相続に関するAtoZ 遺産をもらう側

相続の寄与分の具体的な計算方法についてお教えします

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遺産相続の法定相続人の取り分,つまり法定相続分が変更になる理由には,以下の四つがあります。指定相続分とは,亡くなった人が遺言で相続人の相続分を決めてしまったケースです。「長男は2/3,長女は1/3」というようにです。最後の相続分の譲渡とは,相続分という一つの財産的な権利を,相続人が,契約で他の相続人や第三者に譲ったケースです。こういうこともできます。これをすると当然法定相続分が変更になります。

あとの二つはよく似ています。相続人自身が,亡くなった人から生前贈与を受けていた場合,相続の時に差し引き計算をするのが特別受益です。特別の利益を受けていた人の相続分を差し引き計算するという意味です。逆に,相続人自身が,亡くなった人の財産の維持とか増加に特別に貢献している場合に,その相続人の相続分を他の人より増やして公平になるようにするのが寄与分です。相続財産の維持増加に寄与した人の相続分を増やしてあげるという意味です。

さてここでは,以上のうち,「寄与分」があった場合に,じっさいどうやって相続分の計算をするのかを説明します。

 

寄与分の法律はどうなっているか

寄与分のことについて,法律には次のように書いてあります。

民法904条の2 1項
共同相続人中に,被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付,被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは,被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし,第900条から第902条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。

 

分かりやすく言い換えると

法律の条文を読んでもちょっと難しいですね。そこで,法律に書いてあることをもう少し分かりやすく言い換えてみます。寄与分があるときの相続分の計算は次のようにします。

  • 遺産の額から,寄与分の額を引いて,仮の遺産額を出します。
  • 仮の遺産額に法定相続分をかけて,仮の相続分を出します。
  • 寄与者の仮の相続分に,寄与分の額を足して,じっさいの相続分を出します

 

寄与分の額はどうやって決めるか

計算方法は分かったけど,どうやってその寄与分の金額を計算するのか分からないという声が聞こえてきました。もっともです。まず,寄与分の額は,法律に書いてあるとおり,「共同相続人の協議」で決めます。相続人みんなで話し合って,このくらいかなあ,というふうに話がまとまればそれでいいわけです。

しかし話をしようにも何の基準もなかったら話にならないかもしれません。特に,共同相続人があまり仲がよくない場合などは,やっぱりある程度みんなが納得できる基準で計算しないと,まとまるものもまとまらなくなります。そこで,寄与分の金額を決めるときの基準を次に説明します。

 

寄与分を決めるときの基準はこんな感じ

寄与分とは,被相続人の財産の維持とか増加に特別の寄与をした場合のことですが,これにはいろんなパターンがあります。だから,パターンごとに,計算方法の基準を説明します。あくまで基準なので,これが絶対というわけではありません。それぞれの事情によって,割増ししたり,減額したりします。じっさいに話合いをするときは,相続人みんなの意見を聞いて,できるだけみんなが納得できる基準で話を進めてください。

  • 給料などをもらわずに,長期間,自分の仕事のように,家業を助けた場合
    ⇒亡くなった年にその相続人がもらえるはずだった年収-生活費×寄与年数
  • じっさいに現金を贈与したり,不動産を贈与したり,代わりに借金を返したりした場合
    ⇒じっさいに与えた経済的な利益を,なくなった年の貨幣価値に換算した金額
  • 療養看護して,付き添い看護の費用などを免れさせた場合
    ⇒付添婦の日当の金額×看護の日数
    ⇒じっさいに立替払いした金額
    この二つの合計額
  • 扶養義務の程度を超えて扶養し,生活費などの費用を免れさせた場合
    ⇒じっさいに支払った扶養金額×(1-寄与した人の法定相続分の割合)
  • 財産を代わりに管理して,いろんな費用の支払いを免れさせた場合
    ⇒専門の業者に依頼したら支払わないといけなかった金額
    ⇒じっさいに立替払いした金額
    この二つの合計額

 

寄与分の額でもめたときは

ある程度みんなが納得できるような基準で計算した寄与分の額をもとに相続人で話合いをしてももめてしまうことはあります。そんなときどうするかについて,法律には次のように書いてあります。

「前項の協議が調わないとき,又は協議をすることができないときは,家庭裁判所は,同項に規定する寄与をした者の請求により,寄与の時期,方法及び程度,相続財産の額その他一切の事情を考慮して,寄与分を定める」

つまり裁判所に決めてもらうしかないということです。裁判所に決めてもらうための手続は,ほうっておいたら始まりません。「寄与をした者の請求」が必要です。つまり,寄与分を認めてもらいたいあなたが,自分で,家庭裁判所に書類を出して手続を申立てます。手続が分からなければ司法書士に相談してください。

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