相続大全集

親の財産が少なくても遺言をしてもらったほうがいい理由について説明します

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財産が少ない人の遺言

「親には遺言書を書いてもらったほうがいいよってよく言われるけどうちにはそんな財産ないし」
「同居している家と年金口座と預貯金が少しだけだと思うから遺言書書けなんて大層なこと言わなくても」

こういう話がよくありますね。確かに最近遺言書遺言書とテレビなどでうるさいけど,うちには関係ないのかなあ,必要ないのかなあと考える方もいらっしゃるのでは?さてこの話,二つほどの事柄に分けて考えてみることができそうです。

  • 財産が少ない人は遺言書を書いてもらうことができるのか。遺言書を作成できないんじゃないか。
  • 財産が少ない人に遺言書を書いてもらう必要はないんじゃないか。いらないんじゃないか。

まず遺言書を作ることが可能なのかというのが一つ目の疑問。そして遺言書を作ることができたとしても,作ってもらう必要性がないんじゃないかというのが二つ目の疑問。このように分けて考えることができます。では,この二つについてそれぞれ少しだけお話してみます。

 

財産が少ない人はそもそも遺言書を作成することができるのか

できます。全然問題なくできます。遺言書は民法という法律にしたがって作らないと効力が発揮できない要式行為になりますが,その法律に「遺言書は○円以上資産がないといけない」なんていう文言は書かれていません。遺言書は財産のある人もない人も等しく書くことができますし,書いてもらうことができます。

ここのところ,遺言書を書いたり書いてもらったりする人がどんどん増えています。遺言書のうちでも公証人役場で手続きする公正証書遺言の作成件数は,平成26年に10万件を超えました。そして,じっさい私の事務所で公正証書による遺言書作成のお手伝いをするお客さんもそれほど財産のある人が多いわけではありません。財産の大小は,遺言書を書いてもらえるか,書けるかどうか,に影響しません。

 

財産が少ない人に遺言書を作成してもらう必要があるのか

必要性があります。むしろ,財産がそれほど多くない人ほど,遺言書を書いたり,書いてもらったりする必要性が大いにあるのだと言えます。なぜ大いに必要性があるのか,その理由はたくさんあって書ききれないんですが,分かりやすい理由を挙げてみましょう。

金持ち喧嘩せず

金持ちは喧嘩しないという言葉があります。これが本当かどうか,いやそんなことはないんじゃないかという気がしないでもありませんが(じっさい喧嘩するので),確かに,財産をめぐる小さないざこざはそれほどお金を持っていない人のほうが多いように思います。

お金のことを考えなくていいほど裕福でない人は,やっぱりお金が欲しいわけで,当然相続できる遺産があるのなら貰っておきたいと考えるのが当然の理です。別にこれはおかしいことではありません。遺言書がなければ法定相続にになるわけで,法定相続人が複数人いれば,遺産は法定相続分で分けないといけません。少ない遺産がもっと少なくなるので悲しいです。もし両親等,遺産相続の対象になる人が,あなたに遺産をあげようと考えてくれているようなら,遺言書を書いてもらう必要はあるはずです。

遺産分割協議で困る

もうちょっと実際的な話をします。もし遺言書がなかったという話。たとえば父親が死亡して,同居している住宅と預貯金300万円が遺産として遺されたとします。仮に家の評価を1000万,預貯金は額面どおり300万円の遺産評価とし,あなたを含めて二人兄弟だったとします。家はボロ家で,あなたとしては特に家に愛着があるわけではないが,ずっとここで生活をしていて引っ越すわけにもいかない。仏壇も備えてあって守っていかないといけない。大きなリフォームをする余裕もないし,田舎のことですぐ売却できるような場所でもない。でも役所の評価は1000万円である。そいういうケースを想定します。

父の死後,兄弟が法定相続分をもらいたいと主張してきたらどうでしょう。あなたとしては,家は遺産というより自分の家で,守っていくにもお金がかかるし,引き継いでもそれほどうれしいものでもない。だから,家はあなたが当然に相続して,さらに預貯金を半分に分けたいと思うかもしれません。でも,兄弟としてはそうはいかないかもしれない。あなたが遺産総額1300万円のうち1000万円を占める不動産を全部相続するのなら,預貯金は全部渡してもらって,さらに350万円を個人財産から渡してほしいと主張するかもしれない。これで650万円ずつ,法定相続分にしたがって遺産分けをしたことになるのだから。

「それはないよ!」とあなたが主張しても,法的には兄弟の言い分が通りそうです。困りますよね?困りませんか?このようなことが想定される場合に,父親に遺言書を書いもらうとよいです。父親に遺言書を書いてもらう必要性が大いにあるでしょう。

ところで,遺言書がない場合に遺産について紛争になることがありますが,相続人間でどうしても話合いがつかない場合,家庭裁判所遺産分割調停遺産分割審判という裁判手続をして決着をつけます。そのような手続きを利用した人が,いったいどれほどの遺産額をめぐって紛争になったかという最近の司法統計を見ると,遺産額1000万円までが30%を超え,5000万円までが75%を超えています。約3件に1件が1000万円までの遺産をめぐって裁判所に解決を委ねているんです。

あなたは少額の遺産をめぐって裁判を利用しますか?それとも今のうちに遺言書を書いてもらいますか?

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