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日本では火葬しかできない(土葬禁止)って本当?

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投稿者:中尾 哲也
火葬

奈良県北葛城郡王寺町の司法書士中尾哲也

さて,宗教周りの法律知識シリーズの4回目行きます。今日は,勘違いしている人が多い埋葬や火葬や土葬について書きます。

項目 記事のタイトル
宗教と憲法 信教の自由と政教分離について
宗教法人 宗教法人の課税について(坊主丸儲け)
人の死と法律 死亡時間や出生時間はどのように決まるか
埋葬 日本では火葬しかできない(土葬禁止)って本当?
葬儀 葬儀・葬式はやらなくていい?
祭祀やお墓 仏壇やお墓は誰が後を継ぐのか?
遺骨 遺骨の権利は誰のもの?

今日の目次は以下のとおり。

  • 墓埋法のきほん
  • 日本では火葬しかできない(土葬禁止)って本当?
  • 埋葬許可証の勘違い

 

墓埋法のきほん

本題に入る前に,火葬や土葬について定めた法律の基本を確認しておきます。墓地,埋葬等に関する法律です(略して墓埋法)。

定義を押さえる

墓埋法2条
この法律で「埋葬」とは,死体(妊娠4か月以上の死胎を含む。以下同じ。)を土中に葬ることをいう。
2  この法律で「火葬」とは,死体を葬るために,これを焼くことをいう。
3  この法律で「改葬」とは,埋葬した死体を他の墳墓に移し,又は埋蔵し,若しくは収蔵した焼骨を,他の墳墓又は納骨堂に移すことをいう。
4  この法律で「墳墓」とは,死体を埋葬し,又は焼骨を埋蔵する施設をいう。
5  この法律で「墓地」とは,墳墓を設けるために,墓地として都道府県知事(市又は特別区にあつては,市長又は区長。以下同じ。)の許可を受けた区域をいう。
6  この法律で「納骨堂」とは,他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために,納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設をいう。
7  この法律で「火葬場」とは,火葬を行うために,火葬場として都道府県知事の許可をうけた施設をいう。

重要ポイント。

土葬の場合,遺体を埋めて終わり。その埋める行為を「埋葬」と呼びます。

火葬の場合,まず遺体を焼くステップがあります。その後,骨をどうするかどいうステップがあります。焼くステップを「火葬」と呼びます。骨をどうするかという次のステップのうち,墓に埋める場合を,「焼骨を埋蔵」といい,納骨堂に入れる場合を,「焼骨を収蔵」といいます。

「埋葬」というのは土葬のみを指す。「火葬」は遺体を焼くことのみをさす。骨の処理は,「埋蔵」と「収蔵」に分かれる。

すぐ埋葬や火葬できない

同3条
埋葬又は火葬は,他の法令に別段の定があるものを除く外,死亡又は死産後24時間を経過した後でなければ,これを行つてはならない。但し,妊娠7か月に満たない死産のときは,この限りでない。

場所が決まっている

4条
埋葬又は焼骨の埋蔵は,墓地以外の区域に,これを行つてはならない。
2  火葬は,火葬場以外の施設でこれを行つてはならない。

骨を埋めるのは墓地のみ。骨を焼くのは火葬場のみ。
※納骨堂への収蔵は埋めるわけじゃないのでOK

埋葬などをするには市町村の許可がいる

同5条
埋葬,火葬又は改葬を行おうとする者は,厚生労働省令で定めるところにより,市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。

同8条
市町村長が,第5条の規定により,埋葬,改葬又は火葬の許可を与えるときは,埋葬許可証,改葬許可証又は火葬許可証を交付しなければならない。

同16条2項
火葬場の管理者が火葬を行つたときは,火葬許可証に,省令の定める事項を記入し,火葬を求めた者に返さなければならない。

埋葬などをする前に市町村の許可を取る。火葬が終わったら火葬許可証が返ってくる。

墓地や火葬場などを経営するには都道府県知事の許可がいる

同10条1項
墓地,納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は,都道府県知事の許可を受けなければならない。

墓地経営には知事の許可!

墓地や,火葬場は,事前に許可証を確認すること

同14条
墓地の管理者は,第8条の規定による埋葬許可証,改葬許可証又は火葬許可証を受理した後でなければ,埋葬又は焼骨の埋蔵をさせてはならない。
2  納骨堂の管理者は,第8条の規定による火葬許可証又は改葬許可証を受理した後でなければ,焼骨を収蔵してはならない。
3  火葬場の管理者は,第8条の規定による火葬許可証又は改葬許可証を受理した後でなければ,火葬を行つてはならない。

墓に埋める前に許可をとること。
骨を焼く前に許可をとること。

 

日本では火葬しかできない(土葬禁止)って本当?

一応?嘘です。

今見たように,わが日本国の法律にきっちり埋葬(土葬)のことが書いてあるでしょ!墓埋法では,埋葬(土葬)も火葬して埋蔵も,まったく同じ扱いです。土葬ダメ!なんて書いてありません。

日本の場合,有史以降,仏教の影響で火葬が主流だった(庶民は河原などに棄てられたがw)。一部神道派は埋葬(土葬)していた。明治維新による王政復古で国家神道が敷かれ,いっとき火葬が禁止された。よって埋葬(土葬)が増えた。もっともすぐ禁止が解除されまた火葬主流に戻ったという流れかと思います。

とにかく法律上は,埋葬(土葬)が禁止されてない。ただし,ここからが重要です。

墓埋法10条に,墓地などを経営するには,都道府県知事の許可がいることになっています。これを受けて都道府県では,墓地などの許可基準等を条例で定めています。

で,とくに東京,大阪などの大都市では,この条例と,条例から委任された規則によって,土葬禁止地域を指定しています。なので,この地域では,死者を埋葬(土葬)によって弔うことができません。埋葬(土葬)の墓地を作ろうとしても,知事が許可しないからです。

東京都 墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例及び墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例施行規則

大阪府 墓地,埋葬等に関する法律施行条例

,,,

じゃあ田舎なら埋葬(土葬)できるんだな!

田舎

じ,じ,実はですね,,そういう訳でもなさそうなんです。

まず,墓地はだいたい市町村などの地方公共団体や,宗教法人,あと公益社団法人や財団法人が経営していることが多いんですが,それぞれに墓地経営のためにルールを定めています。自主ルールですね。この自主ルールで,埋葬(土葬)を受け入れない取り決めになっている。あと管理者権限でそう決めていたり。

  • 新しくできた都道府県や市町村経営の墓地霊園はほぼ火葬でしょう。
  • お寺や仏教系宗教法人が経営するところは無理ですね。そもそも火葬前提でしょう。
  • キリスト教系の団体が経営する墓地霊園なら,埋葬(土葬)できるところがあるように思います。具体例は控えますが。

え?じゃあ埋葬(土葬)してほしい俺はどうしたらいいだ?その方法を教えろよ!

はー。それなら,次のような方法があると思います。

  1. キリスト教系に改宗して墓地霊園を探す(君は改宗する勇気があるか?その墓地は買えるのかい??)
  2. じゃあ田舎なら!いまでも地元住民を埋葬(土葬)する墓地がある田舎の市町村に引っ越して(住民票を移して),余生を静かに過ごす
  3. 平成23年の墓埋法成立前から,個人所有の土地を墓地利用している人を見つけてその土地を購入し,自分の墓として使う

3なんですけどね

墓埋法附則26条
この法律施行の際現に従前の命令の規定により都道府県知事の許可をうけて墓地,納骨堂又は火葬場を経営している者は,この法律の規定により,それぞれ,その許可を受けたものとみなす。

となっています。前から墓地経営している人はそのままでいいと書いてます。ただ,あなたが土地購入する場合,やはり土地所有者が変わることになるので経営承継の許可が必要なのでは?取扱いは,地方公共団体の条例で決まっていると思いますが,おそらく前の許可の廃止と,新たな許可が必要になるように思います。それだとどうかなああ,新しい許可がとれますかねえ,,詳しいことは役所に確認してくださいませ。

厚生省(現厚生労働省) 墓地経営・管理の指針等について

※都道府県のことだけど,なるべく,いやぜったいwこのとおりやってねーー

※ちなみに墓埋法成立時に無許可だった墓地が法成立によって正規の墓地になる訳じゃありません。こういう墓地を買ってもそもそも違法なので解決になりませんよ。

さてと,まとめます。

日本の法律は埋葬(土葬)を禁止していない。法律はそれを認めている。この事実に間違いはありません。ただ,事実上なかなか難しいようです。

日本は火葬しかできない?と問われれば,それは一応嘘と答えよう。一応,というのはうえに書いたような意味です。

 

埋葬許可証の勘違い

もう一つおまけで言及しておきましょうか。

不幸ごとがあって,火葬場で焼き,その後お墓に骨を埋める。この一連の流れの中で,,

火葬場で焼くのに許可がいる。お墓に骨を埋めるのに許可がいる。両方に許可がいる訳ですが,皆さんこう勘違いしていませんか。

 

火葬場で火葬 ←火葬許可証

お墓に骨を埋める ←埋葬許可証

※火葬許可証にちょこちょこ書き込んで返ってきたものが埋葬許可証になる。

 

これ,間違いです。正しくはこうです。

 

火葬場で火葬 ←火葬許可証

お墓に骨を埋める ←火葬許可証

※火葬許可証にちょこちょこ書き込んで戻ってきたものは,変わらず火葬許可証のまま。

 

この間違い。お墓に骨を埋めるのを,「埋葬」だと思っているところから来る間違いです。お墓に骨を埋めるのは,「埋葬」ではなくて,「焼骨を埋蔵」です。最初にやりましたね。埋葬っていうのは土葬のことだけを指します。

で,お墓に「焼骨を埋蔵」するのに必要なのは「火葬許可証」です。火葬許可証を火葬時にも埋蔵時(埋葬時じゃないよ)にも使用する。そもそも「埋葬」しないんだから,「埋葬許可証」をとることなんてできません。ありえない。

火葬時に使用するのも「火葬許可証」。埋葬時に使用するのも「火葬許可証」。さっきみた墓埋法14条1項を再確認してください。

墓埋法14条1項
墓地の管理者は,第8条の規定による埋葬許可証,改葬許可証又は火葬許可証を受理した後でなければ,埋葬又は焼骨の埋蔵をさせてはならない。

ここにちゃんと,「火葬許可証」で,「焼骨の埋蔵」ができると書いてあります。

火葬場が火葬許可証を返してくれるのは,焼骨の埋蔵に,また「火葬許可証」がいるからなんですね。

あー,勉強になったでえええって

 

どっちでもええわw

 

おしまい。

遺産相続が専門で得意分野とのことですが、どんな相談や依頼ができますか?

奈良県北葛城郡王寺町の司法書中尾哲也の写真楕円形

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