相続大全集

行方不明の相続人がいる場合に遺産分け(遺産分割)をする具体的な方法

« »

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

行方不明の相続

こういうケースを想像してみてください。

  1. 父親が死んだ。遺産として,住宅と預貯金がある。
  2. 相続人に配偶者である母と,あなた,そして兄弟が2名いる,,,はずだが,,,
    うち1名が長い間行方不明で連絡を取っていない。
  3. 母と連絡のつく兄弟の仲はよく,不動産や預貯金を相続処理してしまいたいが,兄弟の行方がわからず,書類に実印をつけないのでできない。
  4. このままではいけないと思いつつも,どうしたらいいのか分からずに時間ばかり経過して今日に至る。

このケース。あなたが直面している相続と似たところはないですか?あなたの知り合いは,こういう相続で話が進まずに,ずっと相続処理を放置していませんか?

 

行方不明であろうと相続人は相続人

ちょっと考えるのは,この行方不明の兄弟は無視して遺産分けが処理できないのかってこと。それができればいいですよね,,いやよくありません。連絡がとれなくてもその兄弟の相続権が無くなるわけではないので無視することはできません。

今回の相続の法定相続人は配偶者である母と子供で,その法定相続分は母が全体の1/2,子供があと半分を均等割した分です。兄弟が行方不明であろうと嫌いであろうと不義理であろうと,原則として当人は相続人であり相続分があるので,この人を無視して相続処理をすることはできません。

 

まずは行方不明者を探そう

じゃあどうするか。まずすべきはこの兄弟の行方を調べることです。当然ですね。行方を調べて住所が分かったら,そこにじっさいに行ってみるもよし,手紙を出してみるもよし。とにかく連絡をとって事情を話し,相続の話合いに参加してもらいます。

どうやって行方を調査するか。何も探偵事務所に頼む必要はありません。まずは戸籍や住民票を調査しましょう。本籍地の役場や最後の住所地の役場に行って,戸籍・住民票を請求してください。

戸籍や住民票を取れるのか?取れます。戸籍や住民票は本人の同意がないと取れないものであはりません。もちろん法律が定めた要件が揃えばですが,本人以外の者でも正当に戸籍や住民票を請求して受け取ることができます。今回は大丈夫です。戸籍や住民票をなぜ取れるか詳しいことを知りたい方は次の記事を読んでみてください。

戸籍や住民票を他人が取れるケースについてレクチャーするよ!

 

どうしたらいいか

調べたけれども連絡がつかなかった場合はどうするか。これについて説明します。大きくは二つの方法があります。

行方不明者の代理人(不在者財産管理人)を裁判所に立ててもらう方法

行方不明者の財産を管理する必要があるときは,利害関係人から家庭裁判所に請求をして,この者の代理人を立ててもらうことができます。この代理人のことを不在者財産管理人と呼びます。適当な候補者がいなければ,裁判所は,弁護士や司法書士を選んでくれます。

財産なんて何もない?いや,今回の父の相続による相続分があります。これが管理すべき財産になります。不在者財産管理人は不在者本人の法定代理人なので,管理人が選ばれたら,管理人を兄弟そのものとして,父の相続の遺産分けの話を進められます。話合いがついたら,この管理人が遺産分割協議書に調印することになります。

不在者財産管理人を選んでもらうための裁判所の手続きなど詳しいことは司法書士に相談してください。詳細を教えてくれるはずです。裁判所に提出する書類の作成を依頼したり,手続の進捗について相談したりできます。

もう死んだことにしてもらう方法

もう長年行方不明で愛想が尽きた。もう彼のことは忘れて財産関係をとりあえず清算してしまいたい。そういう場合もあるはずです。もしそう考えられるなら,一旦兄弟を法律上死んだものとして法律上相続を開始させる手続があります。これを失踪宣告制度といいます。兄弟について家庭裁判所で失踪宣告という決定がされると,兄弟は法律上死んだことになります。兄弟について相続が開始するので,兄弟の相続分は,その相続人に引き継がれます。つまり兄弟の相続人と話をすればいいので,父の相続について手続を進めやすくなります。今回の場合兄弟に配偶者や子がいなければ母が相続人になるのでスムーズに手続できますね。

なお失踪宣告には二つありあります。災害などで1年行方不明の場合に手続できる特別失踪と,7年行方不明の場合に手続できる普通失踪です。通常はこの普通失踪の制度を利用します。

失踪宣告をしてくれるのは前述のとおり家庭裁判所です。関係者から書類を裁判所に提出して,失踪宣告の決定をお願いします。手続が分からなければこれも司法書士に相談してください。

つづきにどうぞ

人が行方不明になったらどうしたらいいか。できることはないか。全般的に知りたい人はこれも読んでみてください。

困った行方不明!どうなるどうする?捜索や相続の法律手続

 

« »

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

関連記事

遺言書で財産をもらった人が遺言書(遺贈)を放棄する方法を説明します

日本の相続制度は遺言相続が優先することになっています。つまり被相続人が遺言書で遺した遺志が一番大事で,遺言がない場合にはじめて法定相続の法律の規定によって遺産相続が処理されます。また,遺留分など,遺言書によっても奪うこと …続きを読む

包括遺贈の放棄 特定遺贈の放棄

なぜ親と一緒に遺言書の相談に行ったほうがいいのか説明します

祖父母は死ぬ間際ボケてしまって,亡くなったときに遺言書もなかったので,おかげで両親は相続問題で苦労したと話していました。で,そんな両親も隠居してもう長いです。元気だと思っていたけど,最近何やら忘れっぽい様子です。体も小さ …続きを読む

遺言書の相談は親と一緒に

国債とか社債にも相続税が?国債社債の相続税評価についてお教えします

父親は定年まで地方公務員として働いてきて,定年後も嘱託という形でつい先日まで仕事をしていました。しかしいよいよ隠居して老後の生活を楽しんでいるようです。父親は昔から職業柄大変堅実で,浮ついたことには一切縁のない人生でした …続きを読む

国債や社債の相続税の財産評価

いくら?いつ?遺産相続した財産の評価方法を全部説明します

遺産相続について相続人で話し合ったり,相続税がかかるのかどうか考えたりする場合に,遺産の値段をどうやって計算したらいいのか困っていませんか? 遺産相続が起きたら,いろんな場面で,遺産の値段を計算しないといけなくなります。 …続きを読む

遺言書の作成を司法書士など専門家に頼むメリットとデメリットをお教えします

親に遺言書を書いてもらいたいと思っているんですが,本を読んだりして自分が書いてもらうか,司法書士など法律の専門家の事務所に相談に行って作ってもらう(援助してもらう)か迷っています。考えても答えが出なくて,,親に言う前にそ …続きを読む

遺言書作成の相談は奈良王寺の明徳司法書士事務所へ