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遺産相続で司法書士や弁護士から書類が送られてきたらどうするか

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投稿者:中尾 哲也
司法書士から相続文書

奈良県北葛城郡王寺町の司法書士中尾哲也

司法書士の中尾です。今日は実践的であり実戦的な内容です。日本は高齢社会のトップリーダー(トップブリーダーじゃないよ)爆走中なので,相続に関する法律問題は否応に(否が応でも・否でも応でも,の短縮形。かっこいいでしょ)増えてきます。

そうするとそれに対応するのも否応(もっと短縮してみた)。ということで,ある日突然,平素それほど交流の無かった兄弟などから遺産相続の書類が送られたきた場合にどう対応するかを説明します。

いままさに書類を受け取って渦中にある人のほか,来るべき将来に備えておきたい方,それから逆に書類を発送しようと考えている方にも読んでいただきたい内容です。相手の気持ちが分かるといろいろやり方に工夫ができるからです。

では時系列で行きます。

 

差出人は大丈夫かチェック!

差出人が司法書士の場合

差出人が代理人や書類作成者を名乗る司法書士である場合,まずその司法書士が本当に司法書士なのかチェックしてください。

便利ですね,文明の利器,インターネッツが利用できます。司法書士がちゃんと登録している司法書士かどうかは,各地の司法書士会のWEBサイトのほか,中央団体である日本司法書士会連合会のサイトでも調べられます。

日本司法書士会連合会のWEBサイト 司法書士検索

差出人が司法書士のときは,まあ一応信用していいと思いますが,100%安心とはいえない。いや,まず司法書士って書いてあっても,そんな人がいるのかどうかわからない。だからまず正式な団体に紹介をするのです。

次に,送られてきた文書に書いてある電話番号と,WEBサイトに出てくる電話番号を照合しましょう。合っている場合も違っている場合もあるかと思います。違っている場合は,代表番号云々の問題もあるので,WEBサイトに書いてある電話番号に電話してみましょう。

「亡くなった○○の件で,司法書士○○さんから郵便が送られてきたんですが,間違いないですか?」

間違いないということであれば一安心。

「内容を検討して改めてご連絡させていただきます」

といって,とりあえず電話を置きましょう。

差出人が弁護士の場合

差出人が弁護士のときもあります。弁護士から郵便がくる場合,もしかしたら先方有利な主張が書いてあって,将来紛争になる可能性の高い案件かもしれませんね。

しかしまず弁護士が弁護士であるかを確認する。この必要は,司法書士の場合と同じです。

弁護士の中央団体である日本弁護士連合会,通称日弁連のWEBサイトで実在性をチェックし,とりあえず電話連絡してみてください。

日本弁護連合会のWEBサイト 弁護士情報・法人情報検索

差出人が相続人の場合

差出人が疎遠になっている兄弟など,明らかに知っている人の場合は,次のステップに進んでいいでしょう。差出人の身元チェックはクリアです。

対して,差出人が一見して誰か分からない場合は注意が必要です。この場合も次のステップに進み,そこで身元確認も同時に行いましょう。

差出人がよく分からない人(おせっかいおじさんやダークな人)の場合

怪しい人

差出人が,相続人から依頼を受けたというよくわからない人である場合は注意です。依頼を受けたとか,代理人だとか書いてあるけど,どういう職業の人で,どういう立場なのかよく分からない場合です。

相続人と連絡が取れる場合は,依頼主の相続人に電話して,「あの人は何者?」と聞きましょう。相続人と疎遠なときは,しばらくほうっておきましょう。何もしないで。必要なら再度連絡があるはずです。

相続人に連絡した結果,何やら身分がよくわからない人ならば,少なくともその人を相手にするのは危険です。「今後の連絡は,相続人と直接したい,その人とは話をしない」と伝えましょう。

 

相続関係は間違いないかチェック!

今回来た文書の内容をチェックしましょう。送られてきた書類が,遺産相続を進めるための必要書類(押印書類)である場合,次のような遺産分割協議(案)が同封されているはずです。これに実印を押して,印鑑証明を添えて送ってね,と書いてありませんか?

簡略化しますと,,


遺産分割協議書(案)

最後の本籍 ○○
最後の住所 ○○
被相続人 ○○(平成27年8月10日死亡)

上記の相続について,共同相続人は,次のとおり遺産分割の協議をした。よってこれを証するために本書を作成し,各1通を保有する。

1.○○は,以下財産を相続する。
不動産
土地
建物

2.○○は,以下財産を相続する。
預貯金
○○銀行 ○○支店 普通預金 口座番号○○○○

3.○○は,以下財産を相続する。
有価証券
○○電力の株式 ○○株
○○通信の社債 ○○円

4.その他遺産があったときは,○○が相続する。


さてこの文書から,今回の遺産相続に関し,あなたが確かに相続人の立場になっているのかチェックしましょう。相続人になっていなければ,送られてきた文書は間違いですし,この文書についてあれこれ考えても無駄です。相手に連絡して,「私相続人じゃないんですけど,,」と伝えてあげましょう(そういうケースは稀だと思いますが)。

細かい話は後ほどするとして,まずあなたがこの問題のプレーヤー(当事者)になるのかどうか確認すべきなのです。

いったい何をチェックするか

それは,文書に書いてある,被相続人と,あなたの「続柄」です。被相続人とは今回亡くなった人ですね。この人の相続問題をいま考えています。この人の相続人が誰になるかは,この人が亡くなったときに,周りに誰が残されているか,その親族関係によって決まります。

相続人が誰になるのかの順位は大まかにいうとこうです。前の順位の人がいれば,後の順位の人は相続人になりません。

  • 第1順位 子供(実子でも養子でも非嫡出子でも,子供でありさえすれば)
  • 第2順位 子供がいないときは,直系尊属(父母,祖父母,近いところから生きてる限り)
  • 第3順位 子供も,直系尊属もいなければ,兄弟姉妹(片親同じでもいいよ)
    ※配偶者は常に相続人。まあ,配偶者なのに相続人かどうか分からない人はいないでしょうw

詳しいことはこちらをご覧ください。

被相続人と,あなたが,うえの関係にあれば相続人です。そうじゃなければ相続人ではありません。これをチェックします。

では,どんな資料を見てチェックするか

それは,市町村役場で発行される戸籍謄本を取って調べます。戸籍は,その人の本籍地の市町村役場が管理しているので,そこへ行くか,郵送で書類を送って調べるしかありません。

まず必要なことはあなた自身の戸籍謄本を取ること。あなたの戸籍は,これからほかの戸籍を集める際の身分証明書になるのでかならず取ってください。それから,被相続人の本籍を見て,被相続人の除籍(亡くなった戸籍)から集めていきます。

戸籍謄本って,手続にぜったい必要ならば,自分のじゃなくても取れます。自分のじゃない戸籍を取れるケースについて以下にまとめておいたので参考にしてください。

戸籍や住民票を他人が取れるケースについてレクチャーするよ!

具体的に何をどう集めるのかはケースバイケースで全部ここに書くのは無理です。いや,お伝えしたいところなんですが,見てみないと分からないので無理なんです。難しければ,請求する役場に聞きながらやってみてください。相続に関する業務を依頼すれば,司法書士や弁護士が集めることもできます。

 

遺産が全部書いてあるかチェック

送られてきた書類には,「遺産目録」とか,「財産目録」とかいう書類がついていましたか?そういうのはないとしても,「遺産はこれだけである」とかなんとか書いてありましたか?

書いてあれば一応信用しておきましょう。

もし書いてなかったら?書いてないばかりか,うえの見本4.のように,「その他遺産があったときは,○○が相続する」なんて書いてある場合はどうか。これは要注意です。ほかに遺産があるのは分かっていて,このように書いてあると疑うこともできます。他に大きな遺産があって,それを差出人が相続したい。正直にいうと話がまとまらないので,グレーにしてある。場合によっては,この文言を使って,価値のある財産を差出人に取られてしまうことが無いとは言えません。

この文言に納得いかなければ,このように書き直してもらいましょう。

「その他遺産があることが判明したときは,共同相続人で改めて協議する」

 

どのように対処するか考える

はっきり言いましょう!遺産相続の問題はバリエーションが多すぎる。遺産の総額,種類内容,相続人の身分関係,人間関係,生い立ち,,みなそれぞれ個性的で,違い過ぎる!2億の相続と,150万の相続が同じわけない。円満家族の相続と,幼少に別れて憎しみあっている家族のそれがが同じわけない。同じだったらおかしいんです。

だから,一概にどうこうせーというのは無理があるんだ。

しかし,勝手に自分で考えて!では芸がない。少なくとも,どう対処していったらいいのかが今日のテーマである以上,とっかかりは説明しておく必要がある。

というわけで,相続をおよそ三つのケースに分類してみました。細かいところはいろいろあれど,文書が送られてきた場合のリアクションは,およそこの三つくらいに大別できると考えています。

遺産分割がそれでいい場合

遺産相続に納得

まあええやんか,という場合ですね。まあええんちゃうかなあ,,,っていう。

相続分のとおりやってくれてるから,というときもある。そうじゃなく,相手が全部相続するってなってても,ずっと一緒に暮らして面倒見てくれたんだから文句ないとうケースもある。どっちにしても「まあええんちゃうかなあ」というとき。

こういうときであって,なおかつ相手(差出人)の身元も分かってる・へんなことをする奴ではない,という確信が持てるときは,その人の言うとおりにしてあげてください。

つまり,以下のように。

  • 遺産分割協議書のほか,関係書類に実印を押す。
  • 指示された枚数の印鑑証明書を役場で取る。
  • 書類と印鑑証明書を一緒にして,返送してあげる。

ただし,文章はよく読んでくださいね。分からないのに実印を押すことがないように。電話連絡などしないんであれば,返送するときに,一筆添えてあげるといいかもしれませんね(相手も,失礼かなあなんて思いながら発送しているものです)。

「ちゃんとしてくれれば」それでいい場合

遺産相続にちゃんとして

相手の身分も明らかだし,言っていることに不満もないけど,遺産の内容がはっきり書いていないので,このまま判子を押すわけにはいかないなあ,,というときがあります。

ちゃんとしてくれれば,協力するつもりだけどな,,というとき。ただ,「ちゃんと」といっても,いろんな意味がありますよね。

  • 法定相続分のとおりに分けて欲しい
  • 遺産の内容をある程度正確に知りたい

法定相続分のとおりに分けて欲しいとき

それならまずあなた自身が自分の法定相続分をはっきり知らないといけません。こちらに相続分の計算方法を書いておきましたので参考にしてください。

相続分が判断できたら,相手に意思を伝えます。電話でも,書面でも,どちらでも結構です。このように連絡してください。

「書類を拝見しましたが,私は法定相続分のとおり相続したいと思っています。ご検討いただき,改めて連絡いただけると幸いです」

※あ,コンピュータ音源みたいにこのまま棒で言わないでくださいねwあなたと差出人との関係性によって,言い方はアレンジお願いします。

遺産の内容をある程度正確に知りたい

何はともあれ遺産の内容をはっきり知り合い。そのうえで,どうするか決めたいんだ。情報開示だよ情報開示。話はそれからだよ。という人は,相手にこう連絡してください。電話でも手紙でもメールでもよいです。

「書類を見たんですけど,遺産の内容が書いてなくて,このままでは協力できかねます。遺産目録か何かを作っていただいて,再度連絡いただけませんでしょうか」

※棒読みダメですよwせめて初音ミク程度でお願いします。

なお,相手に連絡したのになかなか遺産を開示してこない場合,こっちから積極的に調べることもできます。あなたも相続人のうちの1人ならば,その権利があるからです。送ってきた文書に手がかりがあれば,そこから調べます。役場に固定資産の明細を請求したり,銀行から残高証明をもらったりします。こういう手続をするのにも,うえで説明した,相続関係を説明する戸籍が必要ですので注意してください。

遺産分割の内容に不満がある場合

遺産相続に納得いかない

もとから戦闘状態にある場合のほか,送られてきた文書があまりに自分勝手で,到底折り合える余地がないケースもあります。相当あります。いやかなりあります。いやあるような気がします(どないやねんw)。

こういうときは,もはや書類の内容云々じゃないですね。今回の遺産相続に関する遺産分割(遺産分け)を,どう決着していったらいいのかという次元の問題として捉えなおす必要があります。こういうのを,遺産分割の方法の問題といいます。

いま,相手が書類を送ってきて,あなたが書類を送り返せば遺産分割は終わります。こういう遺産の分け方(遺産分割といいますが)を,協議分割といいます。相続人の話合い(協議)で遺産分割が終わったから協議分割と呼びます。

これができないときは,次のステップに行きます。いや,行かないと決着がつかないです。こっちが書類を送らない,相手も妥協しない。このまま何もしないと,ずーーーっと平行線です。あっちも困るがこっちも困る。どっちも遺産相続の手続ができないんですから。

こういうときは,次に家庭裁判所で調停(調停分割)をします。家庭裁判所でする話合いです。調停委員という仲介が入ってくれるので,相続人だけで話をするよりずいぶんいいでしょう。だって,第三者ですから。言い方変えれば,今回の相続に何の思い入れもない中立の人なんで,客観的な意見が言えますよ。よく話を聞いてみると,「まあそらそうか」と決着するケースもよくあります。

遺産分割の調停は,あなたか,郵便を送ってきた相手方か,そのほかの相続人か,とにかく誰かが裁判所に「調停お願い」の文書を出さないと始まりません。遺産が欲しい場合,頃合を見て(相手が裁判所に申立てをしないようなら),自分で積極的に動いたほうがいいでしょう。

なお,法律上,調停に応じる義務はない。全員がんこ親父か,がんこおばさん(そんな言葉あるのか)の場合,調停がまとまらないケースもあります(不調といいます)。

そういうときは,勝手に,手続が遺産分割の審判(審判分割)に移行します。審判という文字から何となくわかりますよね?裁判所の裁判官が決めてくれる手続です。「おりゃー,こんでええんじゃーー」という感じです(もっと上品だけど)。大丈夫です。裁判官が決める場合は,一応法律のとおりにしてくれます。いろんな要素を考慮しますが,めちゃくちゃな取り分になるようなことはありません。取り分は結果的に平等になります。

遺産分割の方法(話合いとか,調停とか,審判とか)については,以下にまとめておきました。必要なときはご覧ください。

遺産分割(遺産分け)の方法を全部お教えします
遺産分け(遺産分割)マニュアル!「いつ」「どこで」「誰が」「どうやって」

◎なお,最後のフィアティングポーズのケースについては,自分で判断してあれこれするのを正直おすすめしません。専門家に相談するのが吉(相談しても大吉になる保証はないがw)です。宣伝度外視でね。

奈良県北葛城郡王寺町の司法書中尾哲也の写真楕円形

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