相続大全集

なぜ親に家・住宅を建ててもらうと相続分が減るのかご説明します

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相続の取り分,つまり相続分の話合いや,具体的な遺産分けの途中で,「だれだれは家を建ててもらってるからもらい過ぎよ」とか,「だれだれは土地をもらったから相続はしなくていいだろう」とかいうことを聞いたことがありませんか。よく出てくる話ではないでしょうか。

では,どうしてこういう話がよく出てくるんでしょうか。法律の話を横においておくと,これはやっぱり,何か「不平等」な感じがする,「公平」にしてほしい,ということじゃないでしょうか。

結論から言うと,法律の世界でもやはり,こういうことは不平等なもの考えられています。もう少し掘り下げて,詳しく説明します。

 

生前贈与を受けると相続分が減る理由

そもそも,相続とは,いったい何のためにある制度なのでしょうか。いろんな考え方がありますが,だいたい次のように考えることができます。

  • 遺族の生活を金銭的に助けるため,遺族の生活保障
  • 国が一度財産を預かって,また国民に分配するのは面倒だから

このうち,特に大事なのは,「遺族の生活を金銭的に助けるため」という理由です。遺産というのは,亡くなった人が築いたものですが,共同生活をしていた配偶者や子供,また両親などの様々な援助によっていっしょに築いたという面があります。だから,人が亡くなったときは,身内の人に財産を移して,その生活の糧にしてもらおうというわけです。
ところで,大きな生前贈与をすると,亡くなってから相続人に公平に引き継がれるはずの財産が減ってしまいます。相続人に公平に引き継がれて,みんなの生活を支えるはずだった遺産が減ってしまうわけです。これは,贈与を受けた人に対する遺産の前渡しと考えることができます。

生前贈与が遺産の前渡しに当たるのならば,後から,つまり相続の時にそれを差し引きして,公平に遺産を分けるのが当たり前です。そこで,法律は,こういうときに遺産の差し引き計算ができるように,相続分の修正に関する条文を用意しているのです。後から差し引きしないといけないような大事な贈与を「特別受益」と呼んでいます。贈与を受けた人を「特別受益者」と呼びます。そして,その人の修正される相続分のことを,「特別受益者の相続分」といいます。

 

相続分が減る生前贈与と減らない生前贈与

さて,もう少し話を続けます。ちょっとだけややこしくなりますが,大事なところなのでお付き合いください。

相続財産というのは,遺族の生活を助けるものだから,もし前渡しがあったときは,後から清算するんだという話をしました。そういうことならば,もし生前贈与の内容が,贈与を受けた人の生活を助けるような性質のものではない場合は,相続の時に清算する必要がないという理屈になります。

法律は,この生活を助けるための贈与のことをこう表現しています。
「婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本としての贈与」

つまり「生計の資本としての贈与」です。生計の資本としての贈与に当たれば,相続の時に差し引き計算するし,生計の資本としての贈与に当たらなければ,相続の時に差し引き計算しなくてもいいわけです。当たるものと当たらないものを簡単にあげておきます。

生計の資本としての贈与に当たるもの

生計の資本としての贈与に当たるもの

  • 結婚の持参金や支度金
  • 大学以上の学費
  • 不動産
  • 高額の金銭・有価証券・動産など
  • 生命保険金(原則として特別受益にならないが,判例上,相続人間の不公平が到底是認できないほどに著しいと評価すべき特段の事情がある場合に限り認められる場合がある)

生計の資本としての贈与に当たらないもの

  • 挙式費用(生活費じゃないから)
  • 高校までの学費(現代では扶養の範囲だから)
  • 生命保険金(遺産ではないから)
  • 小額の贈与(扶養,小遣い,慰労金,礼金の範囲と考えられ,遺産の前渡しではないから)

長くなってきたのでそろそろまとめます。「なぜ生前に家を建ててもらったら相続分が減るのか」についての答えは次のとおりです。

  • そもそも相続とは何のためにある?遺族の生活を経済的に助け保障するため
  • それならば,生前に「生計の資本としての贈与」を受けるのは,遺産の前渡しに当たる
  • 遺産の前渡しがあったのならば,相続の時に差し引きして「公平」にする

相続人間で公平に財産を分けるために相続分が減るということです。法律的にも,まさにそれが理由です。「不平等」な感じがする,「公平」にしてほしいというあなたの直感は,法律的にも正しかったわけです。

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