相続大全集

遺言書は必ず公正証書遺言で書いてもらったほうがいいこれだけの理由

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遺言は公正証書遺言にて

両親に遺言書を書いてもらおうと思うんですが,友人に聞いたら自分で書くより正規の遺言書?公正証書?っていうんかですか?公正証書の遺言書を書いてもらったほうがいいと聞きました。本当ですか?どうして自分で書いた遺言書じゃダメなんですか?

はい。あなたが聞かれたのは,公証人役場で作成する公正証書遺言のことですね。自分で書くのを自筆証書遺言といい,公証人役場で公証人に作成してもらうのを公正証書遺言をいいます。同じ遺言書ではあるんですが,いろいろ違うところもあります。結論からお話すると,友人がおっしゃるように,遺言書は公正証書で作成することをおすすめします。公正証書遺言にするほうがいいと思います。

早速ですが,まずは,自筆証書遺言より公正証書遺言のほうがいい理由を簡単に説明します。その後に,「いったい公正証書遺言って何なの?」というところを簡潔にまとめておきます。

 

自筆証書遺言より公正証書遺言のほうがいい理由

法的に正しい内容になる

公正証書遺言は,遺言者の考え方を公証人が文章にして作成します。最終的には公証人が作成するので,おかしなところは修正し,正してくれます。なので意味が分からなかったり,法的解釈に争いが生じるような遺言書ができあがることはほとんどありません。

当然,法律で決まっている遺言の方式や要件を満たしていない遺言書が作られることはありません。つまり無効になることがほとんど考えられません。

ちなみに公証人は,検事や裁判官,法務省の職員等,法律に詳しい人が退官後に就任することがほとんどです。法律家が作成する遺言書なので,法律的に正しい内容になるのです。

原本が公証人役場に保管される

公正証書遺言は公証人役場で作成し,その原本が公証人役場に長期間保存・保管されます。遺言者には,正本と謄本が渡されます。公証人役場に原本が保存されているので,紛失したり偽造,変造されることがありません。遺言者が正本や謄本を紛失しても,公証人役場に再び謄本の交付請求をすることができます。公証人役場に原本があるので,その写しを再発行できるのです。

自筆証書のように偽造,変造されて争いになったり,他の相続人に破棄,隠匿されたり,紛失して無くなってしまう危険がないので安心です。

遺言者が亡くなった後の相続手続がスピーディー

自分で書いた自筆証書遺言は,遺言者が死亡した後,遺言書を家庭裁判所に持って行って,自筆証書遺言の検認という裁判手続をしないといけません。検認申立書を書いて必要書類を添付し,家庭裁判所に出します。遺言書の検認というのは,家庭裁判所が遺言書の形式をチェックして,記録として保存しておく手続きだと思ってください。

遺言書の検認手続をして,検認をした証拠を遺言書につけてもらわないと財産の相続手続ができません。法務局も銀行も,検認をしていない自筆証書遺言で相続手続を進めることはありません。自分で書いた遺言書なので,一応の裁判所のお墨付きがないと,銀行等も遺言書として認めることができないんです。この手続きには月単位で時間がかかります。

さて公正証書遺言を作成しておくと,この遺言書の検認手続は不要です。法律家である公証人が厳格な本人確認をして,内容的にも正しい遺言書を作成するのが公正証書遺言ですから,後で裁判所にチェックしてもらう必要はない訳です。二重チェックは不要ですから。

もし紛争になったら証拠力が強い

公正証書遺言を作成すると紛争を未然に防ぐことができますが,万一それでも法的紛争になったら?つまり裁判所で遺言書のことや相続のことが争われたら?そんな場合に,遺言書を公正証書で作っておけば非常に有利になります。

公正証書遺言は,先述のとおり,法律家である公証人という公務員(身分は法務局所属)が,法律にもとづいて職務上作成する文書です。公文書ですね。このような文書には,民事訴訟法上,とてもつよい証拠としての力が認められています。専門的な言葉でいうと,公正証書遺言には,形式的な証拠力が備わっており,実質的な証拠力も非常に高いです。要は,遺言書の内容が覆る可能性が極めて低いのです。

 

いったい公正証書遺言って何なの?

公証人が作成する遺言

先ほども言いましたが,公正証書遺言は公証人が作成する遺言です。公証人は検事や裁判官等の法律家が退官後になる職業です。遺言書を作成するのはあくまで公証人です。遺言者は公証人に遺言したい内容を伝えて作成してもらいます。

公証人役場で作成

遺言公正証書は公証人役場で作成します。公証人役場は公証人という公務員が仕事をする役所です。市町村役場とはちょっと違って,ビルのテナントに入っていることが多いです。公証人が一人だけいる公証役場と,複数の公証人がいる合同公証役場に分かれます。公証役場には,通常,公証人の先生と,事務職員の方が忙しく仕事をしています。

なお,病気等で公証人役場まで行けない場合は,公証人に出張をお願いすることもできます。ただし出張費がかかります。

公正証書遺言作成の流れ

公正証書遺言は公証人役場で公証人に作成してもらう遺言書なので,いきなり行ってその場で作成することはできません。事前に打ち合わせをして,必要書類を提出し,文案を決めて,日程調整をして,いざ本番という流れになります。公正証書遺言の作成援助を司法書士や弁護士に依頼した場合の流れはだいたい次のとおりです。

  1. 遺言者が司法書士事務所に遺言書作成の相談
  2. 遺言者と司法書士が印鑑証明書など必要書類を収集
  3. 遺言者と司法書士との間で文案を起案
  4. 司法書士が公証人との間で文案を調整
  5. 公証人が文案を確定
  6. 遺言者が文案を最終確認(場合によっては司法書士に伝えて修正依頼)
  7. 遺言者・公証人・司法書士との間で本番の日程調整
  8. 遺言書作成日に公証人役場に出頭(遺言者・司法書士・証人・公証人)
  9. 同日遺言書に署名押印して遺言書の正本と謄本を受け取り,公証人に費用を支払う

法律を確認しておく

公正証書遺言は法律にもとづいて作成されるので,念のために法律の条文を確認しておきましょう。

民法969条
公正証書によって遺言をするには,次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人二人以上の立会いがあること
二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること
三 公証人が,遺言者の口授を筆記し,これを遺言者及び証人に読み聞かせ,又は閲覧させること。
四 遺言者及び証人が,筆記の正確なことを確認した後,各自これに署名し,印を押すこと。ただし,遺言者が署名することができない場合は,公証人がその事由を付記して,署名に代えることができる。
五 公証人が,その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して,これに署名し,印を押すこと。

 

おまけ(公正証書遺言にするデメリット)

ここまでいいことばっかりお話してきました。しかし公正証書遺言には悪いところはないの?デメリットはないの?というところが気になります。そのあたりを最後に付け加えておきます。デメリットは大したものではないはず。

公証人手数料がかかる

確かに自筆証書遺言を自分で作成すれば費用はゼロですが,公正証書遺言にすれば公証人手数料がかかります。しかしどうでしょう。遺言書を書いてもらって相続できる財産の額に比べてその手数料は高いでしょうか。もし遺言書が無効になったら?遺言書の作成は基本的に1回きりです。ちゃんとした遺言書がある場合とない場合にどのようなことになるかよく考えてみてください。両親に遺言書を書いてもらうなら,費用は受遺者である子が負担してもいいのでは?

公証役場に行かないといけない

自分で公正証書遺言をしようとすれば何度も公証役場に行くことになるでしょう。でも司法書士等に依頼すれば,公証人役場に行くのは1回で済みます。本番作成の時だけです。司法書士が代わりに公証人役場に足を運んでくれます。

証人2名が必要で頼める人がいない

遺言書の内容はあまり人には言いたくないですよね?公正証書遺言を作成するには証人が2名必要で,財産をもらう受遺者は証人になれません。困りました。

大丈夫です。司法書士に依頼すれば,司法書士と司法書士事務所職員が証人になることができます。あなたが証人を準備する必要はありません。

公証人役場との打ち合わせや書類の準備が面倒

公正証書遺言を作成するには,戸籍や財産に関する書類を準備して公証人役場に持ち込まないといけません。何が必要なのか?どこの役所で集めればいいのか?面倒そうです。

この点も,司法書士に手続きを依頼すれば克服できます。司法書士が遺言者に代わって書類を収集して整理し,公証人役場に提出しますから楽です。遺言者は,最低,印鑑証明書だけ準備してもらえれば公正証書遺言を作成することができます。

 

デメリットはそれほどないですね笑

やっぱり遺言書を書いてもらうときは,必ず公正証書遺言にしてもらってください。

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