相続大全集

相続税ではなく所得税の申告をするのが義務になるケース

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奈良県北葛城郡王寺町の司法書士中尾哲也

父親などの被相続人が死亡したときに,相続税のほかに,所得税のことを考えないといけないケースがあります。すなわち,相続税とは別に,所得税の準確定申告をしなければならない場合があるのです。今日は,少しだけ,これに関するお話をします。

 

相続時(人が死んだとき)に考えなければいけない税金

相続が開始していろんな書類を整理していると,何やら税金の申告をしなければいけない気がしてきます。もしかしたら私って,やらないといけない税金の申告や支払いを忘れているんじゃないか?と心配になるものです。そこで,相続のときに考えなければいけない税金のうち,重要なものを押さえておきます。

 

その前に税金の分類を確認しておく

少し回りくどくなりますが,基本知識として,先に税金の分類を確認しておきます。

納める相手による分類

  • 国に納める税金を「国税」といいます。
  • 地方公共団体に納める税金を「地方税」といいます。
  • 地方税はさらに,「都道府県民税」「市町村民税」に分かれます。

納め方?払い方?取られ方?による分類

  • 直接に国等に納めるのを「直接税」といいます。
  • 民間人等に支払い,その民間人等が代わりに国等に納めるのを「間接税」といいます。

課税される対象による分類

  • 所得(収入・実入り,フロー)に課税されるのを「所得税」といいます。
  • 資産(持ってるもの,ストック)に課税されるのを「資産税」といいます。
  • 消費(物の購入やサービスを受けること)に課税されるのを「消費税」といいます。

どの税金が関係ありそうか

納める相手や取られ方ははっきりいってどうでもいい。課税されるのかされないのかが知りたい。

そうですね。なので,上記分類のうち,「課税される対象による分類」を確認します。

このうち,相続に関係ありそうなのは,「所得税」「資産税」だと分かります。繰り返しますが,所得税は所得に課税される税金。資産税は資産に課税される税金。相続でお金が動いたから,どっちも課税されそうで怖いですよね。

では,相続の当事者である,被相続人(亡くなった人)と,相続人に分けて考えてみます。

「被相続人(亡くなった人)」に課税される税金

所得税

故人が亡くなったのはいつですか?通常人は年の途中で亡くなります。例えば,10月5日に亡くなったとします。そうすると,その年の1月1日から死亡日までの所得について所得税が課税されます。

亡くなった人が生前所得税の確定申告をしていない場合(一定額の所得がないとか,源泉徴収されているとか),死後に,故人の所得税について心配することはありません。しかし,故人に相応の所得があって,毎年春に確定申告をしていた場合,死後に故人の確定申告をせねばならない可能性があります。

この場合に行うのが所得税の準確定申告です。故人はもう亡くなっているので,翌年自分で確定申告をすることができません。よって所得税の準確定申告は,故人に代わって,相続人がします。

早速本題の準確定申告が登場しました。年初から死亡日までの所得を確定して被相続人の代わりに相続人が行う所得税の確定申告のことを準確定申告といいます。あとでもう少し説明します。

資産税

生前に,すでに課税されている固定資産税等は,予定どおり支払ってください。支払い義務が残っているだけですから,そのまま支払えばよいです。死後に故人に資産税が課税される余地はありません。死んだ人に所有資産は観念できないからです。

「相続人」に課税される税金

所得税

相続で取得した財産には,所得税はかかりません。まずこの点を押さえてください。相続や遺贈で相続人が得た財産には,すべて,後述の相続税がかかります。相続税は,相続人が所有する資産に課税される資産税です。

ただし例外というか,間違わないよう注意すべき事柄が2点ほどあります。

遺産を売却したり賃貸したりして収入があった場合

遺産相続で相続人に所有が確定した財産を売却したり賃貸したりして収入を得たら,これは「相続人」に対して「所得税」が課税されます。相続人が遺産を相続で取得するところまでは「相続税」でいきますが,所有が確定した遺産はもはや相続人の固有の財産ですから,これを売却して所得があったら当然相続人に「所得税」がかかります。なので,相続人が,自分の所得税の確定申告について考えていかねばなりません。

相続してすぐ売ったような場合,時間的に相続に近いので混同しがちですが,例えば数年後に売却したときと比較すれば理解できる話です。自分の所有資産を譲渡して所得があったら,当然所得税が課税されるからです。

特定の生命保険金を受け取った場合

相続人が,故人を被保険者としてかけていた死亡保険金を受け取った場合,「相続人」に「所得税」が課税されます。次のような内容の保険だった場合です。

契約者 相続人
被保険者 被相続人(死んだ人)
受取人 相続人

生命保険(死亡保険)と遺産相続の権利,生命保険(死亡保険)と相続税の関係についてはこちらをご覧になってください。

生命保険金(死亡保険金)は相続財産になる?相続税がかかる?非課税枠は?この関係を説明します

資産税

相続人が,相続又は遺贈よって取得した財産には,「相続税」が課税されます。前述のとおり所得税ではなく,相続税一本の課税となります。こちらは本題ではありませんので以下の記事に譲ります。

相続税申告の準備(ステップ)と,期限(いつまでに)について説明します

小まとめ

相続時に対応を考えなければいけない税金は,およそ次のとおりです。

  • 被相続人については,所得税(ただし代わりに相続人が準確定申告をする)
  • 相続人については,相続税

では,今日の本題である所得税の準確定申告について説明を続けます。

 

所得税の準確定申告について

年初から死亡日までの被相続人の所得について相続人が代わりに確定申告をする「所得税の準確定申告」について,そのポイントをまとめておきます。

所得税の準確定申告をしなければいけないケース(義務のある場合)

被相続人が以下のような人なら,所得税の準確定申告が必要です。被相続人が毎年確定申告をしていた場合は,今回準確定申告をしなければならない可能性が高いですので注意してください。

自営業者

  • 自営業者(個人事業主)で,所得税を納めなければならない人

給与所得者

  • 給与収入が年2000万円を超える人
  • 2社以上の会社から一定額を超える給与をもらっている人
  • 給与所得以外の所得の合計が年20万円を超える人
  • 同族会社の役員やその親族などで,会社の給与の他に貸付金の利子や不動産の賃料収入などの所得がある人
  • 給与から所得税を源泉徴収されていない人

年金受給者(年金所得者・年金生活者)

  • 公的年金の受給額が年400万円を超える人
  • 公的年金以外の所得の合計が年20万円を超える人
    など

※申告義務の有無については正確にご判断ください。上記は目安です。国税庁関係のWEBサイトを調べるか,税務署又は税理士に確認いただくことをおすすめします。

所得税の準確定申告は誰がするのか

相続人が1名の場合はその相続人がしてください。相続人が2名以上いる場合は,原則として,共同で行います。つまり,申告書を連名で作成して税務署に提出します。

もっとも,別々にすることができないわけではありません。特別な処理をすれば別々にできますが,ややこしいので一緒にしてください。

所得税の準確定申告はどこにするのか

被相続人の死亡時の納税地の税務署にしてください。

所得税の準確定申告はいつまでにするのか(期限)

相続人が,相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月内に,申告書の提出と納税を済ませます。これは義務です。

このとおり期限は「4か月」です。

この記事は3か月内にすべきことのカテゴリーに入っていますが,期限は4か月ですので注意ください。もっとも,なるべく早くしたほうがよいですが。

所得税の準確定申告はどうやってするのか

上記の管轄税務署に対し,申告期限内に,書類を提出して行います。書類は次のとおりです。

  • 所得税の確定申告書
  • 同付表
  • その他の添付書類(源泉徴収票,医療費控除を受けるための領収書,保険料の控除証明書など)

なお,詳しいことは以下のページ等に書いてあります。

国税庁ホーム>申告・納税手続>所得税(確定申告書等作成コーナー)

 

所得税の準確定申告は誰に依頼するか

所得税の準確定申告は税務申告です。なので,これを依頼するのは税理士になります。

故人がずっと依頼している税理士等がいる場合は,そちらに聞いてみてもよいです。

もっとも,所得税の準確定申告をしなければならない被相続人の相続については,一定の相続財産があることが考えられ,相続税の申告も重ねて行わねばならないことがあるはずです。その場合,相続税の申告を依頼する税理士にまとめて所得税の準確定申告もお願いすることができます。

相続税の申告を依頼する専門の税理士の選び方

もし所得税の準確定申告をする税理士をお探しなら司法書士にご相談ください。必要に応じ,税理士の先生をご紹介します。

遺産相続が専門で得意分野とのことですが、どんな相談や依頼ができますか?

奈良県北葛城郡王寺町の司法書中尾哲也の写真楕円形

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