相続大全集

矛盾する?しない?親の現金は不動産に,不動産は現金にすると相続対策になる理由

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現金は不動産に,不動産は現金にして相続対策

奈良県北葛城郡王寺町の司法書士中尾哲也

将来の相続対策として,「現金」を「不動産」に,そして「不動産」を「現金」化しておくことを検討ください。

???これらのことは矛盾しているように思われますか?しかし場合によってはこれは矛盾しない相続対策になります。以下説明します。

 

現金・キャッシュに余裕があれば不動産を購入して「節税対策」をする

相続対策とは?

相続対策とは,将来の遺産相続に向けられた対策のこと。しかし一口に相続対策といってもいろいろあります。大きな括りをすると以下の三つです。

  • 争族対策(遺言対策・遺産分割対策)
  • 節税対策
  • 納税資金対策

争族対策とは将来の共同相続人の遺産分割紛争を予防すること。要は遺産相続紛争を遺言書を作成等の方法によって防止することです。節税対策とは文字どおり相続税の節税をすること。できるだけ相続税の支払いを節約する対策です。納税資金対策とは,相続税の支払いが避けられないことを前提として,相続人が,ちゃんと期限内に相続税を納めることができるようキャッシュの準備をしておくことです。

節税対策とは?

節税対策は今言ったとおり相続税を節税すること。では,どうやって相続税を節約するか。細かい手法・技法はおいておくと,とにかく相続税の課税対象となる資産・財産を減らすこと,圧縮することです。相続税は相続し遺贈された財産に対して課税され,財産が大きければ大きいほど負担が重くなります。なので,課税対象財産を減らすことがすなわち節税に直結するのです。節税対策で重要なのは,将来相続する予定の被相続人の財産を減らすことです。

不動産の価格

ところで少し話が変わります。土地や建物といった不動産。この不動産の値段はどうやって評価するかご存じですか?とりわけ,相続税を計算するときの不動産の評価方法をご存知でしょうか。不動産の評価には,次のようなものがあります。

  • 公示価格=国土交通省
  • 基準地価=都道府県
  • 路線価=国税庁(財務省)
  • 固定資産評価額=市町村
  • 鑑定評価額=不動産鑑定士
  • 取引価格=民間人の取引による

いろんな評価基準がありますね。詳しい説明はよしますが,上の四つは,それぞれ目的があって,格別の役所が評価した価格。そして鑑定評価額というのは,裁判所等の役所や民間の依頼にもとづいて国家資格者の不動産鑑定士が個別に評価した価格,そして取引価格というのは民間人と民間人がじっさいに売買取引を成立させた価格です。

不動産の相続税評価は割安

話を戻します。相続税の計算をするための不動産の評価は,前記のさまざまな不動産の価格のうちどれを採用するかご存知ですか?それは次のとおりです。

  • 土地=路線価
  • 建物=固定資産評価額

さて,この国税庁が決める路線価は,市場で取引される土地の価格の80%程度になるかと思います(もちろん物件によって誤差があります)。そして建物の固定資産評価額については,新築の場合,市場価格の50%から70%程度になるようです。

不動産を購入して節税する

このとおり,不動産の市場価格と不動産の相続税評価額は違います。通常,相当程度の差額でもって,不動産の市場価格>相続税評価額という関係が成立します。つまり,市場価格は高い,相続税評価は安めであるということです。この差を利用して相続税の「節税対策」をする方法があります。

すなわち,被相続人(親など)の手元キャッシュに余裕があるのにこれをそのまま相続まで置いておくと,その全額が相続税の課税対象になります。対して,被相続人の生前に,この余裕資金を使って不動産を購入し,キャッシュを不動産に変えるとします。そして不動産を所有した状態で相続が開始する。そうすると,相続税の評価は当然所有不動産でもって行い,不動産の評価は路線価等で行われるので,現金と比べると相続財産(相続税の課税財産)を圧縮することができます。そして,必要に応じ,負って相続人が相続した当該不動産を市場価格で売却して現金に戻します。被相続人が余裕資金で不動産を購入し,相続税の課税時期を資産を圧縮した状態でやり過ごし,相続税の処理が済んだら不動産を売却してキャッシュに還元するという節税対策ができるわけです。

さらに,購入した物件を第三者に賃貸で貸し出したり,購入した土地に賃貸マンションやアパートを建築したりすると,大きな節税効果が得られる場合があります。貸宅地や貸家建付地,貸家は相続税評価を低く計算することができるからです。

注意すべきポイント

ここまで読むと夢のような話ですが,注意すべき点もあります。それは,不動産取引(不動産の売り買い)にはコストがかかることです。つまりこれに関連してお金がかかります。以下のようなコストです。相続税の節税のために不動産を購入するのであれば,考えるべきは,このコストと節税効果の比較です。節税効果>不動産取引のコストとなるべきはもちろんです。

  • 不動産業者の仲介手数料
  • 登記費用(司法書士手数料と登録免許税等)
  • 消費税
  • 印紙税
  • 不動産取得税
  • 固定資産税
  • 譲渡所得税

また,相続後に必要に応じて売却処分ができること,損をしない値段で売れることが見込まれねばなりません。物としての不動産を選定する目を持っていなければいけないのです。なので,節税対策のための不動産の購入は,くれぐれも慎重に進めるべきです。実績のある不動産業者や司法書士,税理士等に相談して,リスクの少ない条件で実行してください。

以上まとめるに,余裕資金で不動産を購入することは,,,

「節税対策」に効果的です。

 

現金・キャッシュに余裕がなければ不動産を売却処分して「納税資金対策」をする

納税資金は基本的にキャッシュ

相続税は,相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に申告納税しなければいけません。原則として,現金で税務署に納めます。つまり,相続税が課税されるにもかかわらず,遺産が不動産ばっかりだと,納税資金をどうやって準備すべきか困ります。このように,相続対策において,納税資金をちゃんと準備しておく対策がとても重要です。これを「納税資金対策」と呼んでいます。

要は,相続税を支払えるだけのキャッシュを遺産の中に持っておくことです。

いらない不動産を売却する

そのために,いらない不動産は早期に売却する等処分をするべきです。その理由は次のとおりです。

不動産の売却には時間がかかる

不動産は通常すぐに売れません。さらに相続人が不要だと思うような不動産であればなおさらです。仮にすぐ売れたとしても,契約から買主さんの資金準備(ローン手続き)など,じっさいに代金決済に至るまでには時間がかかります。なので,どうせ売るべき不動産なら早期に不動産業者に売却依頼をかけるべきです。

共同相続人が売却条件で揉めると長引くし税務申告に差し支える

仮に被相続人が不動産を所有した状態で相続が開始し,これを売却して納税資金を準備しなければならないとします。共同相続人が何名かいて,売値などの折り合いがすんなりつくケースばかりではありません。1000万円でいいだろ,いや1200万円で売れるだろ,いや800万円でもすぐ売却してほしい,,,相続人の意見が対立したらどうしますか?購入希望者があらわれても,そんなふうに売り主側でもたもたしていたら,お話が流れてしまうかもしれません。しかも,そんなことで揉めていて遺産分割協議ができないと,あっという間に10か月の期限がやってきて,期限までに相続税申告ができないおそれすらあります。延滞税や無申告加算税を課されることがないよう,相続税の申告期限等は守るべきです。生前,不要な不動産を売却しておくことは,「争族対策」にもなり得るのです。

被相続人(親など)が余裕をもって売却すべき

どうせ不要な不動産なら,被相続人(親)が元気なうちに売却処分してしまいましょう。そのために,司法書士や税理士,実績ある不動産業者に,早期に相談を始めてください。

キャッシュに余裕がない人が,いらない不動産を売却処分すること。このことは,,,

「納税資金対策」

になるほか

「争族対策」

にもなります。

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