相続大全集

意外な真実が!親が元気なうちに戸籍謄本を集めておくべき理由についてお教えします

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親の生前,生きているうちに戸籍謄本を収集

親が死んで相続の手続きをするときに,戸籍謄本やら除籍謄本?やら戸籍附票やら,,いろんな書類を要求されて難儀したと友達から聞いたので,できれば親が元気なうちにちょっとずつそれらの書類を集めて準備しておこうと思うんですが,どうでしょう?必要ないことでしょうか?死んでからやれば十分でしょうか?

奈良県北葛城郡王寺町の司法書士中尾哲也

最近は,両親の生前に,「家系図」「親族関係図」「相続関係説明図(予定)」などを作っておこうとする方もいるようです。自分の家系ってどうなってるか気になるからとか,将来の相続に備えてとか,作っておく目的は様々でしょう。

さて,家系図や,親族図,相続関係説明図,,,このような書類を正確に作るには,両親はじめ親族の戸籍謄本などを収集することが不可欠です。親族関係や身分関係を公的に証する書類は,戸籍謄本等のほかにはないからです。

では,両親が生きているうちに,一族の戸籍謄本等を集めて親族図等を作っておくことは必要でしょうか。またおすすめできることでしょうか。将来の遺産相続に備えて,両親等の戸籍謄本を集めておくことはよいことなのでしょうか?

今日は,この点について,結論,そして理由と,ざっと説明していきます。

 

親が元気なうちに戸籍謄本を集めておくべきかどうか

はい。可能であれば集めておくべきです。

 

親が元気なうちに戸籍謄本を集めておくべき端的な理由

理由を一言で述べると次のとおりです。

  1. 親が死んでからだと時間がかかるから
  2. ほかに相続人がいると影響大だから(相続手続のやり方が変わるから)

 

親が元気なうちに戸籍謄本を集めておくべき詳しい理由

では,もう少し詳しく,その理由を説明していきます。ちょっとややこしいですが,ついてきてください。

親が死んでからだと時間がかかるから

冒頭あなたがおっしゃるように,相続手続で戸籍謄本や除籍謄本を集めるのに苦労した話はよく聞かれます(司法書士に頼めばいいんですが,,)。親が死んで大変忙しいときに,不動産の名義変更をしたり,預貯金の解約払戻しをしたり,また保険金の請求をしようとしたが,書類をいっぱい出せといわれて難儀したというのはよくある話です。

そもそも面倒くさい。そして書類の取り方や見方が分からない。複数の役所や遠方の役所に請求しないといけない。集めた書類のまとめ方もわからない。何だなんだか分からないのに,役所や銀行から,「あれも足りない」「これも足りない」と言われた。そんなこんなで,かなり時間もかかってしまってうんざりだ,という訳です。

親が死んでから戸籍謄本等を集めようとすると,面倒だし,時間がかかるとは,果たしてどういうことでしょうか。なぜそうなるのでしょうか。戸籍謄本を集めるのに時間がかかる理由をこの際もう少しだけ突っ込んでお話してみます。

そもそも戸籍とは

簡単にいうと,戸籍とは,国が国民を登録して把握するための制度です。日本の戸籍は昔々からあります。人が生まれると,出生届を出しますね?国は,これをはじまりとして,国民を戸籍に登録します。そして,この戸籍といろんな法律制度を結び付けて国民生活を管理し,国民も同様に戸籍とのかかわりの中で生活を営みます。婚姻や相続などが代表的なものです。

戸籍のでき方

現在の日本の戸籍法においては,戸籍は,「夫婦と子供」の単位で作ります。つまり,子供が結婚をしたら戸籍から抜けて,子供の名前で独立した戸籍が作られます。戸籍から抜けることを「除籍」といいます(戸籍から全員が抜けた抜け殻の戸籍も同じく「除籍」といいます。ややこしいですね)。一方,結婚して妻が夫の戸籍に入るような場合を「入籍」といいます。戸籍は,「本籍地」という概念で一定の土地と結び付けて作ります。「どこどこ の だれだれ」の戸籍という形です。戸籍には代表者がいて,これを「筆頭者」といいます。昔でいうところの「戸主」です。なお戸籍は住所登録の制度(住民票)とは違うので,住所地で作る必要はありません。つまり,住所地と本籍地は異なる概念です。本籍地は日本国内の土地ならどこであってもよく,自分と何のかかわりもない土地を本籍地として設定して戸籍を作ってもかまいません(普通は昔ながらの先祖の土地のままにしておいたり,住所地に合わせたりしますが)。

相続手続で集めないといけない戸籍とは

さて,相続手続で集めないといけない戸籍とはなんでしょうか。これは,要するに,「被相続人が死んでいることが分かり,かつ法定相続人がほかにいないことが完璧に証明できる,取りうる限りすべての戸籍謄本等」になります。

仮に,父親が死んで,子供が相続人になる相続を例にとると,次のとおりになります。

  • 親の出生から死亡に至るまで全部のつながりのついた戸籍謄本等
  • 法定相続人(子供)全員の現行の戸籍謄本

さて,どうしてこんな面倒なことをしないといけないんでしょうか?親の死んだことが分かる最後の戸籍謄本(除籍謄本)と,子供の戸籍謄本があればそれでいいじゃないか?だって子供は間違いなく第一順位の相続人なんだから,,と思われますか?しかしこれでは足りないんです。なぜかというと,,

父親の昔の戸籍をたどると,認知をして他に子供がいたり,養子縁組をして他に子供がいたりする可能性があるからです。いや,あなたの父親の相続に限ってそんなことはないと思いますが,戸籍法の仕組み上,そういう可能性が否定できないんです。なので,そういうことがないということを100%証明するために全部の戸籍を集める必要があるわけです。

戸籍は,戸籍法という法律にもとづいて作られます。何度か法律が改正されて戸籍の仕組みはかわっているわけですが,先に述べたように,結婚等の事実があれば,古い戸籍から除籍して,新しい戸籍が作られます。この新しい戸籍が作られた際,古い戸籍に書いてあった事柄のどれだけを新しい戸籍に書き移すのかは,法律によって決まりますが,認知や養子をした事実が前の戸籍にしか載っていないということが法律上ありうる仕組みになっているんです。なので,生まれたときから,死ぬまで,戸籍を全部取得してつなげる必要があるんですね。そう,後で述べますが,他に子供がいたら,その人も相続人になりますので。

以上のように戸籍は複数集めないといけない。親の出生分までさかのぼって集めないといけない。時間がかかります。なお,父親が死んで子供が相続人になる場合に集めないといけない戸籍を再確認しておきます。

  • 親の死亡が記載された最後の戸籍謄本
  • 戸籍の電子化(コンピュータ化)前の改製原戸籍
  • その他戸籍法改正前の改製原戸籍
  • 親が結婚する前に入っていた祖父母の戸籍謄本(除籍謄本)
  • 相続人全員の戸籍謄本

複数の役所で集めないといけないことも?

先ほど戸籍は本籍地と筆頭者で作られると言いました。その本籍地は,住所地とは関係がなく,どこに置いてもいいと言いました。田舎の土地にしてもいいし,住所地にしてもいい,東京の皇居の土地にしてもいいし,京都御所の土地に設定しても理屈上はかまいません(じっさいこのような戸籍が多数あるらしいです)。そして,この本籍地は,戸籍を作るときに1回きり設定できるものじゃなくて,あとから,本人の意思で他の場所に移すことができます。自分たちの意思で戸籍の本籍地を移すこと,これを「転籍」といいます。

さて,戸籍というのは,本籍地のある役場の単位で管理されています。つまり,役場の市町村内に本籍地がある限り,戸籍はその役場が管理します。他の役場に本籍地が移れば,その役場はお役御免で,今度は他の役場が当該戸籍を管理します。このことにより,もしあなたの父親や祖父母が,本籍地を転々と移していたら,それぞれ違う役場に戸籍謄本や除籍謄本を請求しないといけないのです。市町村役場は,自分が管理していた期間の戸籍謄本や除籍謄本しか保存していないので,違う役場の管内に転籍した後の戸籍謄本等を請求されても記録がないので無理だからです。

戦後,本籍地はそれほど重要視されなくなり,転籍によって住所地(マイホームを買った都市部の住宅地など)に本籍地を移す人が増えました。引っ越しごとに本籍地を移している方もおられます。こういう方が亡くなった場合,相続手続に必要な戸籍を集めるのも一苦労です。仕方がないことですが。

どうですか?戸籍というのは案外面倒なものでしょう。どこかの役所で1回請求すれば全部の証明書を1発で出してもらえるというものでは必ずしもありません(そういうこともありますが)。場合によっては,戸籍収集にかなりの時間・手間・費用を要します。なので,親が生きているうちにぼちぼちと戸籍を集めておくのをおすすめする次第です(親が死んだら,死亡届をして,死亡の記載のある戸籍や除籍だけ追加すれば足りる)。

ほかに相続人がいると影響大だから(相続手続のやり方が変わるから)

上の説明に出てきたのでお分かりの方もいらっしゃるでしょうが,親,祖父と戸籍をたどっていって,万が一にも他に子供が出てきたとします。あなたからすると兄弟です。父親が死んで子供が残されれば,子供は第一順位の法定相続人になります。この子供に条件はありません。子供というだけで法定相続人です。一度も会ったことがないとか,親から話を聞いたことがないとか,親も見捨てていた?とか,,そういったことは一切考慮されません。

親がもし遺言書を作成していないとすれば,この法定相続人の存在を無視することはできません。これを放置して相続手続を進めることは不可能です。すなわち,父親の相続に関し,いま発見したその子供も法定相続人として,一緒になって,遺産分けの話合い,遺産分割協議をしなければいけないんです。

しかし,,父親が亡くなったことも知らないし,他の兄弟の存在も知っていたかどうか分からないその法定相続人が,あなたから急に連絡をもらって,すんなり相続書類に実印を押してくれるでしょうか。大事な印鑑証明書を預けてくれるでしょうか。ましてや,あなたが遺産の取り分を多くもらおうとする連絡であれば,相手方はどのようにこれを受け止めるでしょうか。

だから。こういう場合に備えて,親が生きているうちに,戸籍謄本等を収集し始めるのがいいんです。父親が事業をしていて昔はぶりがよかったとか,女性関係で母親が苦労したとか,そういったケースではますますそうです。嬉しくないことかもしれないですが,あなたのほかに子供がいないともかぎりませんよ。もし早期発見できれば,こういう対策がとれます。

  • 親にお願いして,公正証書遺言などの遺言書を作成してもらう(あなたが全部相続する内容で,遺言執行者をあなたに指定するもの)
  • 事前に手紙などで連絡して,相続の際の話合いがスムーズにいくよう相手の意向等を調査する(相続に対する考えを聞いておく)

奈良県北葛城郡王寺町の司法書中尾哲也の写真楕円形

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