相続大全集

遺産相続の話合い(遺産分割)でもめたら次にするべきこと!

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「親父の相続について兄弟で話合いをしたけど,どうやら話がまとまりそうにないな」とか,「長男が遺産を全部握ってしまって,何にも言ってこないけど,このままじゃ相続の話が進まないじゃないか」とかいう感じで,あなたは遺産分けの遺産分割協議ができないで困っていませんか。

遺産はこんな感じだと分かっている,相続人も決まった,相続分も計算できた,そしたら次は具体的な遺産の割り振りを決める遺産分割をしないといけません。あなたもそう考えているはずです。しかしスムーズに話が進まない,と。

このようなことは,世の中にたくさんあります。たくさんあるので,このような場合に,次にどうしたらいいかということも,法律で決まっています。ここでは,そのことについて説明します。

さて,実は遺産分割のやり方(法律では,「遺産分割の方法」と呼んでいます)には順番があります。この順番を説明すると,ほぼさっきの問題の答えになります。つまり,遺産分割の話合いができない場合に,次に何をしたらいいのかの答えが出てきます。

ですから,まず,遺産分割の方法の順番について簡単に説明します。その次に,話合いができない場合に何をすべきかについてもう少し具体的なことを説明します。

 

遺産分割の方法の順番

早速ですが,遺産分割の方法の順番は次のとおりです。上に書いている方法ができないとか,ないときに,次の順番の方法でやります。

  • 指定分割
    そもそも亡くなった人が遺言書で詳しく決めているときです。そのとおりすればいいので楽です。こんな感じの遺言書があった場合のことです。
    「不動産は長男に,預貯金は次男に相続させる」
  • 協議分割
    いままさにあなたが困っている相続人の話合いです。話合いで遺産分けを決めるやり方です。
  • 調停分割
    家庭裁判所でする話合いです。調停委員に仲介してもらってやります。
  • 審判分割
    家庭裁判所の裁判官に裁判で決めてもらう遺産分割の方法です。最後はこうなります。

どうでしょう。以上のとおり判断すれば次にすることが分かります。今回遺言書はなかったのて指定分割はできない。そして相続人で話合いがつきそうにない,つまり協議分割もできない。だから,次にあなたがしなければいけないのは,遺産分割の調停です。調停分割の方法によって遺産分割ができるように手続をすることです。

 

遺産分割調停

相続人の話合いがまとまらないときは,家庭裁判所に話合いの場所を移してもう一度話合いにチャレンジします。この遺産の分割に関する家庭裁判所の調停のことを,遺産分割調停といいます。そして,こういう方法で遺産分割の手続をすることを,調停分割といいます。

「話合いができないから困っているのにまた話合いをするのか」と疑問に思いましたか?そうです。また話合いをするんです。ただし,今度は少しやり方が違います。

 

遺産分割調停とは何か?ただの話合いとどう違うか?

まず場所が家庭裁判所の調停室です。裁判書の中で話し合いをすれば,普通の人はそんなに無茶な言い分を出せません。ある程度冷静になって話合いができます。また相続人だけで話合いをするんじゃありません。調停委員という仲介人が入ります。法律知識や世の中の常識,その他のいろんな観点から,アドバイスをしてくれます。そしてアドバイスは完全に中立な立場でしてもらえるので,みんな聞く耳を持つはずです。相続の当事者ではない人のアドバイスは大事です。あと,話合いは,かわりばんこに調停室に呼ばれて,調停委員に言い分を伝えます。直接話合いをするわけじゃないので,冷静に話しができると思います。つまり,話合いといっても今までとはかなり違います。だから,調停で話がまとまることもよくあるんです。なお,話がまとまったら,裁判所が,調停証書という書類を作ってくれます。これで相続の手続ができます。

さて,遺産分割協議ができないときは,次に遺産分割調停にチャレンジすると分かりました。

そこで,じっさいに調停の手続を始めるために何をしたらいいか,もう少し詳しく説明します。あなたが次にしないといけないのは,調停の手続を始めることです。この点に絞って,5W1Hで整理してみましょう。

なぜ

遺産分割の方法の順番はだいたい決まっているからです。相続人で話合いができないときは,遺産分割調停を始めるべきだからです。

いつ

相続人で話合いがつかないとあきらめた時です。いつまでやってもこのままじゃ無理だなと考えた時です。

どこで

相続人のうちの誰かの住所地の家庭裁判所です。

誰が

相続人のうち誰が裁判所に手続を始める申立ての書類を出してもかまいません。あなたが早く決着をつけたかったら,あなたが書類を出すべきです。勝手には始まりません。

何を

遺産分割調停を始めてくださいと裁判所にお願いするのです。

どのように

手続を始めてもらう申立書に手数料の収入印紙を貼って,その他の添付書類と一緒に裁判所に出します。

申立書に少なくても書かないといけないことはだいたい決まっています。申立書の写しも必要です。相手方の相続人の人数分です。これが相手に送られるからです。相手に贈るための郵便切手も,あなたが最初に立て替えて多めに裁判所に渡しておきます。

その他の添付書類とは,相続関係を全部証明できる戸籍とか除籍とか原戸籍とか一式のことです。ほかに相続人がいないことを完全に証明できるところまで必要です。あと,遺産に不動産があったら登記簿謄本(登記事項証明書)と固定資産評価証明書がいります。預貯金なら通帳の写しか残高証明書,有価証券ならその写しとか明細書がいります。とにかく遺産の内容が分かる書類がいるということです。

書類の書き方などが分からなければ,司法書士に相談してください。15万円とか,20万円とかで書類を代わりに書いてもらえます。

そしたらどうなるか(おまけ)

書類が受け付けられたら,裁判所が申立書の写しなどを付けて,相続人の全員に呼出状を送ります。裁判所が,話合いの日,つまり調停期日を指定してみんなを呼び出すのです

期日が来たら,家庭裁判所に行きます。調停は調停室でしますが,普通は相続人は控え室にいて,かわりばんこに相続人が調停室に呼ばれて話をします。

手続は裁判官が管理しますが,じっさいの調停期日は主に調停委員と話をします。調停委員にあなたの言い分を伝えて,調停委員がそれをほかの相続人に伝えます。ほかの相続人がまた調停委員に自分の言い分を伝えると,調停委員はそれをあなたに伝えます。

調停委員は,法律的なことだけじゃなく,社会的な常識や,その他のいろんな知識経験を相続人に話して,なんとか話合いがうまくまとまるように努力します。もちろん調停委員は裁判所の人ですので,完全に中立です。相続人のうちの誰かの味方をすることはありませんので安心してください。

なんとか話合いがまとまったら,裁判所で調停調書という書類を作ります。まとまった内容を書いた書類で,裁判所で正式に作成するので,調停証書には法的な効力があります。だから,この書類を使えば,遺産相続の手続を進めることができます。

なお,話合いがまとまらなければ,次の手続に移ります。それが遺産分割審判の手続です。まとまらないからといって,そのままほうっておくことはできないからです。

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