相続大全集

財産以外で遺言書に絶対書いてもらうべきことをお教えします

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遺言執行者を指定し決めておく

両親に遺言書を書いてもらう予定です。遺産相続で揉めないために。そのとき遺言書に書いてもらったほうがいいことはありますか?それは何ですか?と相談されることがあります。もちろん遺言書のメインは財産に関することなので,まずはそこの書き方をちゃんとしてもらう必要があるんですが,他にもう一つ重要なことがあります。さて何でしょうか。

結論を書く前に,財産に関する遺言事項を見ておきましょうか。財産に関しては,こんなことを遺言書に書いてもらうことができます。

この中で重要なのは,相続分の指定遺産分割方法の指定及び遺贈あたりです。相続分の指定というのは相続する割合を決めておいてもらうこと,長男2/3とかそういうのです。遺産分割方法の指定とは,具体的な財産の割り当てを決めてもらうことです。自宅は長男にとか。遺贈というのは法定相続人以外の人に財産を渡すことです。

 

遺言書を書いてもらったのはいいけど,,,

あなたが遺言書を書いてもらって,財産をもらうことになった。それはそれで良かった。その後遺言者がが亡くなって,遺言の効力が発生した。いよいよ財産をもらう手続きをしないと。さてあなたはそのときどうしますか?何をしますか?あなたのもとに,遺言書に書いてある財産をきちんと届けてくる人は誰ですか?遺言書のとおり法的な手続きをしてくれる人は誰なんでしょうか?財産をもらう人が複数人いるときは,それぞれの人が自分で何かしらの手続きをするんでしょうか。またしないといけないんでしょうか。

よく分からないですよね?

そうです。遺言書で財産をもらうことになっていても,じゃあ誰が具体的にその手続きをしてくれるんだ,と。私はできないよ,と。そのようなことが問題になります。そのことを決めておくべきなんです。

 

遺言書で遺言執行者を指定してもらう

遺言書のとおりに財産に関する手続き等をやってくれる人,遺言が効力を生じた後,遺言書の内容を実現する手続きをしてくれる人を「遺言執行者」といいます。遺言の内容を執行(実現)するから遺言執行者です。これも決めておいてもらいましょう。遺言執行者は誰がやるのか,誰がやってくれるのかを決めておいてもらう。このことを,「遺言執行者の指定」といいます。両親に遺言書を書いてもらうときには,是非,遺言書にて,遺言執行者も指定しておいてもらいたいんです。遺言者が遺言書で遺言執行者を指定するのは法的に有効です。遺言執行者の指定は,遺言事項として法律に書かれているからです。なお,遺言書で遺言執行者が指定されていなければ,家庭裁判所で遺言執行者を選任してもらうこともできます。

民法1006条1項
遺言者は,遺言で,一人又は数人の遺言執行者を指定し,又はその指定を第三者に委託することができる。

同1012条1項
遺言執行者は,相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

遺言執行者がいるときは,法定相続人は,遺言執行者の遺言執行を妨害できないことになっています。

同1023条
遺言執行者がある場合には,相続人は,相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。

 

遺言執行の流れ

遺言執行者は,次のような流れで遺言執行の仕事を行います。

  1. 相続人や受遺者に遺言執行者就任通知を出す
  2. 財産目録(相続財産のリスト)を作成して相続人や受遺者に渡す
  3. 遺言書のとおりに不動産の名義変更をしたり,預貯金・株式の解約払戻し等をする
  4. 仕事が終わったら相続人や受遺者に任務終了の報告をする

どうですか?確実にあなたのもとに遺言財産を届けてくれそうです。

 

おまけ(厳密に言うと)

ここまで,遺言書を書いてもらって財産を相続するときは,遺言執行者を必ず指定してもらいましょうと言いました。遺言執行者を決めておけば,遺言執行者が責任をもって遺言書の内容を実現し,財産の承継手続きをしてくれると言いました。

もっとも,最初に挙げた財産に関する遺言事項であっても,その実現に,必ずしも遺言執行者の執行行為が必要なわけではありません。

たとえば長男2/3などと相続割合を決める相続分の指定は,遺言が効力を生じたら,法律上当然にそういう相続分になっているのであって,遺言執行者が執行する余地のないものです。ただ,そういう相続分にしたがって具体的な財産の相続手続をするについては,遺言執行者を指定しておいたほうが,楽で,便利で,安心だと言えます。また遺言執行者がいれば,必ずしも人間関係が良好とはいえない相続人の代表として,財産目録を作ったり,相続手続の進捗状況を報告したりもしてくれます。司法書士や弁護士を遺言執行者に選んでおけば,遺言書の文言の解釈も責任をもってやってくれるはずです。

たくさんある法定の遺言事項のうち,遺言執行者による執行が必須なのか,そうでないのか,遺言執行者がいないとどういう不都合があるのかを判断するのは,法律家でもなければ容易じゃありません。なので,遺言書を書いてもらうときは,ともかく遺言執行者の指定もセットでお願いしておくことをおすすめします。いや,遺言書を書いてもらう際は,ぜったいに遺言執行者の指定もセットで,と言い切ってしまっていいでしょう。

なお,遺言執行者には,相続人や受遺者であってもなることができます。ただし未成年者と破産者は遺言執行者になれません。「自分でできないから遺言執行者を指定するんじゃないの?」と思われるかもしれませんが,相続人等のうちの一人を遺言執行者に指定してもらう意味はあります。遺言執行の責任者兼代表者になってもらえるから窓口を一本化できるし,不動産登記や預貯金・株式の相続手続が分からなければ,遺言執行者から司法書士等に手続を依頼すればいいんです。具体的な手続きを全部が全部遺言執行者がやらなければいけない訳じゃないです。遺言執行者が仕切って,専門家に任せることができますよ。じっさいによくあることです。

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