相続大全集

親に借金はないか?保証人になってない?絶対に聞きだしておくべきこれだけの理由

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親の借金・保証人を相続

うちの父親は何年か前に家業をたたんで,取引先の中小企業の社長さんに拾ってもらって働いています。もう定年になる年齢なのに頑張ってくれています。以前父親に会社をたたむときどうしたの?法的に整理したの?と聞いたら,「大丈夫だ」「心配ない」などと言っていました。でも本当に大丈夫なのかと,私としては納得いっていません。というのも,あれから何回か,個人名でうちに電話がかかってきたこともあるし,差出人が書いてない封筒や,知らない会社名の封筒が父親宛てに届いていたのを知っているからです。父親はまだ頑張ってくれていますが,それもやはりお金に余裕がない証拠なのだろうと考えており,将来父が死んだときに借金があったらいやだなあと思っています。今のうちに,もう少し突っ込んで聞いておいたほうがいいですよね?

そうですね,そのほうがいいです。

そう遠くはない将来,来る父親の相続ということを考えたとき,父親に借金・負債・ローンがないか,詳しく聞いておいたほうがいいでしょう。

 

債務は相続されるから

債務は相続されます。遺産相続においては,被相続人の資産も負債も,あらゆる権利や義務や契約上の地位等が相続人に引き継がれます(一身専属権を除く)。

(相続の一般的効力)
民法896条  相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

なので,債務・負債・ローンの問題は,父親だけの問題ではなく,父親の死後はあなた自身の問題になります。あなたに兄弟がいて,共同相続になれば,相続人のみんなにその債務が相続されます。このとおり債務は相続されるわけで,相続開始後はあなたにその支払義務が引き継がれるので,あなたは父親から債務のことを聞き出しておくべきです。また父親としても,これに応えてあなたに伝達する道義的責任があるというべきでしょう。

 

聞かないと分からないから

とはいえ,父親の存命中は,その債務は父親にのみ帰属しています。父親の債務であってあなたの債務ではない。なので,父親だけがその金融機関とやりとりする権利があり義務があります。すなわち,父親が,自分の意思であなたに話をしてくれないと,あなたとしては,父親の債務の詳細を知るすべがありません。あなたには,現状,父親の債務についてあれこれ調べる法的権利がないからです。あなた自身の切実な問題であるけれども,現状あなたが独自にこれを調べる法的権利がない。なので,父親から,直接に,債務に関する情報を聞き出しておく必要があるのです。

 

相続放棄できなくなるから

債務は相続され,相続開始後は,あなた自身がその支払いの義務を負うと言いました。しかし,あなたが父親の財産のいっさいを放棄する場合は,その支払い義務を負わないで済みます。遺産相続をしても,相続を承認するか放棄するかは,民法上,あなたに任されているからです。あなたがいっさい関与していないところで作った負債の責任を負わされることはない,というのが民法という法律の基本的な考え方です。ということで,もし債務が過大で,あなたが相続放棄をするためには,以下条文に書いてあるとおり手続きしなければなりません。

(相続の承認又は放棄をすべき期間)
民法915条1項  相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月内に家庭裁判所に書類を出して相続放棄しなければならないと書いてあります。

ところで,もしあなたが父親から債務のことを知らされないで,父親が亡くなったとします。父親が最後に頑張って貯めた200万円という預金が遺産としてあったとします。あなたは,父親には債務はないだろうと良いほうに解釈して,200万円を相続することにした。この事実関係において,死後半年して,債権者から500万円支払ってくれという文書が届いたらどうしますか?こういうケースでは,原則として,あなたは相続放棄ができません。したがって,あなたは自己の責任において,500万円を支払う必要があります。

このように,あなたが債務の存在を知らないと,せっかく法制度として用意されている相続放棄をする権利を失うことになります。なので,生前父親から債務の存在を聞き出しておかないといけないのです。

 

損害金が膨らんでいるかもしれないから

父親が会社をたたんだ際,債務の支払いを放置していませんか?取引先や親族など,支払える範囲で支払って,銀行,クレジットカード会社,消費者金融のローンから逃げていませんか?ほっぽり出してそのままになっている,という事実はありませんか?もしそういう事実があると,遅延損害金が積み重なって,債務額が膨れ上がっている可能性があります。

例えばあなたが父親から「負債はあるにはあるよ。100万くらい」と聞いていたとする。父親が死んだら200万円キャッシュがあった。あなたは請求されたら遺産で払おうと考えて相続放棄も調査もせず,そのままにしていた。3か月が過ぎた。債権者から遅延損害金を含めて250万円の請求が来て驚いた。こんなことになる可能性が往々にしてあります。遅延損害金は非常に高いですよ。サラ金だと,利息制限法による利息が18%で,遅延損害金がその1.46倍の26.28%にもなります。4年放置すると,借金は2倍を超えます。

ということで,あなたは父親から,「放置している債務はないか」聞いておく必要があります。

 

消滅時効を使って解決できるかもしれないから

父親が死んで遺産が200万円あったとします。あなたは,父親から,借金が450万円くらいあるよと聞かされていたとします。あなたとしては,父親が頑張りに頑張って200万円ものお金を遺してくれたので,できるだけ相続放棄はしたくありません。しかし借金が450万円もあると債務超過で,250万円もマイナスなので,相続放棄するほか選択肢がありません。

しかし,450万円あると思っていた借金は,もしかすると全額支払わないでいいかもしれません。又は,450万円のうち,1社分の100万円だけ支払って,後は支払わないで済む可能性があります。借金の消滅時効期間が経過していて,あなたがその消滅時効の援用をする場合です。

銀行やローン会社の債務は,時効中断事由があって後,5年で消滅時効にかかります。ただし,訴訟を起こされたり裁判上の請求を受けている場合は,時効期間は,確定後10年に伸びます。消滅時効の中断事由として分かりやすいのは「債務の承認」です。父親が最後に弁済をしたり,支払いの念書を書いていたりすれば,それが債務承認にあたります。

父親から放置している債務の内容を聞いておけば,債務の消滅時効期間の経過を知ることができます。訴訟を起こされてないかも聞いてください。これによって,あなたは父親が残した遺産を相続放棄によって失うことなく相続を承認できる可能性があります。

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