相続大全集

夫婦間贈与の特例を使って贈与税非課税で居住用不動産を配偶者の登記名義にする方法

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奈良王寺の明徳司法書士に夫婦間の居住用不動産の生前贈与を相談依頼

奈良県北葛城郡王寺町の司法書士中尾哲也

 

家の名義を夫や妻に移したい

いま住んでいる住宅(土地や建物)の名義を夫や妻,つまり相手方配偶者に移し替えたい,名義変更したいとお考えですか?それはどういう理由からですか?

  • 相続税の節税対策になるかと思って
  • 資産が自分に偏ってるので家くらい妻名義にしてあげたい
  • 長年連れ添った感謝の気持ちから
  • 相手方からお願い(要求)されて
  • 税金がかからずに生前贈与や名義変更ができると聞いたので
    など

理由はどうであれ,自宅の所有者であるあなたや配偶者が希望すれば,名義を相手方配偶者に変更することができます。すなわち,無償でするなら,夫婦間で贈与契約を締結して,その後法務局に名義変更の所有権移転登記を申請すればよいのです。

 

普通に贈与して登記すると多額の贈与税が課税される!

もっとも,何も考えないで,ただ住宅の贈与契約をし,所有権移転登記をしてしまったら,住宅をもらったほうの配偶者に多額の贈与税がかかってしまいます。日本には贈与税という税があって,贈与による財産の取得には効率の贈与税が課税される決まりです(贈与税のことは相続税法という法律の中に書いてあります)。

せっかく住宅の名義変更をしても,相手方に多額の贈与税が課税されては支払うのに難儀します。そもそも,そんなに多額の贈与税を支払うくらいなら,夫婦間で贈与なんてしなかったよ,とお考えになることでしょう。

 

夫や妻に名義変更しても贈与税がかからない制度・仕組みがある!

しかし,夫婦間における居住用不動産の贈与には,この贈与税の課税を免れる方法があります。それは,贈与税の特例である,「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」の特例の適用を受けることです。この特例の適用を受ければ(特例を使えば),居住用の不動産の贈与について,2000万円まで非課税になります。贈与税には年間110万円の基礎控除がありますから,併用すれば,2110万円までの居住用不動産の贈与が贈与税非課税にて行えます。なお,贈与する不動産の価値がこれを超える場合,超えた部分についてだけ,通常どおり贈与税がかかります。

この夫婦間贈与の特例は,あくまで特例なので,適用を受けるのに要件があります。この要件を満たした場合だけ,2000万円の夫婦間贈与の特例を使えます。要件は次のとおりです。

婚姻期間の要件

結婚して20年経過後に贈与すること(20年間婚姻期間が必要)

贈与財産の要件

贈与財産は次のいずれかであること。

  • 居住用の不動産
  • 居住用の不動産を取得するための金銭

居住の要件

贈与の翌年の3月15日までに贈与された不動産に住み,今後も住む予定であること。つまり,,,

  • 居住用不動産に住民票を移す
  • 贈与された金銭で購入した不動産に住民票を移す

回数の要件

過去に同じ配偶者から贈与を受けてこの特例を利用していないこと(この特例は,同じ配偶者からは,1回のみ利用可)。

贈与税申告の要件

贈与の翌年の申告時期に必ず贈与税の税務申告をして,この夫婦間特例を利用する旨,国に届出をしなければいけません。これをしないと,通常の贈与として扱われます。

 

夫婦間贈与の特例を使って名義変更する方法

夫婦間で居住用の不動産を贈与して名義変更するのは自由だ。そして,一定の要件を満たせば,一定の範囲で贈与税が非課税になる。というところまで説明しました。では次に,じっさいにこの特例を使って夫婦間で住宅の名義を贈与するステップを見ておきます。

本当にそれでいいか夫婦で話合いをする

まずもって,「本当にそれでいいか」確認してください。住宅の名義を変更し,所有者が変わるのですから,住宅に関する権利や義務も全部相手方に移ります。売却をしたり,不動産を担保に入れてお金を借りたりするのも,原則として所有者の一存でできることになります(当然夫婦で相談すべき事柄ですが,,)。

あと,名義変更をする理由や動機が妥当かどうか,効果の期待できる適切なものかどうか,というところも今一度確認ください。法的なことや税金のことが分からなければ,「夫婦間で贈与したいと思っているが,問題ないか相談したい」として,決める前に司法書士に相談してください。

よく考えて,やると決めたら次のステップに進みます。

贈与契約をして贈与契約書を作る

後のトラブルを避けるために贈与契約書を作ります。この贈与契約書を,不動産の名義変更に使うことができます。贈与契約書の作り方や書き方については,以下の記事に詳しく書いておきましたから参考にしてください。ご自分でするのが難しければ司法書士に書類作成を依頼してください。

贈与契約書の作り方・書き方・作成方法を説明します

贈与契約書の書式見本(ひな形)

夫婦間で奈良県の住宅を生前贈与する贈与契約書

法務局に所有権移転の登記申請(名義変更)をする

贈与契約書を作って契約が成立し,効力が生じたら,法務局で登記名義の変更をします。具体的には,「年月日贈与」を登記原因とする「所有権移転登記」等を法務局に申請して登記簿の名義を書き換えます。登記が完了したら,新しい権利書(正確には,現行法上,「登記識別情報」といいます。)がもらえるので,これを大切に保管します。

名義変更の登記申請をして権利書(登記識別情報)をもらうまでの手続きはだいたい以下のとおりです。

申請書等の作成

登記申請書と登記原因証明情報を作って夫婦双方が押印し,登録免許税を計算して税額分の収入印紙を申請書に貼る。

登記申請書の書式見本(ひな形)

奈良県王寺町の司法書士の夫婦間贈与の登記申請書

登記原因証明情報の書式見本(ひな形)

奈良県で居住用不動産(住宅)を夫婦間贈与する登記の登記原因証明情報

添付書類の準備

登記申請書の添付書類を準備する。

贈与者(あげる方)
  • 権利書
  • 印鑑証明書
受贈者(もらう方)
  • 住民票

法務局に登記申請

登記申請書と添付書類をセットして管轄の法務局に提出する。つまり登記申請する。

登記完了と権利書の受取り

一定期間経過後登記が完了するので,法務局で権利書登記識別情報を受け取る。同時に登記簿謄本(登記事項証明書)を請求して受取り,登記がちゃんとされているか確認する。

登記申請書についてごく簡単なまとめ記事が法務省のWEBサイトにあります。以下のリンクをご覧ください。なお,やり方が分からない人は司法書士に登記手続きを一式依頼してください。全部司法書士がやってくれます。

法務局トップページ>不動産登記申請手続>不動産登記の申請書様式について

税務署に贈与税の申告(夫婦間贈与の特例を使う)をする

最後に,贈与の翌年の2月1日から3月15日までの間に,必ず贈与税の申告をして,夫婦間贈与の特例の適用を税務署に届け出ます。これはぜったいに忘れてはいけません。これをしないと先にも述べたとおり普通の贈与になってしまいます。普通の贈与になると基礎控除を超えた部分が贈与税の対象になり,大変な負担です。

申告するのは翌年の2/1から3/15なので,うっかり忘れないように準備しておかないといけません。専門家に依頼すると記録を残して管理してくれるので忘れる心配はありません。

ホーム>申告・納税手続>税務手続の案内>相続・贈与税関係>[手続名]贈与税の申告手続

 

簡単ではありますが,以上でもって,「夫婦間贈与の特例を使って贈与税の課税なく居住用不動産(住宅)の生前贈与とこれによる名義変更をする方法」の説明を終わります。

奈良県北葛城郡王寺町の司法書中尾哲也の写真楕円形

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子供や孫に贈与税非課税で生前贈与・名義変更するとき

贈与税非課税で土地や建物を子供や孫に贈与し登記名義を変更する方法(相続時精算課税)

 

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