相続大全集

親に決意してもらわないと節税対策(相続対策)ができないこれだけの理由

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節税対策や相続対策は親の決意,協力,同意が必要で不可欠

先の相続税法の改正によって,相続税の基礎控除額がかなり引き下げられました。従来なら相続税がかからかった人のうちこの法律の改正によって相続税がかかるようになる人も少なくないと思います。基礎控除額は,以下の式によって算出した財産額になりましたので,仮に法定相続人が1名しかいない相続においては,なんと基礎控除額は3600万円しかありません。都市部に不動産を所有し,預貯金等が一定程度あると,不動産について小規模宅地等の特例を適用しても,相続税がかかる人が多く出てくるでしょう。

相続税の基礎控除額=3000万円+法定相続人の数*600万円

ということで,うちには相続税がかからないのか?相続税がかかるとすれば対策をしないといけない!と考える向きも多いように思います。じっさい当事務所でもそのようなご相談を受けるようになりました。無理もないことです。

ところで!

推定相続人であるあなた相続税について心配をし,対策をすべきかどうか検討したいと考えたとしても,ご両親等の被相続人になられる方のご協力がなければ何も進みません。つまり相続対策,節税対策は,何一つできないのです。

そう,節税対策(相続対策)をするには,親に決意をして,行動してもらわなければいけないんです。今日のタイトルは,「親に決意してもらわないと節税対策(相続対策)ができないこれだけの理由」です。

 

相続対策とは何か,そのポイント

親に決意してもらわないと節税対策(相続対策)ができない!と言っても,そもそも節税対策(相続対策)とは何ぞや?ということでは話になりません。よって節税対策・相続対策とは何かを押さえておきます。

相続対策とは?

相続対策は,以下の三つの対策の総称です。

  • 争族対策=相続で揉めないための対策。別名,遺言対策・遺産分割対策
  • 節税対策相続税を節約するための対策
  • 納税資金対策=相続税をキャッシュでちゃんと払えるように準備する対策

節税対策とは?

以上のうち,節税対策には,大きく分けて二つの方法があります。以下の二つです。

  • 相続税の課税財産を減らすこと
  • 相続税の基礎控除額を増やすこと

相続税の課税財産を減らすには?

対策のうちでより重要な,相続税の課税財産を減らすことにフォーカスすると,,その方法は,,

  • 法定相続人や孫に生前贈与する
  • 生命保険契約をして保険料を支払う(生命保険金の非課税枠を活用)
  • キャッシュを不動産にかえて計算上の財産的価値(相続税評価)を下げる
  • 生前にお墓を買う(祭祀財産は相続税の非課税財産)
    などなど

以上,一口に相続対策と言っても,いろいろあるのがお分かりいただけると思います。いろいろあるよ,ということだけご認識いただければ,ここはそれでよいです。

 

節税対策(相続対策)をするには親に決意してもらわないといけない理由

では本題の,親に決意してもらうべき理由をざっと挙げていきます。

遺言書が書けないから

子供が将来の相続で揉めないためには公正証書遺言など遺言書を書いてもらうことがとても有効です(争族対策)。相続税がかかる場合には,遺産相続をした財産の割合に応じて税金を支払うことになるので,共同相続人としては,どういう財産を相続するのかとても大切になります。さてそんな遺言書は,当然ですが,遺言者が自分で書いたり,公証役場で手続きすることが必要で,他人がどうこうできるものではない。あくまで親が遺言者として手続きしないと遺言書を作成することはできません。なので,親に決意してもらわないと,遺言書が書けず,相続対策はできないのです。

遺産分割の方法の指定(親・遺言者の意思による遺産分けの指示)ができないから

親としては,家は誰が継いでほしいとか,預貯金は誰が相続してほしいとか,きっと考えるところはあるはずです。あなたとしても,家が欲しいとか,むしろ預貯金が欲しいとか,それなりに希望だってあるでしょう。これら遺産分け(遺産分割)を,親の生前に決めておく方法は一つだけです。それは,親が,遺言書で,遺産分割の方法を指定することです。つまり生前における遺産分割の方法の決定には遺言書の作成が不可欠であり,遺言書は親しか書けないものだから,やはり親の決意と協力が必要になるわけです。

親の「財産」が分からないと,,

相続税の試算ができず,そもそも節税対策すべきかどうか分からないから

親が決意し,あなたに財産内容を教えてくれないことには何もできません。あなたが銀行に行って,残高証明が取引明細を請求しても,親の委任状がなければ銀行は出してくれません。それは当然,まだ,親が生きていれば,親の財産であってあなたの財産ではないからです。したがって代理人ではないあなたが親の財産を調べるには限度があるのです。親の財産内容が分からないとその評価額を調べることもできません。親の協力なくしてはそれはできません。そうすると,もし親が死んで相続が開始したときに,相続税の課税財産がどれほどあるのか,財産を査定評価し,相続税の試算(シミュレーション)をすることができません。すなわち,親の財産がわからないと,相続税の試算ができず,節税対策の必要性すら判断できないのです。よって根本的に,節税対策をするには,親に決意してもらい,協力をもらって,財産内容を調べることが必須になるのです。

相続税がかかるとして実行すべき節税対策の程度が分からないから

いま申し上げたところの当然の帰結として,親が一部財産を明らかにしないとか,大事なところを言わないとか,そういうことがあると,やはり節税対策はできません。相続税はお金の算数なので,計算の前提となる数字を確定・入力することが大事です。当たり前ですが。一部財産が分かっても,一部分からないところが残る。財産状態,資産状態の総体が分からないというのでは,節税対策の程度も検討できません。よってやはり,親にはすべての財産を開示してもらう決意を求める必要があるのです。

節税対策のための生前贈与の具体的な法律行為等ができないから

節税対策のキモは生前贈与です。生前に,贈与税負担に配慮しながら,できるだけ多くの財産を次世代に移転することにより,相続開始時に,親が所有している相続税の課税財産を減らしておくのが大事です。ところで財産にはいろんなものがあります。不動産,預貯金,株式,,,例えば不動産はどうでしょう。不動産の共有持ち分を少しずつ子供に移転する対策をするとする。不動産の名義変更は,不動産登記法にもとづいて,普通は司法書士が代理して,法務局に登記申請をします。申請書を作り,これに実印を押印し,印鑑証明書や権利書など必要な書類を収集,準備,添付して,やっと申請をし,結果登記が完了すると終了です。親が自分でやるとしても,司法書士に依頼するとしても,実印の押印や印鑑証明書の準備など,親が決意して協力しないとこのような手続きができません。あなたが勝手に親の書類を準備することは決してできません。もしやれば偽造で犯罪行為です。親にしか親のその財産を処分する権限はないのです。繰り返しますが,親に決意して協力してもらわなければ,節税対策において中心を占めるであろう生前贈与に係る契約行為や行政機関への申請行為いっさいができません。契約からしてできないわけです。

親に「我慢」してもらわないといけない,,

生前贈与で親のキャッシュが減ると不安になるから

ここは結構重要なポイントです。節税対策のキモは生前贈与だと言いました。生前贈与とは文字どおり,親の生前,つまり生きている間に,財産を次世代にあげてしまうこと。財産が親の手元から離れてしまうことを意味します。これは当然嫌なことだし,先行きだって不安になります。特に現金・キャッシュを生前贈与することには,誰だって抵抗があるでしょう。しかし,以下のような非課税制度をもし利用できるならしない手はありません。有効な節税対策になるからです。

  • 住宅取得資金贈与(直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税)
  • 教育資金贈与(直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税)
  • 結婚・子育資金贈与(直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税)

ここは親に決意してもらって,キャッシュの生前贈与に協力してもらいましょう。そのとき,親の前述の不安を理解してあげましょう。そしてそれを解消する方法を考えてあげましょう。親の将来はどこでどうやって生活するのでしょう。親の不安はどういうところから来ているでしょう。あなたのほうは,ちゃんと親の面倒をみる決意を示し,親に伝えているでしょうか。有効な節税対策をするに親の決意を求めるなら,あなたのほうも決意を固める必要があるかもしれません。

値上がり物件,高収益物件の贈与を贈与するのは寂しいから

節税対策のための生前贈与のうち有効な方法として考えられるのが,以下の贈与を優先して実行することです。

  • 値上がりが見込まれる財産から贈与する
  • 高収益をあげる物件から贈与する

節税対策で重要なのは,親の相続税の課税財産を減らすことですが,逆に課税財産が増えるのを防止するのも重要です。値上がりする財産を手元において相続が開始すると,最初対策を考えたときよりむしろ課税財産が増えているなんてことにもなります。また,高収益の賃貸不動産(アパート・マンション)を親の手元においていると,今後発生し支払われる賃料(地代や家賃)が全部親の収入になって,親のキャッシュや預貯金がどんどん摘み上がって蓄積してしまうこともあります。これだと課税財産が増えてしまう。そんなことをしていては,節税対策はできません。なので,こういう物件から先に生前贈与してもらうのがよいのです。もっとも,値上がりする財産,高収益の財産というのは,それだけ財産として優れているものです。よい財産,質のいい財産,持っていて嬉しい財産であるわけです。親がこれを手放すとき,どういう気持ちになるでしょうか。やはり,寂しい気持ちになるでしょう。できるだけ最後まで手元に置いておきたい気持ちにもなるでしょう。しかし節税対策の有効性と親の気持ちは相反してしまうのです。ここは親に決意してもらいましょう。

養子縁組だってできないから

節税対策には,生前贈与をして課税財産を減らすことのほかに,孫などを養子にして,相続税の基礎控除を増やすということも考えられます。これは直接的に効果のでるやり方です。基礎控除額を求める算式には法定相続人の人数が結果を増額させる形で入っているからです。法定相続人が1名増えると,基礎控除額が600万円ふえます。さて,孫との養子縁組には,孫の意思と,親の意思が合致し,縁組の届け出を役所にする合意が必要です。孫を養子にするのだ,それでいいのだ,と親に決意してもらわないと決してできない対策です。これは戸籍にかかわる問題であり,お金の問題だけでは済まないからです。親がそれを求めるのか,許容するのか,そこまでしなくてもいいと考えるのか,そこはあなたの一家一族の問題です。一族決意して,納得できる結論を得てください。

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