相続大全集

タワーマンションの最上階(高層階)を購入すると相続税の節税対策に効果的な理由

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タワーマンションを買って相続税を節税

先日相続税対策のセミナーで,「節税策としてタワーマンション(高層マンション)のできるだけ上の方の階の部屋を買いなさい」と講師が言っていました。節税対策で不動産やマンションを買うという話は聞いたことがあるんですが,高層マンションの上層階は高額なので節税対策に逆効果じゃないかと懸念しています。むしろ真ん中くらいの階や,低層マンションなどを買う方が安心なのかなと考えています。どうなんでしょうか?

奈良県北葛城郡王寺町の司法書士中尾哲也

 

結論

いえ,相続税の節税対策という意味で購入されるならおそらくタワーマンションの高層階を買う方がよいです。

 

相続税の節税対策に不動産を買う理由

不動産は相続税評価が低い(安い)から

相続税の節税対策で重要なのは被相続人の相続開始時の相続財産を減らすこと。つまり亡くなった時に持っている遺産を少なくすることです。相続税は,相続人が,相続又は遺贈によって取得した財産等に課税されるので,相続等する遺産が多ければ相続税負担が大きくなり,少なければ小さくなる関係にあるからです。

その意味でキャッシュや預貯金等を使って不動産を購入することは理にかなっています。というのも,キャッシュや預貯金に比べて,不動産は一般的に,相続税の財産評価が安くなるからです。

  • 公示価格=国土交通省
  • 基準地価=都道府県
  • 路線価=国税庁(財務省)
  • 固定資産評価額=市町村
  • 鑑定評価額=不動産鑑定士
  • 取引価格=民間人の取引による

不動産には以上のようにたくさんの価格・値段があります。それぞれ意味がある価格ですが,相続税の財産評価において,不動産は,次のような価格を用いて計算します。

  • 土地=路線価
  • 建物=固定資産評価額

この価格をもって不動産の財産評価をすると,不動産は,一般に市場で取引される時価の50%から80%程度の価格になります。つまり,キャッシュ等で資産を持っているより,不動産で持っている方が,相続税の計算上は,財産を少なく見積もることができるんです。つまり,不動産を購入することは,相続税の節税対策で重要な財産の圧縮減少に効果的だということです。

不動産購入による節税対策の方法

この不動産の時価と相続税法上の財産評価額の差(ギャップ)を利用するのが不動産購入による節税対策です。すなわち,次のようにすれば,被相続人の資産を圧縮し,相続税の負担を軽くすることができます。

  1. 生前=被相続人(親など)が,余裕資金で不動産を購入し,資産を計算上圧縮
  2. 死亡=課税時期である親などの死亡時に不動産のまま所有。相続税の計算と申告と納付
  3. 死後適時=キャッシュ化したければ適当な時期に相続人が不動産を売却。そのまま所有するのもアリ

 

相続税の節税対策にタワーマンション(区分所有の高層マンション)の高層階を買う理由

マンション(区分所有建物)の権利関係

マンションの権利関係をご存知ですか?マンションは土地の上に建物が乗っていて,その建物の中にたくさんの部屋があります。建物は各部屋部分がそれぞれオーナーの単独所有になっていて,廊下等は全員の共有です。土地は通常,1筆とか2筆とか,少ない数の土地を,マンションオーナー全員が共有しています。お部屋の広さに応じて按分して,それぞれが建物の共用部分と土地の共有持分を所有しているのが通常です。細かいことをいうと難しいのですが,およそそんなところです(マンションの権利関係は,民法の特別法の区分所有法という法律に詳しく書いてあります)。つまり,部屋は単独所有,土地は共有です。

マンション(区分所有建物)の相続税評価

先ほど,不動産の相続税評価は次のとおりすると言いました。これはマンションでも同じことです。

  • 土地=路線価
  • 建物=固定資産評価額

しかしマンションは各部屋の所有者の土地共有持分が大変小さいので,その価格のほとんどの部分は,建物の価値たる固定資産税評価額が占めます。この,固定資産税評価額の計算の仕方が,タワーマンションを用いた節税対策にかかわってきます。

タワーマンションの高層階は相続税評価が割安だから

核心から述べると,タワーマンションの高層階は,相続税の財産評価において割安の取扱いを受けることができます。というのも,マンションの固定資産税の財産評価は,最上階等の高層階も,1階2階などの低層階もほとんど同じだからです。いままで最上階も1階も面積に応じて完全に同じ価格で計算されていたんですが,税制改正により今後少し差が付けられます。しかし当面は,40階建の最上階で1階の10%増し,50階でも15%までの差に過ぎません。これは誤差と言えるでしょう。対して,時価の差はいかほどのものでしょう。最上階はめちゃくちゃ高価なことが多く,低層階はそうでもないでしょう。

  • 高層マンションの固定資産税評価(相続税の財産評価)=最上階も1階もたいして変わらない。
  • 高層マンションの時価・実勢価格=最上階はめちゃくちゃ高い。低層階はそれなり。価格は天地の差。

タワーマンションで節税対策

このようになっているはずです。つまり高層マンションの固定資産税評価は,上層階において,特に優遇されているというべきなのです。いや優遇されているというか,現行法上,建物の財産評価を固定資産評価額で計算するとしていることの限界と言えます(固定資産税は建物という資産に課税するものであり,その評価方法が構造等の物質面に依っているので,同じ1棟の建物である高層マンションの最上階と低層階の間に,評価と税額の差をつける理論的根拠に乏しい。眺望や日照など高層階のメリットは固定資産評価に影響しない)。

以上の次第で,高層マンションの上層階は,相続税評価額が割安である。相続税の財産評価が割安である。そして時価とのギャップがとても大きい。よってキャッシュで高層マンションの上層階を買うと資産圧縮効果がとても大きく,相続税の節税対策になるのです。

タワーマンションの高層階は売却などしやすいから

売却しやすい

さて,いくら資産圧縮効果が大きくても,売りたいときに売れないようでは節税対策になりません。単にマンションを気に入って購入した人になってしまいます。この点タワーマンションの高層階は売却がしやすく有利と言えます。不動産は(不動産だけではないですが),希少性が高くて,節税対策等いろんな用途に使えるものに人気が集まります。タワーマンションは一般に都心の利便性のよいところにあるので市場性と流動性が高いです。あなたと同じように,節税対策のために購入したいという人もいるはずです。

賃貸しやすい

タワーマンションは都心にあって利便性が高い。よって賃貸に出して賃料収入を得ることは難しくないはずです。ビジネスその他の需要も大きいでしょう。親など被相続人が生前にタワーマンションを賃貸に出してもよいし,相続人が相続後,賃貸に出すこともできます。

親など被相続人が賃貸に出すメリット
相続税の「節税効果」が高まる

タワーマンションを生前に賃貸に出すと,マンションの評価がさらに下がって資産圧縮効果が高まり,相続税の節税に寄与します。マンションを貸し出すと,そのマンションは,貸家としての財産評価を受けられるからです。

すなわち貸家は,所有者が自由に使えない建物だということで,権利の制限を受けている部分の評価として一定割合を引いて評価できます。この控除すべき割合のことを「借家権割合」といいます。建物を借りている人の権利を借家権と呼び,その借家権としての権利や財産価値を,オーナーの所有権の価値から控除するのです。現在借家権割合は0.3と決まっています。よって賃貸に出しているマンションの建物部分の財産評価は以下のとおりとなります。要は,7掛けで評価できるわけです。

固定資産税評価額*1(1-0.3)=貸家の財産評価額

しかし不動産を一度賃貸に出すとなかなか出て行ってもらえない。出てもらうには立退き料など払って借地借家法上の正当理由を満たさないといけない。これでは節税になるといってもリスクが大きすぎないか?という疑問があります。

この点借地借家法で認められている「定期借家契約」を結んで貸し出すという方法があります。定期借家契約とは,文字どおり,更新のない契約期間を決めて貸し出すことができる制度です。言えば,通常の借家契約に比べて圧倒的に賃貸人に有利な制度です。この契約を用いて貸し出せば,マンションが帰ってこないというリスクを避けつつ,賃貸借契約を用いた相続税の節税のための資産圧縮をはかることができます。現在の法律では,通常の借家契約のある建物と,定期借家契約のある建物の,借家権割合は同じです。

相続税の「納税資金対策」になる

なお,親が生前に貸し出して,家賃収入を少しずつ貯めていけば,相続人の納税資金対策にもなります。タワーマンションを購入してキャッシュを使いすぎ,相続人が相続税を納める現金がなくならないよう,今後何年間かマンションを貸し出して,その家賃収入の蓄積分を納税資金に回してもらいます。

相続人が相続後賃貸に出すメリット

当然ですが,相続人が相続後に,自分の意思で賃貸に出すこともできます。都心のタワーマンションならすぐに資産価値が下がることはないはずですから,急いで売却せずに,賃貸に出して,家賃収入を受け取ることもできます。そのまま継続的に家賃収入を得るのが得か,一定期間経過後に売却してさらに別物件に投資するか,資産運用の選択肢は種々あります。

 

まとめ

長くなりましたのでまとめておきます。

タワーマンションの最上階(高層階)を購入すると相続税の節税対策に効果的な理由

  1. 命題 資産を圧縮して相続税の課税財産を減らすことは節税対策になる
  2. 不動産は,キャッシュに比べて,相続税の財産評価が割安である
  3. さらに,高層マンションの上層階は,市場価格と相続税評価額のギャップが大きく有利だ
  4. よって,キャッシュを減らし高層マンションの上層階を購入することは相続税の節税対策に効果的である

タワーマンションの最上階(高層階)を購入して相続税を節税する方法

  1. 親(被相続人)が,生前に,キャッシュを用い,自分の名義で,新築タワーマンションの最上階(上層階)を買う
  2. そのまま死亡し,相続税申告を済ませる
  3. 子供が,適当な時期に,タワーマンションを売却して,キャッシュに還元する

 

タワーマンションの最上階(高層階)を購入して相続税を節税する節税対策をするときに絶対に気をつけるべき注意点

以上のように,相続税の節税対策にとても有利なタワーマンション(最上階や上層階)の購入ですが,過去に,次のような条件が揃う場合に税務当局によって否認され,購入価格等,合理的な評価方法で課税された事例(国税不服審判所の採決や最高裁判例)があります。よって節税のためにタワーマンションを購入するときは,これら事実に当てはまらないように計画実行してください。

もっとも,否認された事例は極めて極端であり,購入時の売買契約の有効性すら疑われる事例です。

  • 死亡直前に購入
  • 購入時かなり高齢で判断能力すら疑われる
  • 当事者がマンションに一度も行ってないなど物件購入の実態が怪しい
  • 資産圧縮効果が数億で節税効果が1億円を超える
  • 死後直ちに相続人が売却している
  • 購入価格と売却価格がほぼ同じ

奈良県北葛城郡王寺町の司法書中尾哲也の写真楕円形

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