相続大全集

なぜ親の財産の内容を聞きだしておかないといけないかお教えします

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遺産相続に備え親の財産の内容を聞き出す必要性

「私が死んだら遺産は兄弟で分けなさい。家はお前が継いだらいいじゃないか」

と親に言われています。しかしただそれだけ。親がいくら持っているのかとか,どこに,どんな財産があるのかとか,そういうことはいっさい聞いてないです。まあ家は分かりますが,,親もいい年になって,忘れっぽくもなってきたようなので,そろそろ遺産相続のことを考えておいたほうがいいのかと。ただ,あんまり詳しく親に財産の内容を聞くのもはばかられまして,,,どんなもんでしょう。親にもうちょっと詳しいことを確認しておいたほうがいいんでしょうか,,,

奈良県北葛城郡王寺町の司法書士中尾哲也

そうですね。もうちょっとつっこんで財産の内容を聞き出しておくことをおすすめします。では,なぜそうなのか,という理由を今日は説明します。

「争族対策」を,あなたから,提案できないから

「争族対策」というのは,三つほどある相続対策の一つです。相続対策というのは,およそ来る相続問題に対処すべき事柄の総称です。

  • 争族対策
  • 節税対策
  • 納税資金対策

さて,争族対策とは何か。文字どおり,遺産相続に関して一族で争い揉めることがないように対策すること。相続の相の字をもじってつくられた造語です。さてと,,,

どうして揉めるの?

「うちは揉めないよ,だってみんな法定相続分でいいって言ってるから」,,,ごめんなさい。それでも揉めます。法定相続分のいうのは,遺産の取り分,遺産全体に対する割合のことですね。財産評価して3000万円の遺産の相続分が1/3なら,1000万円分の遺産をもらえる,と。しかし財産はキャッシュや預貯金ばかりとは限りません。家があった場合どうしますか?家の価値が2000万円だったら?家を継いで相続する人は他に何ももらえなくていいの?それとも相続分を超えてもらった余剰価値を他の相続人に個人財産で償うの?このとおり法定相続分で相続するといっても,そう簡単にいかないのです。なので,親が生きてるうちに,財産の種類や内容をちゃんと聞きだしておいて,ちゃんと割り振りができるかどうか知っておくべきなのです。財産の中に○○物産の株式が入っていて,もしかしたらすべての相続人がその株式を欲しがるかもしれませんよ?

どうやって対策するの?

親の財産が分かったら,共同相続人の間で遺産分け・遺産の割振りについて合意できそうか話してみてください。これは揉めそうだなと少しでも感じたら,親に争族対策をしてもらうようお願いしましょう。では,争族対策はどうやってするのでしょうか。それは,遺言によってします。遺言書を書いて(作成して)もらって,遺言書の中で,遺産分けの方法を指定しておくのです。こういう行為を,遺言書による「遺産分割の方法の指定」といいます。そもそも財産を第三者にあげてしまうことだってできる遺言のこと。遺言者が,遺言の中で,共同相続人間の遺産の割振りを指定することもできるんです。「家は長男に」「株式は次男に,相続させる」という具合です。遺言書で,遺産分割の方法を指定することによって,将来の相続紛争を予防することから,争族対策は,別名,「遺産分割対策」とか「遺言対策」などと呼ばれます。

ともかく,将来遺産分割で揉めそうかどうか判断するために,親の財産を聞き出しておく必要があるのです。

 

「節税対策」を,あなたから,提案できないから

次は「節税対策」です。節税対策とは,将来課税されるであろう相続税の負担を無くしたり,軽減したりして,相続税の支払いを節約することです。これ,親の財産を聞き出して,財産のおよその評価をしてみないとできません。親の財産を相続税評価して,相続税がかかりそうかどうか試算してみる。相続税の基礎控除額を上回る財産評価になるかどうか計算してみるんです。これにより,節税対策が必要か否かを判断します。

そしてどうやら相続税がかかりそうなら,どんな節税対策をすれば,相続税の負担を限りなく少なくできるのか,節税対策の具体的な方法と内容を決定します。これには,親の財産の種類や内容を正確に知ることが必要です。節税対策には,個別具体的な事情に応じて,さまざまなメニューやノウハウがあるからです。節税対策には,,,

  • 相続税の課税財産を減らす
  • 相続税の基礎控除額を増やす

という二つの考え方があるところ,相続税の課税財産を減らすには,,,

  • 法定相続人や孫に生前贈与する
  • 生命保険契約をして保険料を支払う(生命保険金の非課税枠を活用)
  • キャッシュを不動産にかえて計算上の財産的価値(相続税評価)を下げる
  • 生前にお墓を買う(祭祀財産は相続税の非課税財産)

などなどの手法があります。そして,法定相続人や孫に対する生前贈与にも,いろんなメニューやその優先順位というものがあります。

つまりは,親の財産をできるだけ正確に把握することなしに,相続税の節税対策の具体的内容を検討することはできないし,節税対策の具体的内容を検討できなければ,当然ながら,相続税を節約できないとう結果が待っているのです。相続税は相続人であるあなたが支払うものです。なので,あなたから親に対して,積極的に節税対策の提案をしましょう。そのために,まずは親の財産の種類内容を聞き出すのです。

 

将来親が死んだとき,遺産を探す(調査)のに苦労するから

財産を一括して全部調べる方法はない。

日本には,現状,ある人の財産を一括して調べることができるような場所(機関)もなければ仕組み(法制度や民間のサービス)もありません。これは相続のとき,つまり死んだ人の財産についても同じです。なので,親が死んだら,財産があるだろう先に1件1件確認して,相続手続をしていかないといけないんです。財産があるかないか分からなければ,やっぱり問い合わせて調査しないといけないので大変です。

  • 不動産は,国(法務省)の法務局が管理しているので,法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取って調べます。
  • 銀行預金は,各銀行に問い合わせて調べます。銀行協会などが一括でやってくれるわけじゃないです。
  • 証券口座もそう,各証券会社や信託銀行に聞いて調べます。証券業協会は何もしてくれません。

そんなこんなで,親の財産をあらかじめ聞き出しておかないと,どこの銀行にどんな商品があるのかわからない。田舎に土地があるらしいがどこだか分からない。何らかの手がかりを頼りに,1件1件確認していく作業が待っています。この点,生前に親からおよその内容を聞き出していれば,「あるかもしれない」「ここにはない」こと程度は分かります。それだけで相続手続の負担は著しく減るでしょう。なので,生前に親の財産を聞き出しておく必要があるのです。

死後は忙しい

以上のようなことに,親が亡くなってバタバタしているときに,ゆっくりと取り組むことができますか?もしあなたが仕事をしていて,重要なプロジェクトに取り組んでいたら?そうじゃなくても,役所の手続き等,たくさんの死後事務を片づけていかないといけないときに,あるかないか分からない財産をしっかり調査できるでしょうか。

ちなみに相続税の申告は,相続等を事実を知ってから10か月以内です(所得税の準確定申告は4か月)。10か月以内に財産をちゃんと調査して,財産評価をし,遺産分割を済まして,税務署に申告書と税金を納めます。10か月はすぐ過ぎます。銀行預金の調査一つで,1か月,2か月,3か月とかかることもあるのです。いきなり銀行にパッと行って,その場で明細書を出してくれるものではないので,すべての財産を盛れなく調査して,財産目録を作るのは結構ハードです(そのため早期に司法書士や税理士に相談して依頼します)。生前に財産内容をある程度聞き出しておかないといけない所以です。

見つからずに放置された預貯金は国に没収されてしまう?

いま,高齢社会になって,銀行に忘れ去られて放置されている預貯金が毎年1000億円を超えるらしいです。なので,通算して銀行に貯まっているお金はとんでもない金額になります。このお金,法律上は,5年もすれば時効によって銀行が取得することができます。もったいないですよね。これを狙って政府も動いています。震災にからみ,この銀行に眠っている「休眠預金」政府財源として活用しようとする動きがありました。いったん法制化は見送られましたが,昨今の財政状況に鑑み,またこの議論が再熱すること必至でしょう。

あなたが知らない銀行やゆうびん局や農協などの支店に,親がへそくりの財産を持っているかもしれません。へそくりなら聞き出すのに苦労するでしょうが,このような事情もありますので,できるだけ話してもらうのが望ましいでしょう。というか必須です。ここはあなた積極的に動いて,親と話をしてみてください。

奈良県北葛城郡王寺町の司法書中尾哲也の写真楕円形

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