相続に関するAtoZ 遺産をもらう側

いくら?いつ?遺産相続した財産の評価方法を全部説明します

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遺産相続について相続人で話し合ったり,相続税がかかるのかどうか考えたりする場合に,遺産の値段をどうやって計算したらいいのか困っていませんか?

遺産相続が起きたら,いろんな場面で,遺産の値段を計算しないといけなくなります。しかしその計算方法が分からないと,ちゃんと値段を算出することができません。

ですので,ここでは,遺産相続で遺産の値段を計算する方法を説明します。これを読んでいただければ,遺産の値段の出し方についてだいたいのことが分かります。

※遺産の値段を出すことを,「遺産評価」と呼びます。

 

遺産評価をしないといけないケース

遺産の評価をしないといけないケースは次の三つの場合です。これをまず覚えておいてください。

  • 特別受益寄与分があって相続分を修正するため
  • 相続分に合わせてじっさいに遺産分割協議をするため
  • 相続税を計算するため

 

いつの時点で評価するのか(遺産評価の基準時点)

ここでは,さっきの分類にしたがって,それぞれの場合に,いつの時点を基準として遺産の評価をするのかを説明します。

特別受益や寄与分があって相続分を修正するための評価はいつの時点?

例えば昔に相続人のうちの誰かが住宅の生前贈与を受けていた場合,これは相続の前渡しになるので,相続の時に差し引き計算してその人の具体的な相続分を計算します。つまり,法律で決まっている法定相続分を修正することになります。

ただ,不動産の生前贈与を受けたのが30年前だった場合,贈与した財産の価値をどうやって計算して差し引きしたらいいのかが問題になります。

結論からお話すると,このような場合,不動産の価値を「相続開始時」の価値に評価しなおして,差引き計算をします。相続開始時というのは,被相続人が亡くなった日のことです。仮に生前贈与を受けた時の不動産の値段が1000万円で,亡くなった日の不動産の値段が3000万円だった場合,3000万円の生前贈与があったものとして,相続分を修正し,具体的な相続分を計算していきます。

繰り返します。特別受益や寄与分があって相続分を修正するときは,「相続開始時」で評価してします。

相続分に合わせてじっさいに遺産分割協議をするための評価はいつの時点?

例えば,お父さんが亡くなって不動産や株式の遺産があったけど,なかなか相続人で話合いをする機会がなくて,遺産分けをするのが2年後になったとします。半年ほど前に不動産の近くに大型のショッピングセンターが開店して不動産の値段がかなり上がっているとします。また株式のほうは,会社の不祥事が発覚して,半額以下になっていたとします。
亡くなった際になんとなく話をしたときは,不動産の値段も株式の値段もだいたい同じだったので,不動産はそこに住んでいる長男が,株式は次男が相続するようなムードだったのですが,今となっては不動産と株式の値段は三倍以上違います。

こういうケースで,さて今から正式な遺産分割協議をする場合,どうやって相続財産の価値を決めていくかという問題があります。

このような場合は,実は,じっさい「遺産分割協議をする時点」で評価します。やはりそれが公平になるはずです。

繰り返します。じっさいに遺産分割協議をするために評価をするときは,「遺産分割協議をする時点」で遺産を評価します。

相続税を計算するための評価はいつの時点?

相続税は,ある程度の遺産がある人に対して課税されます。遺産という財産を課税価格として,これに税率を掛けて具体的な納税額を計算します。だから,いったいいくらの遺産があるのかというを正確に数字にしなければいけません。そうしないと,納税額が正しいのかどうかも判断できないからです。

相続税を計算するための遺産の評価は,基本的には,「相続開始時」でします。被相続人が亡くなった日です。相続税は,時価主義という考え方をとっています。

相続税の計算は,基本的に「相続開始時」ですると覚えておいてください。

 

どうやって評価するのか

ではいよいよ,具体的に,どうやって評価をするのかというところに入ります。

さてこんなことを言うと元も子もないのですが,遺産分けをするときに,相続人がいろんな財産をどう評価してもそれは自由です。遺産分けというのは,そもそも,相続人のみんながそれでいいよと言う限り,ぴったり法定相続分のとおりにする必要がないものです。だから,遺産の評価が違っていようが,相続人がそれでいいよとなれば,それでいいのです。

ただし相続税の計算はそうはいきません。相続税の計算をする場合に遺産をどうやって評価するかは,国(国税庁)のお達しで細かく決まっています。これを,「財産評価基本通達」といいます。

よって相続税の計算は財産評価基本通達で遺産を評価してしますが,相続人で遺産分割協議をする場合も,このお達しを参考にして考えておけば,大きな勘違いをすることはないと思います。

そこで,この財産評価基本通達を参考に,遺産の評価をどうやったらいいかを整理しておきます。財産といっても種類は無限にあってきりがありませんので,代表的な財産について取り上げておきます。いろんな財産について知りたい人や,税務上の細かい計算方法について知りたい人は,財産評価基本通達を直接読んでみてください(読んでも難しいですが,,)。

不動産

まっさらな宅地

路線価のある土地は路線価で,路線価のない土地は固定資産税評価額に国が決めた倍数を掛けた額で(これからこういう場合も全部「路線価」といいます)

宅地として貸している土地(貸宅地)

路線価-(路線価×借地権割合)
※借地権割合とは,国が,その土地の借地権の価値を,路線価に対する割合で表したものです

貸家の敷地になっている土地(貸家建付地)

路線価-(路線価×借地権割合×借家権割合×賃貸割合(一部賃貸の場合))
※借家権割合は,国が,30/100と決めています。

まっさらな家屋

固定資産税評価額

貸家

固定資産税評価額×借家権割合

農地

純農地中間農地市街地周辺農地市街地農地の四つに分けて評価します。具体的な計算方法は財産評価基本通達に書いてあります。宅地とは違うことを覚えておいてください。

借地権

普通の借地権は,路線価×借地権割合 で計算します。
定期借地権は,借地権の残り期間などによって計算方法が変わります。ちょっと複雑なので省略します。知りたい方は,財産評価基本通達を読んでみてください。

生命保険

亡くなった人が被保険者で,受取人が相続人の場合

受け取った保険金額(みなし相続財産)

亡くなった人が被保険者で,同時に受取人の場合 受け取った保険金額

亡くなった人が単なる契約者の場合 解約返戻金の見込額
※一番上の場合,相続税の計算上(税法上)は相続財産に含みますが,遺産分けの計算上(民法上)は相続財産になりません。受取人が契約で直接受け取った財産と考えます。なので,遺産分けのための財産の評価には,必ずしも入れないでもかまいません。

株式

上場株式

市場で取引されている値段で決めます。ただし,値段は毎日変わるので,相続税の計算では,次のうちの一番低い値段で決めます。
①評価する日の終値
②評価する月の終値の平均
③評価する月の前の月の終値の平均
④評価する月の前の前の月の終値の平均

気配相場のある株式(登録・店頭管理株や,公開準備中の株)

日本証券業協会の登録銘柄や店頭管理銘柄は,上場株式と同じやり方で。公開準備中の株式は,公開価格で決めます。

取引相場のない株式

遺産分けの話合いをする場合はだいたい次のように決めていけばいいです。ただし,相続税の計算をするときは,細かく厳密に会社を分類して,いろんな方式を組み合わせて評価します。
①ある程度大きくて儲かっている会社(お金があって,毎年儲かっていて,毎年株主に配当している会社)は,業種が似ている上場会社の株価を参考にして
②小さい会社は,決算書の純資産額を参考にして

公社債

公社債については,券面額とか,券面額に評価する日までの利息を足してそこから源泉所得税額を引いた額などで決めればいいと思います。

ゴルフ会員権

ゴルフ会員権のうち,市場での取引価格のある株式方式のものは,取引価格の70%くらいで評価してください。預託金がある場合はその金額も足してください。取引価格がないときは,株式の評価と同じく,決算書の純資産額で決めてください。なお,次の項目に全部あてはまるようなものは,評価0でいいです。
①株式会社方式じゃない
②会員の権利が譲渡できない
③返還されるような預託金がない

書画や骨董品

市場価格があれば市場価格で,市場価格がないときは専門家の鑑定価格で決めます。
※書画骨董品とは?

預貯金

残高でいいですが,利息の額が大きいときは,すでに発生している利息から源泉所得税額を引いた額も足してください。

自動車

市場価格で評価すればいいです。

債権(人に対する請求権)

元本の額とすでに発生している利息の額の合計額で評価してください。ただ,相手が破産していたり,それに近い状態のときは,評価0でいいでしょう。
※債権とは?

現金

金額そのまんまで大丈夫です。

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