相続に関するAtoZ 遺産をもらう側

法定相続分は絶対?相続分が変更になる四つのケースとは?

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これを読まれているあなたは,将来自分が相続人となって遺産相続をする場合に備えて相続分について考えているかもしれません。又はじっさいにもう遺産相続の問題が起こっていて,遺産分けの話し合いのために,あなたの取り分,つまり相続分について確認しているのかも知れません。

そうだとすると,相続人は誰になるかを判断して,それなら相続分はこうなるな,という具合に,だいたいの目星をつけているのではないかと思います。

ここでお話したいことは,その相続分は絶対ですか?という問いかけです。結論から言うと,その相続分は絶対的なものじゃないんです。あなたが今考えている相続分のことを,「法定相続分」と呼びますが,その法定相続分は,「法定相続分を修正する理由」がないときに最後にそうなる相続分です。「法定相続分を修正する理由」があれば,修正したあとの相続分が正しい相続分です。

あなたはこのことを知っていましたか?法定相続分はよく知られていますが,法定相続分を修正する理由のことは,あまり知られていないはずです。

そこで,ここでは,その法定相続分を修正する理由,つまり相続分が変更になる四つのケースについて説明します。

 

指定相続分(亡くなった人が遺言で修正する)

「指定相続分」とは,亡くなった人が,遺言で指定した相続分です。例えば,遺言にこんなふうに書いてあったら,それが指定相続分です。
「長男の相続分は2/3とし,長女の相続分は1/3とする」

遺言でそんなことを決めることができるの?遺言って誰に土地をあげるとか,預金をあげるとか,具体的なことを決めるものじゃないの?と思われるかもしれませんが,遺言で相続分を指定することもできます。

また遺言のところでも説明しますが,日本の相続の法律は,遺言を優先します。亡くなった人の財産だから,亡くなった人がどうするか決めるほうがいいからです。でもみんな遺言を作るわけじゃないので,遺言がない場合にどうするか決めておかないといけません。それが法定相続です。法定相続分というのは法律で決められている相続分のことです。

とにかく,亡くなった人の遺言で相続分が指定されていたら,そのとおりにしないといけません。指定相続分は,法定相続分を修正する一つ目のケースです。

 

特別受益者の相続分(生前にたくさんもらっているから修正する)

相続人の中に,生前に家を買ってもらったり,結婚の時にたくさんの援助をしてもらった人はいませんか?生活の糧になるような多額の生前贈与があった場合,相続の時に清算しないと不平等だと思いませんか?

そうなんです。生前たくさんもらっている人と,まったくもらっていない人の相続分が同じだと,やっぱり不平等になります。だから相続の時に差し引きして最終的に平等になるようにします。そういう,相続で差し引きしないといけない生前贈与のことを「特別受益」といいます。生前贈与を受けていた人のことを「特別受益者」といいます。そして,この差し引きされる人の相続分のことを「特別受益者の相続分」といいます。

差し引きされる人の相続分,つまり特別受益者の相続分は,次のように計算します。

  • 遺産の額に,贈与してもらった額を足して(持ち戻して),仮の遺産額を出します。
  • 仮の遺産額に法定相続分をかけて,仮の相続分を出します。
  • 特別受益者の仮の相続分から,贈与してもらった額を引いて,じっさいの相続分を出します。

特別受益者の相続分がある場合は,法定相続分が修正される二つ目のケースです。

※特別受益とは「遺贈又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本としての贈与」のことです。

 

寄与分(生前にむしろ貢献しているから修正する)

特別受益者の相続分は,生前に多くもらって人の相続分を,相続の時に少なくして,差し引きの調整をする仕組みでした。

では,その逆の場合はどうでしょう。つまり,生前に亡くなった人の財産を増やしたり,減るはずだった財産を維持することを特別に助けたりした人は,相続の時に相続分を増やしてもらって丁度良さそうだと思いませんか?そうなんです,そういう仕組みも法律に用意されています。財産の維持とか,増加に貢献した額のことを「寄与分」といいます。貢献した人のことを「寄与者」といいます。

寄与分があるときの寄与者の相続分は,次のように計算します。

  • 遺産の額から,寄与分の額を引いて,仮の遺産額を出します。
  • 仮の遺産額に法定相続分をかけて,仮の相続分を出します。
  • 寄与者の仮の相続分に,寄与分の額を足して,じっさいの相続分を出します。

寄与分がある場合は,法定相続分を修正しなければならない三つ目のケースです。

※寄与分とは「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付,被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与」をすることです。

 

相続分の譲渡(相続分をほかの人にあげる)

最後は相続分の譲渡です。譲渡というのは,譲り渡すことで,贈与したり,売買したりすることです。

相続分というのも,財産的な権利の一つなので,これを他の相続人とか,第三者に対して,契約によって譲り渡すことができます。相続人に譲渡したら,譲渡を受けた相続人の相続分がその分だけ増えます。第三者に譲渡したら,今後は第三者が相続人として遺産分けに参加することになります。

相続分の譲渡があるとき,これが法定相続分が修正される四つ目のケースです。

 

まとめ

どうですか?今回の相続に,特別受益や寄与分に当てはまるようなことはありませんか?もしこれに当てはまるようなことがあれば,相続分は修正されます。ですので,修正された相続分にもとづいて,今後の遺産分けなどを考えていかないといけません。

あなたが特別受益を受けているときは,それを踏まえて,控えめに相続の話合いをしてください。あなたが寄与者に当たるときは,多めに相続分をもらえるのが法律の考え方ですから,積極的に相続の話合いをしてください。具体的な計算や考え方が分からなければ司法書士に相談してください。

参考にしていただけると幸いです。

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