相続大全集

遺留分の割合は相続人ごとに違うことを知っていますか?

« »

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

遺留分割合は違う

全財産とか遺産のほとんどを遺言でもらっても,相続人から請求されたときは,一部返さないといけないのはご存知ですよね。そうです,遺留分制度です。亡くなった被相続人の配偶者とか子供とか,場合によっては両親あなどの直系尊属には遺留分が認められていて,被相続人が遺産を誰かにあげちゃったような場合でも,相手方に請求して,侵害されている遺留分額を取り戻す権利が認められているんですね。遺留分を請求できる人のことを遺留分権利者,相手に請求する権利のことと遺留分減殺請求権といいます。

 

遺留分は相続人の身分によって変わる

さて,認められている遺留分は,遺留分権利者の身分によって変わります。それはこうです。

  • 直系尊属のみが相続人の場合は,被相続人の財産の3分の1
  • その他の場合は,被相続人の財産の2分の1

つまり,通常よくあるケースである,配偶者とか子供が相続人になる場合は,法定相続分の半分が遺留分として認められていて,親が相続するようなイレギュラーなケースでは,法定相続分の3分の1が遺留分として認めらています。このとおり認められている遺留分は,相続人が誰かによって変わります。

 

どうして遺留分率は相続人の身分によって変わるのか

本稿はそれでおしまいなんですが,どうしてそのようになっているか考えてみましょうか。お時間のある方はお付き合いください。

さて,遺留分制度は,遺留分権利者の相続に対する「期待権」を保護するものだと言われます。将来相続できると思ってたその思惑を守ってあげるってことです。せっかく相続できると期待してたのに何もなくなってしまうのはかわいそうだから??

少し話を大きくします。

日本の現在の相続法は,遺言相続が優先で,法定相続は遺言がない場合の規定だと考えられています。遺言があればそのとおりにする。財産の持ち主である被相続人や遺言者本人の「意思・遺志」が一番大事であって,本人が何も遺言してないときに備えて法定相続の仕組みが用意されてるだけ,という考え方です。

しかしそれよりもさらにさかのぼって考えてみると,,,

そもそも死んだ人から別の人に財産を引き継ぐ相続制度は何のためにあるのか。人が死んだら他の人が引き継ぐのは何も当然ではありませんよ?自然の理ではない。あくまで法律制度として,それがよかろうと国民や国家が決めているものです。では何のためにあるか。それはだいたいこのように考えられています。

  • 遺族の生活保障
  • 被相続人の財産に混入している相続人の潜在的持分の精算
  • 国が引き上げて再分配するのは大変

このような理由や需要から相続制度を認める。そのうえで,遺言相続や法定相続という制度を作る。そのような優先順位であれば,遺言相続であろうと法定相続であろうと,やっぱり遺族の生活保障とか,相続人の混入財産の精算とかいう機能を最小限盛り込んでおかないといけない。それが遺留分制度なんですね。

遺留分率が相続人の身分によって変わる理由

さて,上の相続制度の存在理由のうち,一番重要なものは何でしょう?私はこれだと思います。

  • 遺族の生活保障

次はどうか?これですかね。

  • 被相続人の財産に混入している相続人の潜在的持分の精算(実は俺の財産も入ってるよ!)

はい。では,遺族の生活保障を考えたとき,遺族として真っ先に考えられるのは誰でしょうか?配偶者や子供ではないでしょうか。両親はこの先長くない。ともかく普通は,子供の財産で生活保障をされる筋ではないですね。

  • 配偶者や子供の遺留分割合は,2分の1です。
  • 親など直系尊属の遺留分割合は,3分の1です。

このように遺留分割合が異なるとは,最初に説明したとおりです。
それなりに合理的ではないでしょうか?

 

遺留分減殺請求について詳しく知りたい方はこちら

相続財産の遺留分(いりゅうぶん)が侵害されて取り戻したいなら遺留分減殺請求(げんさいせいきゅう)をする

 

« »

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

関連記事

遺言執行者が必要?なら家庭裁判所に請求して選任してもらう

遺言執行者とは何をする人か 遺言執行者とは文字どおり遺言(書)を執行する人です。遺言書に書かれた財産の相続等の内容を実行してくれる人です。遺言者が遺言書にしたためた最終意思を現実の社会に実現してくれる人のことです。 &n …続きを読む

遺言執行者が必要なケースと家庭裁判所への申立て

自分で書いた自筆証書遺言は開封しないで早く家庭裁判所で検認してもらう

親など被相続人が自分で書いた自筆証書の遺言書が見つかったら,なるべく早く管轄の家庭裁判所に持っていって,自筆証書遺言の検認手続をする必要があります。   自筆証書遺言の検認とは何か 自筆証書遺言の検認とは,公正 …続きを読む

自筆証書遺言の検認を家庭裁判所に申請

遺言書に書いてあるとおり執行の手続をするのは誰だか知っていますか?

遺言書の発見 親が亡くなって,このような遺言が見つかったとします。 遺言書1 別荘は愛人A子に遺贈する。 年月日 遺言者 父 印 また,そこまで熱い?ものでなくても,こんな遺言が見つかるかもしれません。 遺言書2 預貯金 …続きを読む

遺言の執行は遺言執行者がする

認知症になったら遺言書を書いてもらうには遅すぎる??その理由

前々から遺言書を書いてくれと頼んでいたんだけど伸び伸びになっていて気が付いたら両親は認知症になってしまった。時折「遺言書を書くよ~」と言ってくれてるんだけど本心かどうかわからない。というより認知症になっているので遺言書を …続きを読む

認知症の親の遺言書

普通の人(金持ち・資産家じゃない)には相続税は関係ないと思っていませんか?

父親が亡くなって先週四十九日が済みました。大変でした。不動産や預貯金がある程度あるんでこれから相続人間で遺産相続の話合い(遺産分割協議)をしようと思うんですが,兄弟から,相続税の申告が必要なんじゃないか?急いで財産の額を …続きを読む

相続税は普通の人(金持ち・資産家じゃない)人に関係ない?