相続大全集

遺言してもらって人が逆に先に死んだ場合どうなるかお教えします

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受遺者が先に死亡

遺言書

家は長男に相続させる
預貯金は次男に相続させる
年月日
遺言者 中尾哲也 印


このような遺言書を遺して父が急逝しました。私は次男です。母はまだ存命です。いや,,父がまさか遺言書を書いているとは知らなくて,,,長男には話をしていたんでしょうか,,,聞いていたら遺言書を直してもらったのに,,,というのも,長男が数年前に仕事に失敗して自殺していまして,,もうこの世にはいないんです。遺言書では,長男に家を相続させることになっていますが,この部分はいったいどうなってしまうんでしょうか?ちなみに母親は認知症で施設に入っていて,司法書士後見人になっています。家に戻る予定はありません。

 

受遺者が先に死亡した場合のルール(原則)

はい。遺言書で受遺者になっている人が,遺言者より先に亡くなってしまっている場合,この部分の効力はどうなるのかという質問ですね。これについてご説明します。結論から申し上げますと,

  • 長男に対してした遺言は無効になります。
  • 遺言書のほかの部分は有効です。
  • 家については法定相続になります。つまり,お母さんとあなたが法定相続人として,各1/2を相続します。

あなた)
え?でも母親は認知症で施設に入っているので家に戻ることはありません。家を相続しても仕方ないんです。なので,家も含めて全部を私が相続するように,遺産分割協議をすればいいんですよね?

いや,それは難しいです。お母さんは認知症で判断能力がなく,後見人がついていますので,お母さんがまったく遺産を相続しないような遺産分割協議はもうできません。後見人はお母さんの財産管理人であり,お母さんが相続した相続財産もきちんと確保するのが仕事だからです。残念ですが,それは無理です。

あなた)
そうなんですか,,,困りましたが法律がそうなっているなら仕方ありませんね,,

 

(受遺者の死亡による遺贈の失効)
第九百九十四条  遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。
2  停止条件付きの遺贈については、受遺者がその条件の成就前に死亡したときも、前項と同様とする。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(遺贈の無効又は失効の場合の財産の帰属)
第九百九十五条  遺贈が、その効力を生じないとき、又は放棄によってその効力を失ったときは、受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

 

受遺者が先に死亡しても困らないように

さて,今回は残念な結果になりましたが,そのような結果になるのを避ける方法があります。先に挙げた条文を読めば答えが書いてあるんですが,遺言書に「別段の意思を表示」しておくことです。つまり,遺言書に,受遺者が先に死亡したときに当該財産をどうするか,あらかじめ予備的な文言を入れておくのです。


遺言書

家は長男に相続させる
預貯金は次男に相続させる
長男が遺言者より先に死亡しているときは,長男に相続させるとした財産を,次男に相続させる
次男が遺言者より先に死亡しているときは,次男に相続させるとした財産を,長男に相続させる
年月日
遺言者 中尾哲也 印


このように予備的な遺言をしておくことで,設例のような困った事態を避けることができます。自筆証書遺言で遺言をする場合も,公正証書遺言で遺言をする場合も同じことです。自分で遺言書を作成する場合は,このあたりの書き方や買いたものの法的効力について十分理解が及ばないことがあります。よって必ず司法書士等法律の専門家に相談し,可能であればさらに公正証書にしておくのが望ましいです。

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