相続大全集

葬儀やお墓のことを遺言書に書いてもらうメリットについてお教えします

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葬儀,納骨,永代供養,お墓のことを遺言書に書く

奈良県北葛城郡王寺町の司法書士中尾哲也

葬儀,納骨,永代供養やお墓のことを遺言書に書いて貰うメリットは何でしょうか?

これを考えるには,,,

これらのことを遺言書に書かなかったらどうなるかを考えれば分かります。

葬儀等は亡くなった被相続人が行うものではなく遺族が行うものです。またお墓をどう管理していくかということも,祖先の祭祀(先祖祀り)を行う人が取得したお墓の所有権にもとづいて,その人の意思で行うものです。よって,亡くなって祀られるほうの人間がどういうふうに考えていても,遺された者が自由に行うことができる,そのような状態になります。

分かりやすく言うと,自分が死んだら,どのようにお祀りをしてくれるかは遺族の意向次第,遺族にお任せ,ということです。

したがって,自分の死後の,葬儀や納骨,永代供養にお墓のこと,これらのことについて想いのある人は,なんとかその想いのとおりにやってもらう方法はないかと考えることになります。また,親の祭祀などについて誰がどのようにするのかはっきりしておきたい(自分がやりたい,長男にやってほしいなど)遺族や相続人のサイドも,いまのうちにそのあたりをはっきりし,心づもりをして,心配事を減らしておきたいと考えます。

そこで,葬儀,納骨,永代供養,お墓のことなどを,できるだけ関係者の希望通りになるよう,生前に決めておく方法をご紹介します。

 

法的効力を持たせる方法

まずは,生前に決めておいたこれら内容を,法的に守ってもらう効力のある方法を紹介します。できれば,取り決めをした以上,これに法的な効力があるほうが望ましいです。

条件付遺贈や負担付遺贈をする

長男や特定の相続人が,ぜったいに欲しがる財産を譲渡(遺贈)する条件等として,葬儀の執行や納骨,永代供養そして墓守りをすること等を取り決めておく方法です。例えば同居していて長男がぜったいにそのまま居住を継続したいであろう自宅不動産や,高額の預貯金,安定企業の株式,希少性のある美術品などです。

これらをその相続人等がもらおうとすると,必ず葬儀や墓守りをしなければいけないと決めておくのです。書き方によって,これらの遺贈は,条件付遺贈負担付遺贈と呼ばれるものとなり,その内容に法的な効力が生じます。つまり葬儀等をしっかり行わないと,受遺者である相続人は,その財産を確定的に取得することができなくなるのです。

例えばこのような遺言書を書きます。


遺言書

自宅不動産を長男に遺贈する。ただし,長男が,以下の事柄をしっかり行うことを条件(又は負担)とする。

  1. ○○宗○○寺の住職の指示にしたがい葬儀をすること
  2. その寺に納骨と永代供養をお願いし,永代供養料を支払うこと
  3. 墓守りを適切に行い墓を清潔に保ち一族の名誉を汚さないこと

年月日
遺言者 ○○ 印


  • 細かい話ですが,この場合,「遺贈する」としてください。「相続させる」としないように。相続させるとすると,遺言書の内容は,遺贈ではなく「遺産分割の方法の指定」と解釈され,以下の法律による取消請求ができなくなるおそれがあります。
  • 「条件付遺贈」と「負担付遺贈」は厳密には意味が違います。よってじっさいに遺言書を作成するときは,条件なのか負担なのかを分別し,遺言書作成の趣旨が実現できるように検討します(上記文案は単純化しています)。司法書士に相談ください。

(負担付遺贈に係る遺言の取消し)
第千二十七条  負担付遺贈を受けた者がその負担した義務を履行しないときは、相続人は、相当の期間を定めてその履行の催告をすることができる。この場合において、その期間内に履行がないときは、その負担付遺贈に係る遺言の取消しを家庭裁判所に請求することができる。

死後事務委任契約を締結する

上記に,葬儀等をしてもらうことを遺言書で決めておくには,その内容を,財産の遺贈の条件や負担として決めておくと書きました。どうしてそうするかと言えば,それは,そうしておかないと,葬儀等の取り決めに法的効力がないからです。

実は,それ単独で遺言書に書いて法的に意味のある内容は,法律(民法)で決まっていて,一定の事柄に限定されています。厳密にいうと,葬儀等のことは,これに含まれません。だから財産の譲渡とセットにして守ってもらえるようにしたんです。財産の譲渡は遺言書に書ける内容であり,それとセットにすることで,葬儀等のことにも法的効力を持たせたのと同様の効果が期待できるわけです。

しかし,そういう方法を使わなくても,葬儀等の決め事に法的効力を持たせる方法があります。それが,亡くなる予定の人と,葬儀や墓守り等を行う予定の人の間で,生前に,「死後事務委任契約」を締結しておく方法です。死後事務委任契約という契約をしておくのです。

死後事務とは,被相続人が法的に遺言書で決めておくことができる財産処分などのこと,つまり「遺言書に書いて法的効力があること以外のいっさいの事務」のことです。遺言書に書いても法的効力が認められないことが多いので,それを生前の契約によって決めておきましょうということです。契約には当然法的効力があるので,そのとおりにやってもらうことを期待できるし,受任者にはそのとおりにする法的義務があります。死後事務委任契約についてはまた別途触れるので,ここでは詳しく述べません。例えば次のような文面で作成する契約だと思ってください。


死後事務委任契約書

受任者は次の事務を行う。

  1. 医療費の支払いに関する事務
  2.  家賃・地代・管理費等の支払いと敷金・保証金等の支払いに関する事務
  3. 老人ホーム等の施設利用料の支払いと入居一時金等の受領に関する事務
  4. 通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬に関する事務
  5. 菩提寺の選定、墓石建立に関する事務
  6. 永代供養に関する事務
  7. 相続財産管理人の選任申立手続に関する事務
  8. 賃借建物明渡しに関する事務
  9. 行政官庁等への諸届け事務
  10. 以上の各事務に関する費用の支払い

委任者が死んだら次の者に連絡する
葬儀等は○○宗○○寺の住職にてする
遺品整理は○○に依頼する
受任者は適切に墓守りもする
受任者の報酬は30万円とする
受任者は1か月後に相続人に状況を報告する
この契約の効力は委任者の死亡によって消滅しない

年月日
委任者 ○○ 印
受任者 ○○ 印


 

法的効力はないが事実上の強制力を持たせる方法

先ほど,単独で遺言書に書いて法的に意味のある内容は,法律(民法)で決まっていて,一定の事柄に限定されていると言いました。これを遺言事項と呼びます。葬儀等のことは,遺言事項に含まれれません。なので,葬儀等のことをそれ単独で書いても,その内容,取決めに遺言書としての法的効力はありません。なので,れっきとした遺言時効である財産の譲渡とセットにして法的効力を持たせる方法を先にご紹介しました。

では,葬儀,納骨,永代供養及び墓のことを,単独で遺言書に記載することに意味はないでしょうか。法的効力,つまり法的な意味はないですが,事実上の効力,事実上の意味,じっさいの効力はないと言えるでしょうか。

これは否でしょう。つまり,葬儀等のことを遺言書に書けば,それは遺言書として法的効力はなくとも,遺言者の死に際した遺志として,事実上指示された人を拘束することが多いでしょう。分かりやすく言うと,「あの人が希望したことだからそのようにしてあげよう」「やらないわけにはいかないな」という具合になるのが人情というものです。ましてや,葬儀や墓といった宗教的なことについては,日本人の宗教観から,そうそう故人の,そして先祖の遺志をないがしろにすることなどできないはずです。

なので,これらのことを,単独で,遺言書に書くことには,事実上大きな意味があるというべきでしょう。きっと守ってもらえる可能性が高いと思います。

葬儀,納骨,永代供養,そして墓の管理等について強い希望があるが,長男や子供ら相続人にそれを押し付けることはしたくない。私の気持ちは分かって欲しいが,強制はしたくない。できれば自発的に,自然な形で,祖先の祭祀を継いでもらえるとありがたい。むしろそうでなければ(気持ちがこもっていなければ,精神面が伴っていなければ),法的に強制したところで意味がないと思う。このように考える人は,あからさまに財産譲渡の条件に祭祀のことを記載することを望まないかもしれません。そういった直接的な言い方は,事柄の性質になじまないと思われるかもしれません。

係る場合は,遺言書の「付言事項」として,遺言書の最後にひっそりとこれら事柄を書き足しておくとよいです。付言事項というのは「おまけ」や「追伸」というほどの意味です。「遺言事項ではないが,できれば守ってほしいなあという遺言者の願いごと」です。


遺言書

自宅は長男に相続させる
預貯金は次男に相続させる
証券口座は長女に相続させる
遺言執行者として長男を指定する

【付言事項】
長男へ

  • 人並みに葬儀してください
  • 納骨や永代供養を○○寺さんにお願いします
  • お墓のことを宜しくお願いします
  • なお,長男が大変なときは,兄弟で協力してやってください
  • みんな仲良くしてください

年月日
遺言者 ○○ 印


遺産相続が専門で得意分野とのことですが、どんな相談や依頼ができますか?

営業エリア・業務地域を教えてください。

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