封筒にも切手を貼ってくださいね。手数料は同じく1通600円。

③ネットで申請だけして,法務局に取りに行ったり,郵便で送ってもらったりして,現物を受け取る方法
ネットもで申請できるんですが,,登記簿をとるためだけに設定するのは面倒なのでおすすめしません。司法書士事務所は専用ソフトなどの設定が済んでいるのでぱぱっといくんですが,一般の方には,,チャレンジする場合は以下のページからどうぞ。これ,さっきの登記情報提供サービスとは違いますよ。登記申請の本番もできるもので,法務省が直接やってるものです。これで取るとちょっと手数料が安い。

登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと 供託ねっと)

④あと,司法書士の事務所に相談に行けば,ネットでちょちょっと確認してくれますので,自分で取らなくても済みます。参考まで。

登記簿の仕組み

さて,登記簿謄本(登記事項証明書)を請求するために,できれば前もって,登記簿自体の仕組みをちょっとだけ勉強しておきましょう。登記簿謄本(登記事項証明書)を取ってみても,そもそも登記簿がなんのこっちゃ分かってなければしょうがないですからね,,ところで登記簿,帳簿といっても,今はコンピュータが進み,登記記録というデータになっていて,実は新しく物理的な帳簿が作られることはない。だからすごくイメージ湧きにくいですが,一応昔ながらの紙の登記簿をイメージしてみてください。そっちのほうが分かりやすいですので。登記簿という不動産の帳簿がどのように作られているのか。そのことを少しだけ見てみましょう。

◎物的編成主義
不動産の登記簿は,不動産ごとに作られています。○○番の土地の登記簿はこれ,家屋番号○○番の建物の登記簿はこれっていう具合。「○○番の土地の登記簿」を見ると,どんな広さの土地で,誰が持ち主で,,と書いてある。「誰々さんの登記簿」を見ると,どこの不動産を持っているか出てくるのじゃない。決して人ごとに作られているんじゃありません。あくまで不動産が主役だ。名寄せ方式ならぬ,不動産寄せ方式ですね。なので,登記簿謄本(登記事項証明書)を取るときも,地番や家屋番号を書いて請求しないといけません。「俺の登記簿を寄越せ」と身分証を出して請求しても無理だってことです。

◎1不動産1登記用紙主義
登記簿は個別の不動産ごとに作られます。日本の法律では,土地と建物は別個の不動産なので,別々に登記簿があります。また,現場はひろーい一つの土地であっても,法律上地番がいくつもに分かれている土地の場合は,それぞれ地番ごとに登記簿があります。建物が分割登記(区分所有)されている場合(マンションなど)は,部分ごとに登記簿があります。くれぐれもご注意を。

◎表題部,甲区,乙区
そんな登記簿ですが,大きく分けると,三つの部分からなります。それが,表題部,甲区,乙区ですが,どの登記簿にもこれら三つが揃っているわけじゃありません。表題部しかない場合,表題部と甲区だけある場合,そして,表題部,甲区,乙区全部ある場合と三種類の組み合わせがあります。

表題部とは,不動産の物理的な状況を表している部分です。土地であれば,どんな広さで,宅地なのか農地なのかとかそういうことを書いてある部分です。登記してある不動産の場合,表題部はかならず存在します。まず,どんな不動産かという現況を書いて登記簿を立ち上げるからです。
甲区には,所有者が誰かが書いてあります。所有権に関することです。持ち主が書いてあるのが甲区。
乙区には,所有権以外の内容のすべてが書いてあります。お金を借りたら抵当権という担保が付きます。土地を借りたら賃借権などが登記されたりします。
なお,表題部に対して,甲区と乙区を併せて,権利部と呼んだりします。

登記簿謄本(登記事項証明書)の見方

さてさて,じっさいの登記簿謄本(登記事項証明書)の見本を見てましょうか。表題部は物理的なこと,甲区乙区は権利関係というのを覚えておいてください。

土地登記簿

大きく四つほど枠があります。一番下の共同担保目録というのはこの際見ないでください。そうすると,さっき説明した表題部,甲区,乙区の三つの大枠が残ります。

表題部

所在というのは,まさしく所在地のこと
地番とうのは,土地を最終的に特定する番号
地目というのは,土地の用途ですね
そして地籍というのは,面積
原因及びその日付というのは,その登記をした理由などです
所有者も書いてありますが,これは仮だと思ってください。所有者は,甲区のほうを見る。

甲区

基本的には,順位番号の最後のところを見るようにしてください。
登記の目的というのは,どんな種類の権利について,どんな権利の変動があったかというような意味。甲区は所有者事項なので,権利は普通所有権。変動内容は,保存とか,移転とか,変更とかそういうのです。今回所有権移転書かれていますが,移転というのは,持ち主が変わることです。
受付年月日・受付番号というのは,その順位番号の登記が法務局でいつ何番で受け付けられたか
権利者その他の事項のところに,どういう法律上の原因で登記されたかということと,権利者の住所氏名などがかかれます。ちょっとややこしいかな,,今回のは,売買契約によって所有権が移転した登記が順位番号2番の登記。所有者は,法務五郎さんです。

乙区

見方は甲区とほぼ同じです。乙区は所有権以外の権利全部が書かれるので,いろんな登記の目的がありますよ。登記される登記事項(権利者その他の事項)も種々多様にあります。
今回のは,平成20年11月4日に,法務五郎さんが,南北銀行から,金銭消費貸借契約によってお金を借りたので,その借金のかたにこの物件を担保に差し入れた登記,すなわち抵当権設定登記がされてます。
最初に借りたのは4000万円,利息損害金も登記されています。さて,借金は現在いくら残っているかな??抵当権の場合,債権額のところに書いてあるのは最初に借りた金額です,,

建物登記簿

甲区や乙区の見方は土地と同じなので,表題部のみ見てみましょう。

所在については土地と同じ
家屋番号というのは,建物を特定する番号
種類というのは,用途のこと
構造というのは,建物の主な部分の構成材料と,屋根の種類そして何階建てかの組み合わせで表されます
床面積は文字通り
原因及びその日付については土地と同じで,今回の建物は平成20年11月1日に新築して12日に登記したんですね

ざっとこんな感じで不動産つまり土地や建物の登記簿謄本(登記事項証明書)を理解するようにしてください。書かれていることの法律的な意味や登記の優劣など,細かいことは専門知識がないと分からないので,ざっと眺めて,おかしなことがないのか見るといいですよ。決して早合点しないようにして,分からないことは司法書士に聞きましょう。

さて,不動産の権利関係を調べるために登記簿謄本(登記事項証明書)を見ればいいというところまでお話しました。次に②の不動産の評価を確認する方法にいきたいところですが,,,

ちょっと長くなってきたので続きまた明日にします。

↓これ

相続?贈与?離婚?不動産のことが気になったらまずすること(後編)

 

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