相続大全集

素人でもできる相続税の節税対策のリスト(一覧)

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相続税対策・節税対策の一覧リスト

近年国の財政が厳しいので(厳しいと政府が言っているので?),いろんな税金が上がる傾向にあります。相続税も例外ではなく,大きなところで,基礎控除額が大幅に引き下げられました。

  • 改正前の基礎控除額=5000万円+(1000万円*法定相続人の数)
  • 改正後の基礎控除額=3000万円+(600万円*法定相続人の数)

法定相続人が3人の遺産相続なら,従前8000万円あった基礎控除額は,改正後に4200万円になる計算です。これは大幅な引き下げといえます。

ということで,いわゆる「普通の人」でも相続税の心配をしなければならなくなった。そこで,相続税の節税対策の基本的なリストをまとめておきますので,何かできることはないか考えるきっかけにしていただけると幸いです。詳しいことは税理士や司法書士に相談してください。さらに技術的で細かい節税対策の相談にのってくれるでしょう。

 

節税対策を検討する前に大前提を

  1. 相続税は,相続又は遺贈によって取得した財産等に課税される税金です。取得する財産が大きいほど負担増になります。
  2. なお相続税には前記の基礎控除額が認められています。

以上2点の事実から,節税対策の枠組みが決まってきます。つまり,相続税の節税対策とは,次の二つの事柄をどうやって実現するかということに尽きます。

  1. 相続税の課税財産を減らす
  2. 相続税の基礎控除額を増やす

 

相続税の課税財産を減らす節税対策

生前贈与をして課税財産を減らす

毎年110万円(111万円?)の暦年贈与(定期贈与)をする

毎年110万円生前贈与をしても贈与税はかかりません。贈与税の基礎控除額に収まるからです。贈与税は受贈者にかかるので相手方が多ければ多いほど節税できます。3人に対して10年やれば3300万円も節税できます。これをするときは,連年贈与で一括課税されたり,名義預金として贈与を否定されることがないようちゃんと手続きしておくことが大事です。

夫婦間で居住用不動産の贈与をする

20年連れ添った夫婦なら2000万円まで居住用不動産の贈与ができます。自宅を配偶者に贈与して課税財産を減らすことができます。

国税庁 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

子供や孫に住宅取得等資金を贈与する

子供が孫が住宅を購入するときは必ず援助してあげてください。住宅取得資金の贈与の非課税制度を利用すれば一定の金額まで無税で贈与することができます。ただし贈与税の確定申告が必要なので忘れないようにしてください。

国税庁 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

子供や孫に教育資金を一括贈与する

都度必要な教育資金を贈与しても贈与税は非課税ですが,教育資金の一括贈与時の非課税制度を利用すれば1500万円まで一括で贈与し贈与税の非課税措置を受けることができます。ただし,信託銀行等に一括でお金を預けたり,引出しに領収書を持っていったりと少し面倒な手続きもあります。利用の際はよく相談してしてください。

国税庁 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税

子供や孫に結婚・子育て資金を一括贈与する

結婚・子育て資金の一括贈与時の非課税の制度を利用すると,1000万円まで無税で一括贈与できます。これをする場合の手続きも,教育資金の一括贈与と同じようなことをする必要がありますから,よくよく調べてから行ってください。

国税庁 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税

相続時精算課税制度を利用して高収益物件を贈与する

相続時精算課税制度を利用すれば,子供や孫に対し,2500万円まで,贈与税を支払わないで贈与できます。ただし,制度の名前が表すように,税金は相続時に精算しないといけません。つまり,贈与税の支払いをペンディングして,相続時に相続税として計算しなおします。資産が相続税の基礎控除額に収まる人は,贈与税も相続税も課税されないので有利です。相続税が課税される資産状態の人なら,文字どおり相続時に贈与がなかったものとして戻し計算して,相続税として計算しなおして税金を支払います。相続税として戻し計算するなら生前贈与の意味がないと思われるかもしれませんがそれは違います。収益物件をいま次世代に移せば,今後入ってくる収益は次世代のものとなり,被相続人のもとに蓄積しません。収益の蓄積を防いで相続税の課税財産が増えるのを防止する効果がとても大きいやり方です。

国税庁 相続時精算課税の選択

値上がりしそうな財産から贈与する

将来値上がりすることが確実な財産は,先に生前贈与の対象にしましょう。地道にキャッシュを生前贈与していても,不動産や株式が一気に値上がりすると,その効果は減殺されてしまうからです。なので値上がり確実な財産は思い切って先に生前贈与しましょう。贈与税負担との兼ね合いは,専門の税理士等に相談してください。

など

財産評価を圧縮して課税財産を減らす

現金や預貯金を不動産に変える(不動産を購入する)

現預金は額面そのまま課税対象になりますが,不動産は財産評価をして評価額が課税対象になります。一般に不動産は時価よりも相続税評価額のほうが低く計算できます。土地は路線価方式等で,建物は固定資産税評価額で計算するのが相続税法の決まりですが,路線価は時価の8割程度まで,固定資産税評価額は時価の7割程度までとされます。つまり,現預金を不動産に変えるだけで,2,3割の資産圧縮ができ,節税対策になります。

収益物件(賃貸アパートや投資用ワンルームマンション)を購入する

不動産を購入するだけで節税になりますが,収益物件だとより有利です。賃貸アパートの場合,建物は「貸家」としての3割ほどの評価減を受けられます。貸家の敷地も「貸家建付地」としての評価減を受けられます。なので,現預金を収益物件に変えると,相当な資産圧縮効果が期待でき,相続税の節税対策に効果的です。

タワーマンションの最上階(上層階)を購入する

マンションは一戸建てに比べて資産圧縮効果が大きくなります。というのは,マンションの所有者は,土地を少ししか所有していないからです(共有持分)。その割には時価が結構高く,権利関係よりもソフト面(ブランド)が高く評価される財産です。しかし,マンションの相続税評価も一戸建てと同じく建物や土地の所有権等を対象に行うので,時価でマンションを買うことは資産圧縮効果が高いという結論になります。さらに,タワーマンションの上層階はそれが顕著です。タワーマンションの上層階と下層階では時価に著しい差がありますが,相続税評価をするための固定資産税評価額の差はわずかです(40階で10%程度)。そして上層階は著しく時価と相続税評価(固定資産税評価額)の差があるのが実情です。なので,高層マンションの上層階をキャッシュで買えば資産を大幅に圧縮でき,相続が済んだら時価で売却すればとても効率的な相続税の節税対策になるのです。

使ってない不動産は貸し出すか,アパートを建てる

空き地があれば宅地として貸しましょう。「貸宅地」としての評価減(借地権割合による借地権価格を控除できる)を受けられます。空き家があればこれも賃貸に出しましょう。建物は「貸家」評価になり,その敷地は「貸家建付地」となり,それぞれ評価減を受けられます。もっとも,将来土地を使用するなどの予定があれば,契約形態など検討する必要があります。借地権や借家権は強い権利なので,対策をして貸し出さないと,土地や建物を返してもらえなくなるからです。

都会に引っ越して小規模宅地の特例の効果を最大化する

住宅の相続には特例があります。住宅は生活の基盤であり,住宅だけ相続して相続税が払えない人が続出すると困るからです。この特例を「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」と呼びます。ただし適用には要件があります。居住用の宅地(特定居住用宅地)の場合,330㎡まで,80%の評価減ができます。つまり330㎡までは2割の評価でかまわないということです。もし田舎の,地価の安い,広い土地に住んでいたら特例の効用をあまり受けられなくて損です。都会の,狭くても地価の高い土地に引っ越したほうが特例の効用を大きくできることは言うまでもないでしょう。財産のある人は,高齢になったら,便利な都会に引っ越して老後を過ごすのも悪くありません。

国税庁 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例

親名義で住宅をリフォームする

キャッシュに余裕があれば,親名義で住宅のリフォームをしておくと財産圧縮になってよいです。どうせ後からリフォームするなら親の代に,親名義でしてもらうのが得策です。この場合,子供の趣味に沿って,子供がリフォームするなら,,,という視点でやってあげると,将来に無駄がなくてよいでしょう。できれば子供と一緒に打ち合わせすれば宜しいかと思います。

など

非課税財産を増やして課税財産を減らす

生命保険に加入して生命保険金(死亡保険金)の非課税枠を活用する

以下のような生命保険契約にもとづく死亡保険金は,民法上の相続財産にはなりませんが,相続税法上は「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。しかし,法定相続人の数に500万円を乗じた金額までは,非課税枠が認められています。つまり,3人相続人がいれば,1500万円までの死亡保険金には相続税がかかりません。大変有利なので是非ご利用ください。

  • 契約者=親
  • 被保険者=親
  • 受取人=相続人

親の生前にお墓を購入する

墓地や墓石,仏壇,仏具等は相続税の非課税財産として相続税法で認められています。なので,お墓は生前に購入しておくのがよいです。また仏壇を買い換えるなら,相続人が後からするのではなく,生前にしてもらっておくのが節税上望ましいです。

 

相続税の基礎控除額を増やす節税対策

やり方は一つだけ

養子縁組をする

相続税の基礎控除額は以下の算式で求めるので,これを増やす方法は,法定相続人を増やすしかありません。法定相続人を増やせば,確実に基礎控除額は増えます。

相続税の基礎控除額=3000万円+(600万円*法定相続人の数)

法定相続人を増やす方法は,通常,孫などを養子にする方法で行います。孫などとの間で養子縁組をすると子供が増え,子供は第一順位の法定相続人なので,相続税の基礎控除額が増えます。

もっとも,相続税法で認められる法定相続人としての養子は,実子がいる場合は1名まで,実子がいない場合は2名までに限定されています。民法上養子縁組をすることができる子の数に制限はありませんが,これ以上養子を増やしても相続税法上は無意味だということです。

なお,養子縁組によって子供を増やすと,基礎控除額が増えるだけではなく,生命保険の非課税枠等にも影響を及ぼします。つまり生命保険の非課税枠が500万円分増えますので,節税対策の幅が広がります。

国税庁 相続人の中に養子がいるとき

ところで,このような節税目的の養子,いわゆる「節税養子」は無効ではないかと考える立場もありました。民法上養子縁組の要件は,次のとおりであるところ,縁組意思とは何ぞや?専ら節税のために養子をとることを縁組意思ありと認めてよいのか?という問題です。

  1. 縁組意思があること
  2. 縁組届出をすること

この点最高裁判所は次のとおり言って,もっぱらの節税養子にも基本的に縁組意思あり,としました。なので当面は,節税養子が簡単に否定されることはないと考えられます。

「養子縁組は,嫡出親子関係を創設するものであり,養子は養親の相続人となると ころ,養子縁組をすることによる相続税の節税効果は,相続人の数が増加すること に伴い,遺産に係る基礎控除額を相続人の数に応じて算出するものとするなどの相 続税法の規定によって発生し得るものである。相続税の節税のために養子縁組をす ることは,このような節税効果を発生させることを動機として養子縁組をするもの にほかならず,相続税の節税の動機と縁組をする意思とは,併存し得るものであ る。したがって,専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても、直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がな いとき」に当たるとすることはできない。 」

「そして,前記事実関係の下においては,本件養子縁組について,縁組をする意思 がないことをうかがわせる事情はなく,「当事者間に縁組をする意思がないとき」 に当たるとすることはできない。」

最判H29.1.31

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