相続大全集

「死んだら全部お前にやる」と口頭で遺言してもらっても無効だと知っていますか?

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同居していた父が亡くなりました。父は生前私を一番可愛がってくれており,同居していたこともあって,「俺が死んだら財産は全部お前にやる。俺の財産はお前のものだ」と言っていました。特に亡くなる間際は頻繁にそのように言っていました。父の遺志なので,相続財産は全部私のものですよね?特に遺言書というような形式ばった書類は残してかったようなんです。

結論から言います。

 

相続財産は法定相続になります。

あなたが全部相続財産を相続できるわけではありません。個人の遺言書がない以上,法定相続人共同で遺産を相続します。法定相続人遺産分割協議をして,財産を全部あなたが相続していいと納得してもらわない限り,お父さんの遺志のとおりにはなりません。

ひどいですか?非常だと思われますか?しかし法律ではそうなっています。お父さんが自分の亡くなった後,遺された財産をどうするかを法的に決めておくためには,遺言書を書かなければいけなかったんです。口で言っているだけでは駄目だったんですね。

 

遺言書がないとダメ!

故人が生前自分が所有していて,亡くなったときに遺された財産の行く先を決めるなど財産処分をするには,遺言書を書かないといけません。そのように法律で決まっています。遺言書によらない故人の死後の財産処分は,法的には無効です(生前贈与したなら別ですが)。このようなことをもって「遺言は要式行為である」といいます。法的に有効な遺言をするには,法律つまり民法に書いている方式にしたがって遺言書を作らなければいけないという意味です。民法に書いてある方式にしたがわない遺言書はで無効です。遺言書があっても,法律に書いてある方式に合致していなければ無効。遺言書がないとなれば,問答無用で無効なのは言うまでもありません。

 

遺言書がないといけない理由

厳しいようですがそれが法律です。そのようになっていることににはそれなりの理由があります。というのは,「死人に口なし」という言葉があるように,故人の遺志がどうだったかということは,故人が亡くなって本人の意思を尋ねることができない今,誰も正確に知ることができないからです。つまりこのように言っていた,あのように言っていたと相続人が好き放題言い合って,紛争が生じることがあり,そうなると誰の言い分が正しいのか一概には判断することができないのですね。

なので法律は,法律に決まっている方式に従って誰にでもパッと見て故人の遺志が判断できるような遺言書を作っていなければ,故人による法律行為(財産の処分行為)は無効である,としているんです。

 

あなたにできること!とるべき手段!

このことが分かったところであなたにできることは限られています。

もし設例と違って,父や母,つまり今後亡くなって財産を遺される予定の人がまだ生きているなら,法律に書いてある方式によってちゃんとした遺言書を書いてもらいましょう。ちゃんとした遺言書の作り方が分からなければ司法書士に相談してください。

もし設例どおりすでに父等が亡くなっているなら,故人が言った言わないは法的に無効であると受け止めましょう。そのうえで,それを踏まえて,他の法定相続人との話し合い,つまり遺産分割協議書をしましょう。あなたが遺産を法定相続分を超えて受け取りたいなら,「お父さんの遺志」は,遺産分割協議において他の相続人に譲歩してもらうための「一つの事情」として持ち出しましょう。「お父さんもこのように言っていたし,お父さんの言い分を尊重してあげてほしい」と。決して,「お父さんがこう言っていたから絶対そうするのだ!!」と切り出してはいけません。あなたにはその権利がないのですから。

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